五輪の夢舞台、闘志をむき出しに必死に戦う選手の姿は、私たちに挑戦する勇気を与えてくれました。日本が獲得した五輪史上最多となる38個のメダル数は、日本にとって価値ある結果だったと思います。夢を原動力にひたむきに頑張る選手の姿は、メダリストによる凱旋パレードに集まった50万人の皆さんが物語っていたように、多くの人の心を動かしました。スポーツの力が持つ夢と感動の大きさを改めて感じました。
そんな五輪では、選手のインタビューから「結果を出すことは、サポートしてくださった方々への恩返しです」「皆さんの応援があったからこそ、ここまでくることができました」など感謝の声が届きました。選手にとって、国民の皆さんの応援やサポート、家族の支え全てが力に変わります。
今回のレポートでは、夢に向かって挑戦する選手を支えてきたマルチサポート事業(『チーム「ニッポン」マルチサポート事業』:文部科学省からJAPAN SPORT COUNCILが受託している事業)をご紹介したいと思います。オリンピック期間前の日本での活動サポートや、オリンピック期間中のマルチサポート・ハウスでのサポートについて、競技トレーニング担当の守田誠さんと栄養担当の上村香久子さんにお話しを伺いました。(※マルチサポート・ハウスとは、北京五輪後の2010年中国・広州アジア競技大会において初めて設置された、日本選手団のためのサポート施設)
競技トレーニングサポート |
谷本 |
マルチサポート・ハウスでの競技トレーニングサポートの特徴を教えてください。 |
守田 |
日本と同じ環境を現地で提供できるこのマルチサポート・ハウスの設置では、試合直前のアスリートが望む、身体のリカバリーや筋肉への刺激など、普段行っているサポートの延長を現地で行うことができます。また五輪はプレッシャーも大きくかかるため選手の慣れ親しんだ場として精神的な部分でもサポートしたいと思っています。安心感を持って試合に挑んでもらいたいです。 |
谷本 |
私は北京五輪直前、大ケガにより柔道の実践的な練習が思うようにできず、国立スポーツ科学センターでサポートを受けながら、今できる最大限のことをトレーニングを通し行っていました。不安な気持ちも様々な角度からサポートしていただき、精神的にも充実した状態で本番に挑むことができました。トレーナーの皆さんは一緒に戦ってくれる仲間として常に心強い存在でした。 |
守田 |
サポートする側の想いとして、自ら掴んだ夢の舞台で悔いなく実力を出し切って欲しいと願っています。我々も現場にて選手と同じ目標や夢を共有できることはとても幸せな事です。マルチサポートは継続することに意味があり、全ての選手が競技生活を充実して送ることができる場になって欲しいと思っています。 |
谷本
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マルチサポートでは、オリンピック選手だけでなく、次世代の選手や強化選手などの育成も幅広く行っています。“憧れの選手の背中を見て夢を持ち、若手の頑張る姿を見て初心に帰る”そんな刺激を受ける場にもなっていると思います。 |
日本チームのサポート体制には“心”があります。ロンドン五輪で何度も耳にした“チーム力”というキーワードこそ、日本の強みであり、選手の底力だと思います。
今後、一人でも多くの選手が心強いサポート体制のもと、悔いなく夢に挑戦できることが私の願いです。