ホーム > 学校現場での取組(事故防止対策) > 仙台地域 > 学校現場での取組(事故防止対策) 仙台第61号(2020.9)

学校現場での取組(事故防止対策) 仙台第61号(2020.09)

中学校における事故防止情報の活用事例

 日本スポーツ振興センター(以下「JSC」)では、学校での事故防止に活用できる教材や資料を作成し学校安全Webで提供しています。今回は、山形県天童市にある天童市立第一中学校(以下「天童一中」)にいて、スポーツ事故防止ハンドブック映像資料(DVD)を活用した事例についてご紹介します。
保健の授業で熱中症の資料を使用して、体育教諭が教室で説明している場面の写真
<授業の様子>

JSCの事故防止情報を活用したきっかけについて、養護教諭の楢岡(ならおか)先生にお聞きしました。

 世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の影響で、山形県内の学校では山形県教育委員会の通知に基づき、今年度は水泳授業を実施しないことになりました。
 天童一中では、水泳授業の代わりの活動を検討した結果、気温も湿度も高い夏季期間に運動の授業を増やすのは熱中症の危険性が増えると考え、保健の授業に力を入れることにしました。授業では、熱中症予防と新型コロナウイルス感染症予防を全校生徒に実施しているところです。
 授業で使用する熱中症の資料についてJSCに相談し、スポーツ事故防止ハンドブック映像資料(DVD)「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」を使用することとしました。

~授業の様子を取材しました~

 授業では、「熱中症について説明できるようになろう!」を課題として、1年生男子33名に対し、保健体育教諭の下山(しもやま)先生が熱中症に関するパワーポイントを基に、学校の管理下における熱中症の傾向・事例紹介・予防と対策について説明しました。
熱中症資料の一部その1。事故発生件数と傾向①。平成30年度、全国の熱中症医療費給付件数7,113件を基に月別件数と時間帯別件数を棒グラフにしたもの。月別件数の内訳は、4月164件、5月415件、6月622件、7月上旬367件、7月中旬2,024件、7月下旬1,434件、8月上旬803件、8月中旬219件、8月下旬459件、9月423件、10月89件、11月42件、12月16件、1月8件、2月8件、3月20件。グラフより、暑くなり始めや、気温が低い時期にも発生している。時間帯別件数の内訳は、0時から8時前までが104件、8時から10時前までが650件、10時から12時前までが1,702件、12時から14時前までが、1,305件、14時から16時前までが1,826件、16時から18時前までが1,122件、18時から20時前までが328件、20時から0時前までが76件。グラフより日中が多い傾向にあるが、朝夕にも発生している。
<熱中症資料の一部 その1>
熱中症資料の一部その2。事故発生件数と傾向②。平成30年度、全国の熱中症医療費給付件数7,113件を基に場合別件数を円グラフにしたものと、体育的部活動中の発生件数上位の運動種目の表。場合別件数の内訳は、体育的部活動が4,213件で全体の59%、体育が415件で全体の6%、運動会・体育祭が369件で全体の5%、運動中(その他)が301件で全体の4%、非運動中が1,815件で全体の26%となっている。グラフより、約7割が運動中に発生していることが分かるが、約3割は非運動中であることから、運動していなくとも油断は禁物である。体育的部活動4,213件の運動種目上位を見てみると、1番目が野球部で730件。2番目がテニス部で604件。3番目がバスケ部で478件。4番目がサッカー部で462件。5番目が陸上部で422件。以下、バレー部、バドミントン部、ソフトボール部と続く。
<熱中症資料の一部 その2>
体育教諭が教室で熱中症の資料を用いて熱中症の傾向について説明している様子の写真。モニターに映し出されている熱中症の資料の内容。事故発生件数と傾向①。平成30年度、全国の熱中症医療費給付件数7,113件を基に月別件数と時間帯別件数を棒グラフにしたもの。月別件数の内訳は、4月164件、5月415件、6月622件、7月上旬367件、7月中旬2,024件、7月下旬1,434件、8月上旬803件、8月中旬219件、8月下旬459件、9月423件、10月89件、11月42件、12月16件、1月8件、2月8件、3月20件。グラフより、暑くなり始めや、気温が低い時期にも発生している。時間帯別件数の内訳は、0時から8時前までが104件、8時から10時前までが650件、10時から12時前までが1,702件、12時から14時前までが、1,305件、14時から16時前までが1,826件、16時から18時前までが1,122件、18時から20時前までが328件、20時から0時前までが76件。グラフより日中が多い傾向にあるが、朝夕にも発生している。
<熱中症の資料を用いて熱中症の傾向について説明している様子>
 熱中症は気温が低い時期・時間帯でも発生していることや、約3割が運動していない時に発生していることがグラフから読み取れます。
 また、スポーツ事故防止ハンドブックに記載されているWBGT(湿球黒球湿度)についても説明を行いました。天童一中では、取材の前日にWBGTが31度を超えたため、全ての部活動の活動を中止したそうですが、当該中止の判断は、このWBGTを用いた熱中症予防運動指針に基づくものであることも伝えられました。
 その後、、映像資料(DVD)「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」を視聴し、熱中症が発生した場合の対応方法や予防について学習しました。
 授業の最後には、授業で習った熱中症に関する情報を基に、各自が「熱中症について」というタイトルの資料を作成しました。ただ、見る・聞くだけの授業ではなく、熱中症の資料を作成するというゴールを設定することで、DVD視聴時やパワーポイントの説明時も常にメモを取るなど、生徒自らが積極的に参加している姿がとても印象的でした。
体育教諭が教室で、スポーツ事故防止ハンドブックを用いてWBGTについて説明している様子の写真
スポーツ事故防止ハンドブックを用いてWBGTについて説明している様子>
教室で映像資料(DVD)「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」視聴している様子の写真
映像資料(DVD)「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」視聴の様子>

~授業を受けた生徒の感想~

映像資料(DVD)は、熱中症になった際の対応が再現されていて分かりやすかった。
・熱中症について詳しく分からなかったので、映像資料(DVD)を見て理解することができた。
・熱中症になりやすい時期・場所や熱中症の予防法を知ることができた。
・意識がある時とない時の対処法について知ることができた。
・熱中症は、運動中だけでなく非運動中にも起こることが分かった。
スポーツ事故防止ハンドブックは、熱中症以外のことも載っているので参考になった。
・体育的部活動での熱中症発生件数について、野球部が一番多いことが分かった。

スポーツ事故防止ハンドブック、映像資料(DVD)を活用してみた感想について、下山先生にお聞きしました。

 スポーツ事故防止ハンドブックは、さまざまな災害に対応したフロー等が記載されているので、緊急時に役立つと思いました。
 映像資料(DVD)は、視聴した生徒の評判も良く、内容も分かりやすく10分程度の映像なので、授業での使用に適していると思いました。いろいろな種類があるようなので、授業だけでなく、各部活動でも視聴させたいと思いました。

JSCの事故防止情報に対する意見・要望等について、楢岡先生にお聞きしました。

 中学生になると生徒自身に考えさせることが多くなるため、教職員向けだけでなく、生徒向けの事故防止資料を充実してもらいたいです。

~取材を終えて~

 JSCで提供している事故防止情報の資料の中には、今回紹介させていただいたスポーツ事故防止ハンドブック映像資料(DVD)のほか、学校安全Webから過去の死亡障害の全事例を検索できる学校事故事例検索データベース、季節に合わせて毎月異なるテーマで作成している教材カードなどの資料がありますので、職員向けの研修会や授業などでも、是非ご活用ください。

~お願い~

 JSCが提供している事故防止情報を活用している先生方がおられましたら、ウェブサイトなどで共有したいと考えておりますので、担当地域事務所にご一報ください。お待ちしております。
 

 

ページトップへ