大会モニタリング・FINAワールドカップ・オリンピック最終予選
本年度最終年を迎える飛込の女性強化プログラムでは、専用トレーニング施設、専門的な指導者からのコーチング、高いレベルの競争相手とのトレーニング機会といった課題に対応した環境を整えることで、日本の女性アスリートらも更に上達することができるということが明確になりました。その成果を発揮する最高の舞台が、2016年8月にブラジルで開催されるリオデジャネイロオリンピックです。
その出場枠獲得のための最終予選であるFINAワールドカップが、2月19日(金)から24日(木)にブラジル・リオデジャネイロにおいて開催されました。この大会で、本プログラムのモデルアスリート5名がオリンピック出場権獲得に挑戦し、世界の強豪と競い合いました。国際舞台で高いパフォーマンスを発揮するには、「いつも通り」のことを「いつもできる」ことが大切です。そのための「シミュレーション」の重要性を認識し、海外プログラムやマカオ国際大会などを経験させて来ました。準備万端で大会に臨みましたが、実際世界トップクラスの演技を肌で感じ、1演技の重みを痛感しながら萎縮してしまう場面もありました。
しかしそんな中、女子高飛込に出場した板橋美波選手は見事決勝進出を果たし、オリンピックの出場権を獲得しました。予選・準決勝と苦戦を強いられましたが、得意の前宙返り系の種目を決め、高さ、スピード、切れの3拍子そろった持ち味を披露し会場を魅了しました。決勝では前宙返り4回半にも挑戦し、本番のオリンピックでの舞台も想定したシミュレーションができました。
また同種目に出場した佐々木那奈選手も予選を8位で通過し健闘しましたが、準決勝のラスト1演技で痛恨の踏み切りミスを犯し、入水角度が浅く点数を伸ばすことが出来ませんでした。順調な試合運びで出場権を獲得できるチャンスがあったので残念でなりません。今後の活躍に期待したいと思います。


<女子3mシンクロ飛板飛込の様子>

<女子シンクロ高飛込の試合中の様子>

<リオ出場が決定した女子高飛込の板橋選手>
~3年間の女性強化プログラムの成果~
国際競技会及び海外長期滞在型のプログラムに対応するため、英語をはじめとするコミュニケーション能力やセルフケア、及び栄養に関する知識と実践に焦点をあてたプログラムを実施してきました。そして、アスリートの競技レベルに応じた海外拠点を選定し、現地のコーチを活用し、ライバルとなる他国のアスリートとトレーニングに専念できる体制を整えることで、女性アスリートの国際競技力向上に特化した海外強化拠点が構築できました。この海外強化拠点で実施した海外育成プログラムを経て、特に女性ジュニアアスリートのパフォーマンスが向上し、板橋選手のような若手選手が台頭してきました。
また、女性長期海外プログラムを行ったモデルアスリートが、次世代アスリートの国際競技力向上のための海外強化拠点でのマネージメント活動に関心を持ち、引退後に競技に関わり続ける次の展望を持つことが出来ました。
このように本プログラムが、2016リオデジャネイロ、更には2020東京を見据えた日本女子飛込選手の活躍に繋がっていくと期待したいと思います。
プログラムの実施にあたり、多方面で協力いただいた競技団体、国内外の関係者の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。