免責の特約

 災害共済給付は学校の管理下で児童生徒等の災害が発生した場合に行われますが、その中には被災児童生徒等以外の第三者の過失責任等による災害もあります。
 この場合、法律上の規定では、第三者に対してセンターが給付した分の支払を求めることとなりますが、この第三者には学校の設置者(以下「設置者」という。)も含まれます。
 このため、設置者の過失責任等が問われる災害の場合は、まずセンターから被災児童生徒等の保護者等(以下「当事者」という。)に給付が行われ、その後、センターはその給付金分の支払を設置者に求めることになりますので、設置者に突発的な財政負担が生じます。
 「免責の特約」は、このことに備えるため、あらかじめ設置者相互の掛金負担により財源を確保し、負担の分散を図るための仕組みとして設けられているもので、設置者が過失責任等を問われ賠償に応じる場合には、当センターは設置者に給付金分の支払を求めるのではなく、この確保した財源から給付金分を補填することとなります。同時に、設置者にとってはセンターが支払った給付金は自らが支払った損害賠償金とみなされ、その部分の支払が免責されることとなります。
 この仕組みは、災害共済給付契約の目的である「災害共済給付を行うことによって学校教育の円滑な実施に資する」という制度そのものの円滑な運用にも役立っています。


【免責特約の流れ】

 免責特約処理の実際について図示すると、次のようになります。

免責特約の流れ ここでは、被災児童生徒等が亡くなり、学校の設置者の過失責任が問われた場合を想定します。1被災者の迅速な救済のため、センターから設置者を通して、保護者に死亡見舞金を給付します。例として、死亡見舞金3,000万円が支払われたものとします。2設置者と保護者の間で示談、調停、判決などにより設置者が負うべき損害賠償額が確定します。例として、損害賠償額を4,000万円とします。3損害賠償額の決定後、設置者は、既にセンターから支給された死亡見舞金と損害賠償額との差額を保護者に支払います。ここでは、1,000万円を保護者に支払います。4既にセンターから支給された死亡見舞金の額は、免責の特約によって、支払いを免除されます。センターは、センター法第31条第2項により、3,000万円の求償権を設置者に対し取得しますが、免責の特約を付した契約者には求償権を行使しません。したがって、設置者は、3,000万円をセンターへ返還する必要はなく、結果として、3,000万円分の財政負担がなくなります。3,000万円については、全国の設置者が負担する「免責の特約の掛金」から充当されます。なお、センターは、センター法第31条第2項により、設置者に対し3,000万円の求償権を取得しますが、免責の特約を付さない契約者には求償権を行使することとなるため、設置者は、1,000万円を保護者に支払ったうえで、センターに3,000万円を返還することになります。

 実際に損害賠償の請求がなされる場合、示談、調停や裁判など、さまざまな解決方法がありますが、免責の特約を活用するためには、先に災害共済給付を受ける必要があります。また、学校の設置者は、当事者と取り交わす示談書、調停文や判決文等に、給付された災害共済給付金の全額の取扱いについて、必ず触れてもらうように関係各機関に周知していただく必要があります。

【チラシ】「損害賠償災害報告書」の提出はお済みですか?

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