スケルトン

2016年03月14日

今シーズンの成果 ~次のステップに向けて~(スケルトン)

昨年度のトライアウトによって発掘され、本事業の対象アスリートとして育成プログラムに参加して来た伊地知真優選手は、ユースオリンピック(YOG)選考レースを経て日本代表に決定し、先日、リレハンメル(ノルウェー)で開催されたYOGに参戦しました。

伊地知選手にとっては、今シーズン3度目のリレハンメルとなります。これまでリレハンメルのコースではたくさんの滑走を経験しましたが、気温や氷温によりコースの状態は毎回異なります。今回滑った感覚も、前回12月の選考レースの時とは感覚が異なったようで、レースまでの練習滑走10本の間に、修正を繰り返して本番のレースに臨みました。

 

219日、レース当日をむかえました。今まで味わったことのない雰囲気の中でのレースとなり、とても緊張して、思うように身体が動かなかったようです。

1本目の結果は57.20秒。20人中13位のタイムでした。

1本滑って少し緊張がほぐれたのか、2本目はタイムを伸ばすことができ、56.69秒で、全体の9位のタイムでレースを終えました。

スケルトンは2本の合計タイムが最終的な結果となります。

伊地知選手は、2本の合計タイムが1:53.89となり、その結果、総合順位は10位となりました。

レース前自分の順番を待つ様子
<レース前自分の順番を待つ様子>

スタートの様子
<スタートの様子>

試合が終わった後、伊地知選手は「目標は優勝だった。ものすごく緊張した。緊張している自覚はあったが、それをコントロールする方法がわからなかった」と話しており、とても悔しい思いをしたようですが、プッシュタイム(スタート局面のタイム)が、前回の選考レースの5.62秒から、今回は5.56秒に縮まったことは、選考レース後に、それまでの両手でソリを押すスタートから片手でソリを押す方法に変更したことや、スプリントトレーニングに取り組んだ成果だと言えます。

今回感じた悔しさを、今後の競技活動に活かしてくれるものと思います。

 

また、YOGでは、日本選手団として、他の競技の日本代表選手たちと行動を共にしました。そして、海外選手との交流や、様々な文化・教育プログラムを通じて、多くの刺激を受けました。

2年前にはスケルトン競技のことも知らなかった伊地知選手が、スケルトンを始めて2シーズンで日本代表選手となりました。この経験は、本人にとって非常に大きなものとなったと思います。

文化教育プログラムの様子:左はロールモデルアスリート、スケルトン競技トリノオリンピック銀メダリストのShelley Rudman
<文化教育プログラムの様子:左はロールモデルアスリート、スケルトン競技トリノオリンピック銀メダリストのShelley Rudman>

冬が終わると、スケルトンのシーズンも終わりとなります。

今年度のトライアウトを経て検証プログラムに進んだ検証アスリートも、長野での滑走練習を終えました。そして、これから目指すべき世界のトップレベルを実際に見て感じるために、211日~20日にイーグルス(オーストリア)で開催された世界選手権の視察をしました。

2ヶ月間の冬季トレーニングで感じた自分自身の課題と、トップレベルの選手のパフォーマンスを比較することで、たくさんのヒントを得たようです。そして何より、自分もこの舞台に立つ、という明確な目標ができました。

 

夏のシーズンは滑走することができないため、陸上トレーニングを行うこととなります。

2名の選手ともに、今シーズンの経験をもとに新たな目標設定をし、来シーズンに向けた夏季トレーニングを実施していくこととなります。

 

2年間にわたり実施してきた本事業の取り組みを通じて、種目転向型タレント発掘、短期間育成プログラムの一つのモデルを作ることができました。一方で、多くの課題も見つかりました。課題については、競技団体とも共有し、今後の取り組みに活かすことができるようにしたいと考えています。

このプログラムを通じて発掘された選手たちが、今後オリンピックの舞台で活躍してくれることを期待しています。

プログラムの実施にあたり、多方面で協力いただいた競技団体、国内外の関係者の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。


 

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