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Web杜のたより 第45号(2016.7)

登下校中の事故防止の取組
 
 独立行政法人日本スポーツセンターでは、災害共済給付に関する重要案件について公正かつ適切な災害共済給付を行うことを目的とし実地調査を行い、その結果は、災害共済給付に係る審査資料として利用すると共に学校の管理下における事故災害防止の資料としても活用しています。登下校中の災害についても重大事故に繋がるような場合は、調査を行っています。
 登下校中の経路上には、子どもたちにとって、危険な箇所がたくさんあります。下校中に小学生の男子児童が用水路に誤って転落し、流されてしまった事故について昨年度に実地調査を行いました。その実地調査から約1年後、事故防止の取組状況を安全指導等と環境整備の両面から取材してきましたので、『地域だより』にて紹介します。
 

 
【災害発生状況】 小学校 2年生 男子 下校中
 下校中に通学路脇にある農業用の用水路(幅1m深さ1m)に足を滑らせて落下してしまい、約200m
流されてしまう。
【措置状況】
 一緒にいた同級生の女子児童が、仰向けのまま流された本児童を走って追いかけ、200m流された地点で、
流されないように本児童の腕を必死につかみ「助けて!」と大声で助けを呼んだ。近くを通りかかった男子高校生が
その声を聞いて駆けつけ本児童を引き上げ、救急車を要請した。救助されたとき本人は、意識があり泣いていた。
【傷病名】 溺水 
【経過】 搬送後1日入院をしたが、退院後は通常の学校生活を送っている。
     救助した女子児童と男子高校生には、後日、消防署より感謝状が送られた。

 


○災害発生後の翌日に臨時の全校集会を開き、児童に対し登下校時の注意点について安全指導を行った。

○保護者宛に文書にて、事故発生の周知、安全な登下校についての注意喚起を行った。

○災害発生後、毎月1日と15日の登校時に東西の通学路の合流地点に職員を配置し、児童に対して安全な
通学方法等について、指導を行っている。

○年度の初めに保護者に対して、危険箇所の簡易な地図を配布し、注意喚起を図った。

○昨年の11月から集団登校後に各班(23班)の班長が昇降口で3つの約束事(①挨拶ができたか②時間
通りに来ることができたか③一列に並んで登校できたか)が守れたかの採点を行い、 1ケ月ごとに集計し
点数の良かった班は、校内放送で発表するようにしている。 ​

 

 
 


○災害発生現場は、以前から危険な箇所なので用水路の網掛け工事の要望書を提出していたが、 着工に至って
いなかった。今回の災害発生後に再度用水路の危険性を訴え、早急に工事を着工するように強く求めた。

○昨年の9月末頃に網掛け工事が着工された。それに伴い、子どもたちにも再度、登下校中に通る用水路には
注意するよう、指導をしている。                   

  災害発生現場 事故当日は田植えの時期でもあり、水色の線の位置まで水かさが増しており、水の流れも速かった。

 
 
  災害発生状況 赤枠部分から誤って用水路に転落してしまう。仰向けのまま矢印の方向に流されてしまう。  
 
 
  発生現場から約200m流されてしまうが、同級生の女子児童と男子高校生により救助される。
  発生現場は、人がほとんど通らない場所である。 
 
 
  災害発生現場:用水路を渡る道路の両サイドに転落防止用の鉄網が取り付けられていました。
  赤丸が救助現場(写真右) 
 
 

 今まで、教材カードは利用していなく、熱中症の教材カードは取材時に初めて見させていただいたが、とてもわかりやすいので、これから、暑くなり夏休みもありますので、全体指導の中の一つとして、教材カード等を利用して、子どもたちに周知をしたいと考えています。いただいた『その時あなたは』と『水泳・歯と口の事故防止』のDVDについても、今後、教職員間で活用していこうと考えています。
 
 
 

 
 昨年の実地調査後に改めて事故現場に行き、増水した流れの速さに驚き、九死に一生だったなと思いました。同級生を追いかけて、流されないように腕をつかんだ女子児童と、駆けつけて引き上げてくれた男子高校生の連携に心を打たれました。学校管理下での事故防止対策として、網掛け工事のような環境整備による事故防止の取組も大事ですが、子どもたちに決められた約束事はしっかり守るという安全指導等の取組も大事です。『ならぬことはならぬものです』この地域に伝わる古くからの教えが、今もしっかりと根付いていました。              

 
 
参考までに学校での登下校中における今回紹介した事例と類似の水の死亡事故の事例を掲載します。
(出典:「学校安全Web」学校事故事例検索データベース)
 

 事例1(小学校 3年 女子)

 スキー学習を終えて、14時過ぎに下校し、通学路沿いにある友人宅へ向かった。15時頃、友人の家族が、友人宅の融雪槽(井戸)に転落しているのを発見し通報した。本児童はスキー靴などが入ったリュックサックを背負ったまま、頭を下にした状態で、腰のあたりまで水没した形で発見された。救命救急センターへ搬送され、心拍は再開したものの、呼吸不全は改善せず、翌日死亡した。
 

 事例2(小学校 6年 男子) 

 午後4時頃、スキー教室終了後、徒歩で友達3人と下校した。友達と別れ、一人で自宅に向かった。自宅に戻らないので警察に連絡し、捜索した。夜に自宅裏の用水路内で発見され、救急車で搬送されたが同日死亡が確認された。 
 

 事例3(高等学校 1年 男子) 

 午前6時頃、本生徒が用水路に転落しているのを発見。警察署員が駆けつけたが既に死亡していることが確認された。水路内には本生徒の自転車もあった。前日の17時以降連絡が取れなくなっており、死亡推定時刻から駅から自転車で帰宅中に転落した可能性が高いとされた。 

 

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