第77回 心肺停止事故に対する取組-迅速な判断と対応事例-

心肺停止事故に対する取組
― 迅速な判断と対応事例 ― 
 
  学校の管理下では、様々な事故が発生します。中には命に関わるケースや、重い後遺症が残るケースがあり、事故発生時の緊急対応が大切になります。

 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)では学校の管理下で重大な事故が起こった際には現地に出向き、事故の詳細な状況と事故に対する対応内容及びその後の再発防止に向けて行っている取組について、調査を行っています。

 今回は、合宿中に起こった心肺停止事故発生時の「現場での迅速な判断と対応」によって、現在、当該生徒が身体に異常も後遺症もなく、部活動(ラグビー部)にも完全復帰し、元気に学校生活を送ることができている事例を紹介します。
 
 【事故内容】

 ■事故発生の状況【高等学校 1年生 男子】

 夏期休業中、部活動の合宿で行われた練習試合開始数分後、選手たちが団子状態になった後、当該生徒が元のポジションに戻る際に、崩れ落ちるように倒れました。

 なお、試合開始前に1時間程度の準備運動を行っており、事故前は生徒に特段の変わった様子はなかったとのことです。

 ■事故発生直後の生徒の様子

 仰向けに倒れ、眼は開いたままで、周囲からの声がけに反応はなく、脈、意識がない状態でした。そして大きく死戦期呼吸が1回認められました。


 ※死戦期呼吸とは…しゃくりあげるような不規則で時おり出現する異常な呼吸です。
  JSCでは教職員・生徒向けDVDとしてHP等でも紹介しています。

平成26年度文部科学省委託事業スポーツ事故防止対策推進事業 DVD 「その時あなたは」 参照

 http://www.jpnsport.go.jp/anzen/tabid/1765/Default.aspx

 心停止のサインである心室細動と死戦期呼吸についてCGとドラマでわかりやすく表現しています。
 また、心肺蘇生とAED使用の必要性を理解できる構成となっています。

 

  ■事故発生時の現場での対応

  現場にいた顧問などがすぐに当該生徒の元へ駆けつけ、気道確保、脈の確認を行い、救急車を要請しました。
 グラウンド管理事務所へAEDを取りに行っている間、消防士の卒業生が、本人の状態を見てすぐに心肺蘇生(CPR)が
 必要と判断し、顧問と一緒に心肺蘇生を開始しました。AEDが到着し、3回の電気ショックを実施した後に心肺機能が回復
 しました。その後、到着した救急隊により病院へ救急搬送されました。

  ■事故発生前の取組  

  今回の事故発生以前から、

  「3年毎に全教職員を対象とした救命講習を実施」

  「保健体育科教員の一部は、日本赤十字社による救命講習を受講」

  また、「中学2年生の生徒を対象に、保健体育の授業で心肺蘇生とAED講習を実施」するなど、日頃から心肺蘇生に
  関する講習を実施する機会を設けていました。
 

 
グラウンドの側にAEDを設置
 
学校内にAED設置場所への案内を掲示

  ■事故発生後の取組

  「校外活動時にAEDを持っていく」など、AEDの携帯を充実させています。

 具体的には、

 〇学校に設置されている4台のAEDのうち、2台は部活動の遠征や合宿などに貸出可能とした。

 〇遠征や合宿など学校外で活動を行う際、事前に必ずAED設置場所を確認するよう指導した。

  〇ラグビー部については、専用AED1台をOB会が購入した。 


【実地調査を終えて・・・】

 今回の事故実地調査から、改めて、以下のようなことが分かりました。

・学校において、教職員及び生徒に繰り返し心肺蘇生の講習を行うことで、判断力や対処能力が身に付き、事故に居合わせても躊躇することなく行動に移り対応ができること。

・常に身近にAEDを備え使用できるようにしておくことが、心肺停止事故発生の際には救命の成功につながること。

 

 今回は、事故発生時の対応が適切で、当該生徒が今は元気に学校生活を送ることができている事例を紹介させていただきました。
 今後も、安全指導対策の成功例や事故防止対策などの情報を積極的に収集して提供していきたいと考えています。
 ご協力をお願いします。
           

 

【参考資料として下記もご参照ください】

スポーツ事故防止ハンドブック

     
 


平成27年度8月教材カード

命を救う大事な一歩(小学生中・高学年向け)

~突然死~知って救おう大事な命(中学生・高校生向け)

突然死の予防と応急手当(教職員向け)

 

 

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