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学校現場での取組(事故防止対策) 東京第91号(2021.03)

日本スポーツ振興センターが提供する
映像資料(DVD)、 事故防止情報を活用した熱中症対策
-神奈川県横浜市立平戸台小学校-

 日本スポーツ振興センター(以下、JSC)では、学校における事故防止対策に活用できる資料を学校安全Webに多数掲載しています。
 今回は神奈川県の横浜市立平戸台小学校(以下、「平戸台小」)における、熱中症に係る映像資料(DVD)の活用事例についてご紹介します。
 平戸台小では、毎年、事故防止対策の取組として教職員安全研修会(以下、「校内研修会」)を実施しており、今年度は新型コロナウイルス感染症予防を行いつつ、どうやって熱中症対策を行っていくか、教職員の意識合わせに焦点を当てた研修を実施されました。

JSC資料を活用するきっかけ

 養護教諭の三田先生にJSC資料を活用するきっかけを伺いました。
 「コロナ禍における校内研修会を実施するに当たり、密にならないように短時間(約30分)で、効果的な研修の実施を目指して、研修の構成や資料作成(パワーポイント)に取り組みました。資料作成に当たっては横浜市教育委員会が作成した「横浜市立学校熱中症対策ガイドライン」はもとより、省庁や関連団体の熱中症対策関連資料等を組み合わせたいと、資料をパソコンで検索している中で、学校安全Webに掲載している 事故防止対策に関する資料を見つけ、JSCへ連絡し、映像資料(DVD)、熱中症対策フローを活用しました。」

校内研修会の開催時期・内容など

 研修会の開催時期・内容について、伺いました。
 「夏休みが明けた翌日(令和2年8月18日)という日程で実施された校内研修会において、冒頭に紹介する基本的な内容である「熱中症とは」「熱中症の症状・重症度分類と対応」という部分は、横浜市教育委員会が作成した「横浜市立学校熱中症対策ガイドライン」を紹介し、横浜市立学校の職員として押さえておくべきガイドラインの内容を教職員で共有しました。」
校内研修に使用した研修資料の抜粋。熱中症の基本的知識の解説。熱中症とは、暑さの中でおこる障害の総称。死に至る可能性のある病態です。予防を知って、それを実践することで、防ぐことができます。応急処置を知っていれば、重症化を回避し後遺症を軽減できます。
<「校内研修会」資料より抜粋>
 「また、今年は、新型コロナウイルス感染症予防対策として、マスクを着用しての学校生活となり、厚生労働省のHPでも紹介されている以下の資料を活用し、昨年まで取り組んできたマスク無しの熱中症対策との違いや、感染症予防を考慮した熱中症対策の重要性について職員間で確認し、理解を深めました。」
キーワード:「マスク着用によるリスクへの対応
「マスクの取り外しについては、現場で臨機応変に対応する
「こまめに水分補給をする」など
校内研修に使用した研修資料の抜粋。マスク着用によるリスクへの対応例として、①熱中症発生の可能性が高いと判断した場合は、マスクを外す。②マスクを外す場合には、感染予防の配慮をする。ただし、命に係わる熱中症への対応を優先する。マスクの取り外しについては、現場で臨機応変に対応することが重要。これは教職員の研修の必要性がある。児童生徒等本人が暑さで息苦しいと感じた時などには、マスクを外したり、一時的に片耳だけかけて呼吸したりするなど、自身の判断でも適切に対応できるように指導することが必要。熱中症リスクを考慮し、登下校時には、人と十分な距離を確保できる場合には、マスクを外す。
<「校内研修会」資料より抜粋>

JSC作成の事故防止情報の活用

 校内研修会の後半では、実際に熱中症が発症した場合の対処方法を確認する目的で、JSCが作成した映像資料(DVD)「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」を研修会に参加された先生方に視聴していただき、三田先生からは、「約11分という短い時間でまとめられており、資料として用いやすい」というお話をいただきました。別の先生方からは、「短時間に、非常にわかりやすくまとめられていて良い」「紙の資料と併せて映像資料を使用すると、視覚的にわかりやすい、また記憶にも残りやすい」という感想をいただきました。
学校安全Webの映像資料である「熱中症を予防しよう知って防ごう熱中症」の概要説明画像
<学校安全Webの映像資料 紹介画面>
 また、校内研修会と併せて、JSCが作成した熱中症対応フローのポスターも、保健室内に掲示して啓発していただきました。
保健室内のキャビネットに磁石で熱中症対応フローのポスターが掲出されている様子の画像
<保健室内のキャビネットに掲出されている様子>
 校内研修会において職員間で共有できたことの一例として三田先生からお話しいただいたのは、「教室内の換気の方法」についてです。「緊急事態宣言の影響を受けて、夏季休業期間が短くなり、8月のまだ暑い時期に授業が再開されたため、教室の環境として、冷房の効き目が十分でない中で過ごさなくてはなりませんでした。そうした場合の換気方法、言い換えると「熱中症対策」と「感染症対策」のバランスのとり方に職員間でも心配があった」とのことでした。この研修で、窓や扉の開け方についての情報を共有し、職員間での意識を合わせ、授業再開にのぞむことができたそうです。

学校安全Webの熱中症予防に関する啓発資料について

 これまでJSCでは、熱中症予防に関する調査研究やその報告書、熱中症予防の啓発資料の作成に取り組んできました。今回活用していただいた映像資料(DVD)、ポスター以外にも多くの資料を学校安全Webで掲載しております。ぜひ、ご活用ください。
学校安全Webの熱中症予防のための啓発資料について紹介したページの画像。
<学校安全Webの「熱中症予防のための啓発資料」の紹介ページ>

コロナ禍における校内研修会実施の難しさについて伺いました

・外部講師が頼めない
例年はプール授業が始まる前の時期に、外部講師として消防士の方に救急救命(心肺蘇生法とAED)の講習を依頼しているそうですが、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって引き受けてもらえず、三田先生が実技の講師も行うこととなり、校内研修会の前にご自分のスキルアップのために外部機関の実施する救急救命関連の講習を受講したそうです。
・新しい知見をアップデートする
「新型コロナ感染症の感染リスクへの対策を講じたうえで行う、救急救命法について、新しい知見(「エアロゾルを吸い込まないように胸骨圧迫のみを行う」、「人工呼吸は行わない」等)を得られ、その内容についても校内研修会で共有した」そうです。
・「密」を避ける
「校内研修会自体も「職員間の座席の間隔をあける」「短時間で行う」など感染リスクを減らしながら実施する必要があり、共有する内容を厳選して効率的に実施する難しさを感じた」ともおっしゃっていました。

JSCの事故防止情報の資料について感想、期待することを伺いました

・「今年度に入って、歯を破折する災害が続いています。そのため歯の事故防止に関する研修を考えており、JSCの映像資料(DVD)を活用したいと考えています。」
・「食物アレルギーの対応や事故防止については、自分が所属している養護教諭部会の資料等活用しながら校内研修会を行っています。JSCの事故防止情報に食物アレルギーに関する資料(※)が無かったので、あれば今後研修で活用したいです。」
※スポーツ事故防止ハンドブック、スポーツ事故対応ハンドブックにおいて、学校からご要望が多かった食物依存性運動誘発アナフィラキシーに関する項目を加えました(令和2年度改訂)。

終わりに

 世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「新しい生活様式」が模索され、いまだに収束が見えない中、学校現場では、学校を管轄する教育委員会の作成する資料や省庁から発信されている情報について、アンテナを高くして選び取り、タイムリーに校内研修会で共有され、「子どもたちの安全対策について何をすべきか」と様々に工夫し取組まれていることを改めて知ることができました。そうした取り組みのなかで、JSCが提供する事故防止資料についても、有効活用されていることが分かりました。
 最後に、取材にご協力いただきました藤巻校長先生、小林副校長先生、養護教諭の三田先生、お忙しい中ご対応くださいましてありがとうございました。

お願い

 JSCが提供している事故防止資料を活用いただいている先生方がいらっしゃいましたら、学校安全Webで共有したいと考えておりますので、是非、担当地域事務所にご一報ください。よろしくお願いします。

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