インテリジェンス活動及びドーピング調査
(1)インテリジェンス活動とは
スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律(平成30年法律第58号)及び、スポーツにおけるドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(平成31年3月14日施行)の目的及び基本理念を尊重し、JSCは「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する業務」(JSC法15条1項6号)の一環として、スポーツにおけるドーピングの防止に係るインテリジェンス活動を実施しています。
インテリジェンス活動とは、ドーピング調査を含むスポーツにおけるドーピングの防止活動を推進するために行う情報の収集、分析及び評価活動です。
(2)ドーピング調査とは
インテリジェンス活動のうち、検体の分析では対処できないアンチ・ドーピング規則違反行為を特定するために行う情報の収集、分析及び評価活動をドーピング調査と呼び、組織化・巧妙化しているといわれているアンチ・ドーピング規則違反行為を発見し、特定するために不可欠な活動です。これに関し、アンチ・ドーピング規則違反を定めている日本アンチ・ドーピング規程では、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(以下「JADA」という。)によるドーピング調査に加え、JSCも「日本の法令に従い、独立して、独自にドーピング調査を行うことができる」(5.1.1項)とされています。
(3)ドーピング通報窓口の設置・運用
インテリジェンス活動における情報収集手段のひとつとして、JSCはドーピング通報窓口を設置・運用しています。情報の秘匿性や通報者の匿名性の確保等、通報者を守る環境を整えたドーピング通報窓口では、世界アンチ・ドーピング規程及び日本アンチ・ドーピング規程第2条に該当する又は該当する疑いのある行為に関する情報を受け付けています。
〇参考(※)は、スポーツ庁ホームページにリンクします。
広報活動・理解促進活動
上述のインテリジェンス活動及びドーピング調査を効果的に実施するためには、競技者、サポートスタッフ(監督・コーチ、メディカルスタッフ等)、競技団体の役職員といったスポーツ関係者のご理解とご協力が不可欠です。このためJSCでは、JADAや競技団体等と連携し、研修等における情報提供の他、広報ツールの配布、SNSによる広報等を通じて、インテリジェンス活動への理解を深め、クリーンでフェアなスポーツを守るためにより多くの協力が得られるよう努めています。
また、我が国のアンチ・ドーピング活動が進展していくよう、諸外国のアンチ・ドーピングに関する実務家を招聘し、先進的な取り組みや直面する課題を共有・議論するセミナーを開催しています。
情報収集
スポーツにおけるドーピングの世界動向を把握し、より充実したインテリジェンス活動を実施するため、世界アンチ・ドーピング機構が主催する会議や各国インテリジェンス担当者が集うシンポジウム等への出席、諸外国のアンチ・ドーピング機関への聞き取り調査等を通じた情報収集を行っています。
日本アンチ・ドーピング規律パネル
(1)概要
日本アンチ・ドーピング規律パネル(以下「規律パネル」といいます。)は、日本アンチ・ドーピング規程に定められる機関で、アンチ・ドーピング規則違反を行ったかについて聴聞を行い、措置を決定するという役割を担っています。規律パネルは、法律家である1名の委員長と複数名の副委員長、複数名の医師、更なる複数名の委員(スポーツ関連団体の役職員又は競技者)で構成されます。
競技者やサポートスタッフ(監督・コーチ等)によるアンチ・ドーピング規則違反の可能性について、JADAがその者に対して、アンチ・ドーピング規則違反の通知・主張を行います。
その後、原則として、規律パネルの委員長により、同パネルの委員の内から3名の委員(委員長又は副委員長である法律家1名、医師1名、スポーツ関連団体の役職員又は競技者1名)が聴聞パネルとして任命されます。その聴聞パネルにより聴聞会が開催され、JADA及び競技者等から事情を聴くなどした上で、当該聴聞パネルがアンチ・ドーピング規則違反の有無を認定し、措置を決定することになります。
【アンチ・ドーピング規律違反が疑われる場合の主な流れ】
JADAによる競技者等に対する違反の通知・主張 |
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規律パネル(聴聞パネル)による聴聞会※ |
⇩ |
規律パネル(聴聞パネル)による決定 |
※競技者等は違反を自認し、聴聞を放棄して、JADAの提案する措置を受諾することもできます。この場合、JADAから「同意に基づく決定」が出されることになります。
〇参考:日本アンチ・ドーピング規程(JADAのホームページ)
(2)体制・仕組み
規律パネルはJSC、JADA及び競技団体等から独立し、アンチ・ドーピング規則違反について中立かつ公正に判断を下すことが求められている、公正、不偏、独立の機関です。
JSCは規律パネルを運営しており、JSCの理事長が委員を任命しますが、任命に先立って、外部有識者で構成される日本アンチ・ドーピング規律パネル委員の任命等に係る諮問委員会を設置し、同諮問委員会から規律パネル委員候補者の適性等についての答申を得る仕組みとなっています。
また、規律パネルの適正な運営を補助する者として、外部専門員(運営コーディネーター)を任命し、競技者等との連絡調整、聴聞会の開催及び措置の決定等の聴聞手続に関する事務は、同人に一任しています。
これらの仕組みにより規律パネルの独立性が制度的に担保され、JSCが聴聞会や措置の決定等の聴聞手続に関して、規律パネル(運営コーディネーターを含む。)に影響を及ぼすことは一切ありません。
更に、JSCにおいても、インテリジェンス活動の担当と規律パネルの運営に関する業務の担当との課を分け、両業務間に情報遮断措置を施しています。
〇参考
(3)決定文
規律パネル(聴聞パネル)による決定文については、日本アンチ・ドーピング規程に沿って、JADAのホームページ上で公開されています。
〇参考:国内のアンチ・ドーピング規則違反決定(JADAのホームページ)
お問合せ先
1 アンチ・ドーピング活動全般について
スポーツ・インテグリティ・ユニット
インテグリティ推進課アンチ・ドーピング推進係
電話番号:03-6804-3802 |
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2 日本アンチ・ドーピング規律パネルについて
スポーツ・インテグリティ・ユニット
運営調整課
電話番号:03-6804-3759 |
※アンチ・ドーピング規則違反行為についての情報は、上記ドーピング通報窓口専用サイトから通報ください。
※ドーピング調査の進捗状況等については、調査の適正な遂行やプライバシーへの配慮等によりお答えいたしかねますのでご了承ください。
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