ハンドボール

2016年02月22日

個の海外強化プログラム@デンマーク~トップアスリートの長期海外派遣~

「個の海外強化プログラム」では日本ハンドボール協会の選考基準により選定されたトップアスリート及び、育成アスリート、女性スポーツの育成指導者を対象に、長期、短期の海外派遣を実施しています。競技活動においては、トップレベルの環境に身をおきながら個々の国際競技力向上を目指しています。また競技活動と両立して、デンマーク国民体育学校においての「教育プログラム」の受講を通し、人間として、アスリートとしてグローバルに活躍できる女性人材の育成を目指します。

今回はトップアスリート長期派遣のモデルアスリートとして、平成26年度より1シーズン(2014.8~2015.4)デンマークトップリーグ「SKオーフス」において活動した、本多選手へのインタビューと、現地での活動についてご報告します。

 

◆モデルアスリート 略歴

本多 恵(ホンダ メグミ)

1986年東京都出身、桜花学園高等学校、筑波大学でプレーした後、ソニーセミコンダクタ(鹿児島県)に所属し、2008年より日本代表に選出。現在は代表チームのキャプテンを務める。2014-2015シーズンにおいて、本事業のモデルアスリートとしてデンマークの強豪クラブ「SKオーフス」に所属し活躍。安定した技術と、経験値の高さから、日本代表においても精神的柱としてチームを牽引する選手の1人である。

SKオーフスホーム戦・パンフレット
<モデルアスリートの本多選手>

H26年度の「個の海外強化プログラム」トップアスリート長期派遣におけるデンマーク「SKオーフス」での経験について本多選手に聞きました。

 

Q1.まず、単身での海外移籍に至った経緯をお聞かせください。

A1.オリンピック出場の夢を叶える為に自分自身がレベルアップしたいと思っていました。そのためには日本を離れて、高いレベルに身をおきトレーニングをすることが必要であると、世界選手権(2013.12@セルビア)を終えて痛感しました。海外の情報を収集し、海外でプレーする方法を模索していたところ、本プログラムのモデルアスリートとして1シーズン、デンマークのSKオーフスでプレーするお話をいただきました。所属していた会社やチームメイトにもご理解いただき2014年8月よりSKオーフスの活動に参加しました。

 

Q2.実際にデンマークでプレーした中で、日本では得られなかった経験は何ですか?

A2.シンプルな中でも圧倒的なパワーに勝る戦い方は日本では経験できません。ウェイトトレーニングも週3回、メニューも実戦に近いものが多く、かなりの刺激を受けました。

 
Q3.今後ご自身と同じように日本のトップ、更には海外のトップレベルでの活躍を目指す若い選手に対し、アドバイスをお願いします。

A3.海外のチームでは、日本のような細かなチームの規律、ルールが多くありません。その分、選手個々が自主的に考え、率先して行動することが重要です。また、アスリートとしてコンディションを整えるためのケアの環境も全く異なります。自分自身の身体の使い方、怪我予防に対する取組み、食事管理など、日頃から意識して取り組んでいくことが大切だと思います。

SKオーフス ホーム戦・パンフレット
<SKオーフス ホーム戦・パンフレット>

◆この活動においては、これまで海外移籍する選手の課題であった、海外クラブの活動と日本代表活動との両立について、優先的に日本代表の活動に参加できるよう、派遣先クラブ(SKオーフス)及び国民体育学校(寄宿・教育プログラム)、また国内の競技団体関係者との調整を進めながら実施しました。



リーグ期間中の週末の活動例
リーグ期間中の週末の活動例>

注:学校/授業=国民体育学校での教育プログラム
  クラブTrSKオーフスでの活動(練習・リーグ戦)

本多選手は基本的に午前中は寄宿する「国民体育学校」で教育プログラムとして、語学やハンドボール、専門以外のスポーツなどの授業を受講し、午後は「SKオーフス」のトレーニングに参加、土日(場合によっては水曜日)にリーグ戦を戦う、といったスケジュールで活動していました。

教育プログラムやトレーニングの合間を使い自身のトレーニングやケア、学校の生徒との交流も深めました。また、学校のハンドボールの授業やクラブのトレーニングの中で、日本のトレーニング紹介や実際に選手や学生に指導することなども行いました。

JSCではモデルアスリートが活動の詳細、感想などをまとめた週間報告書や、活動に携る関係者(デンマーク、日本双方)からのヒアリングをもとに、関連する活動(国内インターナショナルプログラム(2015,6月実施)、海外での「個の強化」プログラム@デンマーク~育成アスリート短期海外派遣 兼 女性アスリートに関わるスポーツ指導者等の育成~(2015,11月~12月実施))の開発、実施につなげました。

 

この活動を通してデンマーク、日本の関係者より、モデルアスリートの競技内外での取組む姿勢や日本代表活動におけるリーダーシップ、チーム内でのコミュニケーション、においてよい変化が起きたという報告がありました。高水準な競技環境に身をおきパフォーマンスの向上を目指すとともに、アスリートとして、人としての資質向上も本プログラムを通して目指すべきものの一つと考えています。

次回は本事業を通して実施した各プログラムを振返るとともに、今後のプログラムの活用や展開にむけたまとめをご報告します。








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