2025年06月20日
西が丘フォーラム「ハイパフォーマンス×メンタルヘルス支援の最前線」を開催
2025年6月18日、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)国際情報戦略部は、令和7年3月に改定された「持続可能な国際競技力向上プラン」に基づき、アスリート・ウェルビーイングの推進と国際的な知見の共有を目的として、西が丘フォーラム「ハイパフォーマンス×メンタルヘルス支援の最前線」を開催いたしました。
本フォーラムは、国際情報戦略部が中心となり、世界の先進的なメンタルヘルス支援の取り組みを体系的に収集・発信し、日本のハイパフォーマンススポーツにおける支援体制の高度化を図る戦略的な国際連携の場として位置づけられました。
特に今回は、直近のオリンピックメダルランキング上位10か国に名を連ねる国々に加え、今後のオリンピック・パラリンピック競技大会開催地であるロサンゼルス2028、ブリスベン2032を見据えた関係国からも登壇が実現しました。それぞれの国が取り組むメンタルヘルス支援の最新動向や制度設計、現場での実践について、実務的かつ多角的な視点から知見が共有され、国際的な競技力を支える支援体制のあり方について、極めて実践的な議論が展開されました。
アスリートを支えるコーチ、サポートスタッフ、競技団体関係者、研究者、政策担当者など、60団体から140名以上が参加し、オリンピック・パラリンピックを中心とした国際競技力の向上を目指して開催されました。本イベントでは、強豪国における最新の取り組み事例を共有するとともに、アスリートの競技力とウェルビーイングの両立を支援するため、国際的な潮流や先進的な実践への理解を深めることを目的としています。
冒頭では、JSCハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)国際情報戦略部 事業企画推進課の野口順子課長より、近年のハイパフォーマンススポーツにおいて、アスリート、コーチ、サポートスタッフのメンタルヘルスがいかに重要なテーマとなっているかが紹介されました。続いて、国立スポーツ科学センター(JISS)スポーツ科学研究部門の衣笠泰介主任研究員および東京女子体育大学の栗林千聡講師より、日本におけるオリンピック・パラリンピックアスリート等のウェルビーイングに関する研究調査が報告されました。
基調講演では、ベルギーオリンピック委員会心理学専門家のポール・ウィルマン氏が登壇し、「世界の最前線」というテーマのもと、国際的な潮流と先進的な支援体制について、豊富な知見とともに紹介しました。さらに、諸外国の先進事例として、以下の5つの模範的な取り組みが紹介され、参加者の関心を集めました:
〇オーストラリアの取組
オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)パフォーマンス心理学主任 クリスティーン・ダン氏
〇カナダの取組
カナダオリンピック委員会(COC)ゲームプラン部門シニアマネージャー カーラ・バトン氏
ゲームプラン部門アドバイザー リサ・ホファート氏
〇中国の取組
北京体育大学スポーツ心理学教授 リーウェイ・ジャン氏
講師 ヤン・グー氏
〇イギリスの取組
英国スポーツ研究所(UKSI) 心理部門長 ダニエレ・アダムス・ノレンバーグ氏
〇アメリカの取組
アメリカオリンピック・パラリンピック委員会(USOPC) 心理サービス部門長 ジェシカ・バートリー氏
スポーツ医科学部門副部長 アンバー・ドナルドソン氏
その後のパネルディスカッションでは、登壇者間で活発な意見交換が繰り広げられ、参加者からも多くの質問が寄せられました。議論を通じて、Behaviour(行動)、Relationship(関係性)、Education(教育)、Collaboration(協働)、Strategy(戦略)、Partnership(連携)、Integration(統合)、Knowledge Sharing(知識共有)といったキーワードが浮かび上がり、国や立場を超えて共有されるべき重要なテーマとして認識されました。
最後に、JSC理事の久木留毅HPSCセンター長よりHPSCに関する新たな取組と西が丘フォーラムの意義、国際連携の強化、情報共有と活用の重要性、そしてアスリートの持続可能な成長を支える環境づくりへの強い決意が語られ、フォーラムは盛況のうちに幕を閉じました。
本フォーラムを通じて、メンタルヘルス支援がアスリートの持続可能な競技力向上に不可欠であるという認識が国内外で共有されました。国際情報戦略部は、今後も世界の動向を的確に捉え、国際的なネットワークを活用しながら、日本のスポーツ支援体制の高度化と情報発信力の強化に取り組んでまいります。
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