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名古屋☆通信 第104号(2015.08)

 
 第104号 事故防止事例
-学校の管理下における熱中症について-
  今年の夏は各地で記録的な猛暑となっています。今回は、学校の管理下における熱中症について紹介します。
 
近年では、熱中症予防のための啓発が盛んに行われるようになり、学校においても様々な資料を活用し、熱中症予防に努められていることと思います。しかしながら、熱中症により給付を行った件数は、依然として減少するには至っておりません。
 
そこで、名古屋事務所管内7県(富山、石川、福井、岐阜、静岡、愛知、三重)で実施した災害共済給付によって得られた「熱中症の傾向」及び「災害事例」と「学校の再発防止の対応例」をまとめてみましたので参考とされてはいかがでしょうか。
 
熱中症とは
暑さの中で起こる障害の略称です。大きく次の4つに分けることができます。

1. 災害の現状


 
平成25年度に名古屋事務所で給付を行った164,931件の災害(発生件数)のうち、「熱中症」と判断できる730件を抽出しました。

 
 

2. 災害の事例と再発防止の対応例



事例1
 
 
 事例1の災害発生時の学校の管理体制


・前日に各担任教諭から生徒へ、タオル、飲み物、冷やすものの持参について指示を出し、当日、学校からは業務用クーラーボックスに氷、AEDを用意していた。
・各自で空き時間に水分をとるようにこまめに声をかけていた。(一斉に水分補給の時間を設けるようなことはなかった。)
・教諭は管理職も含め全員で引率、指導監督していた。
・スポーツテストを意識し、5月の体育の際は外周走を取り入れていた。


事例1の災害後の安全指導・改善事項

 

・会場(学校外・競技場)でのテント設営を増やし、水撒きも行うこととした。
・水分補給を教職員でも確認できるよう「飲み物タイム」として水分補給の強制時間を設けることとした。
・養護教諭と保健委員の生徒による「生徒保健推進講習会」にて、「熱中症」をテーマに全校生徒によるアンケートを実施、文化祭にて発表を行った。

 
事例2
 
事例2 災害発生時の学校の管理体制

 

・職員室及び保健室に、経口補水液、氷嚢、凍らせたペットボトルを常備していた。
・養護教諭が1日3回(朝、昼、15時頃)WBGT※を測定し、測定結果を職員室に掲示し情報を共有していた。
・学校保健委員会において『熱中症』の講習会を開催し、教諭、生徒会役員、学級代表、各部活動代表が参加した。
・練習中は、水や持参のお茶等により、自主的に水分補給をするよう指示していた。
・顧問は、練習場所に散水を行いながら指導をしていた。

※WBGT(湿球黒球温度)とは・・ 暑さ寒さに関係する気温、湿度、輻射熱、気流の4要素を                    取り入れた、温度環境を評価する指標


事例2の災害後の安全指導・改善事項

 

・管理職も直接指導に当たるようにし、監督指導を2名体制にした。

・水分補給、休憩を十分に取るよう再度指導した。

・スポーツドリンクの持参を許可することとした。

・養護教諭より全職員に資料を配り、緊急時の対応について再確認した。 


3. 熱中症の予防の原則

●熱中症は予防できる!

 

1 環境条件を把握し、それに応じた運動、水分補給を行うこ

 暑い時期の運動はなるべく涼しい時間帯にするようにし、休憩を頻繁に入れ、こまめに水分を補給する。WBGT等により環境温度の測定を行い、次ページの「熱中症予防運動指針」を参考に運動を行う。汗には塩分も含まれているので水分補給は0.1~0.2%程度の食塩水がよい。運動前後の体重を測定すると水分補給が適切であるかがわかる。体重の3%以上の水分が失われると体温調節に影響するといわれており、運動前後の体重減少が2%以内におさまるように水分補給を行うのがよい。激しい運動では休憩は30分に1回とることが望ましい。 

 2 暑さに徐々に慣らしていくこと

 熱中症は梅雨明けなど急に暑くなったときに多く発生する傾向がある。また、夏以外でも急に暑くなると熱中症が発生する。これは体が暑さに慣れていないためで、急に暑くなった時は運動を軽くして、1週間程度で徐々に慣らしていく必要がある。週間予報等の気象情報を活用して気温の変化を考慮した1週間の活動計画等を作成することも大事である。

 3 個人の条件を考慮すること

 肥満傾向の者、体力の低い者、暑さに慣れていない者は運動を軽減する。特に肥満傾向の者は熱中症になりやすいので、トレーニングの軽減、水分補給、休憩など十分な予防措置をとる必要がある。
 また、運動前の体調のチェックや運動中の健康観察を行い、下痢、発熱、疲労など体調の悪い者は暑い中で無理に運動をしない、させない。

 4 服装に気をつけること
   服装は軽装とし、吸湿性や通気性のよい素材にする。直射日光は帽子で防ぐように
   する。

 5 具合が悪くなった場合には早めに運動を中止し、必要な処置をすること

 ★ 以上のポイントに注意して、体調が悪くなったらすぐに運動を中止し、適切な
     応急手当など必要な措置をとりましょう! また、一方的に怠けなどと判断し
     て放置せず、冷静に症状を観察・判断し、迅速に対応しましょう!

                                     
                         出典:「熱中症を予防しよう -知って防ごう熱中症-」
  
 
 
                          出典:「熱中症を予防しよう -知って防ごう熱中症-」 

4. 学校における熱中症予防のための指導ポイント
 
 

 1 直射日光の下で、長時間にわたる運動やスポーツ、作業をさせることは避けましょう。 

 2 屋外で運動やスポーツ、作業を行うときは、帽子をかぶらせ、できるだけ薄着をさせま
     しょう。 

 3 屋内外にかかわらず、長時間の練習や作業は、こまめに水分、(0.1~0.2%食塩水
  あるいはスポーツドリンク等)を補給し適宜休憩を入れましょう。また、終了後の水分補給
  も忘れないようにしましょう。 

 4 常に健康観察を行い、児童生徒等の健康管理に注意しましょう。 

 5 児童生徒等の運動技能や体力の実態、疲労の状態等を把握するように努め、異常が
  見られたら、速やかに必要な措置をとりましょう。 

 6 児童生徒等が心身に不調を感じたら申し出て休むよう習慣付け、無理をさせないように
      しましょう。

☆また、日頃から、緊急時の対応のために校内対策チームを組織し、熱中症対策について教職員の共通理解を図り、応急手当の研修を実施したり、学校医、消防署、教育委員会、家庭等への連絡方法等を明確にしたりして、救急体制を確立しておきましょう。

 

出典:「熱中症を予防しよう -知って防ごう熱中症-」

 

 5. 熱中症予防と体育・スポーツ活動の進め方
 

 暑い夏で無理に運動しても、トレーニングの質が低下する上、消耗が激しく、効果は上がりません。熱中症予防は、安全面だけでなく効果的トレーニングを行う上でも、大変重要です。

 熱中症事故の実態からは、予防のポイントとして、以下のことが挙げられます。

 
 1 熱中症事故は、夏のごく普通の環境条件下で発生しています。夏は、個人の条件や運動
     の方法によっては、いつでも熱中症は起こり得ることを認識しましょう。また、マラソンなど
     の学校行事では夏以外でも熱中症事故が発生しています。
 
2 運動種目は多岐にわたりますが、野球、ラグビー、サッカー、柔道、剣道で多く発生しており、
   これらの種目では、特に注意しましょう。また、運動種目にかかわらず、ランニングや
   ダッシュの繰り返しによって多く発生しています。
 
3 暑さの耐性は、個人差が大きく影響します。特に肥満傾向の人は熱中症
   事故の7割以上を占めており、注意が必要です。

                             
                          出典:「熱中症を予防しよう -知って防ごう熱中症-」
 6. 熱中症対応フロー

                      出典:教材カード平成26年7月号「熱中症に注意しよう(教職員向け)」
 7. センター刊行物等の紹介

 ホームページよりダウンロードできますので、是非ご活用ください。

 ・3~6 出典元
 
熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-
 
 ・熱中症予防の書籍
 
体育活動における熱中症予防 調査研究報告書
 
 教材カード  

 

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