SPORTS JAPAN アンバサダー

活動NO.001-5

SPORTS JAPANアンバサダー活動レポート

マルチサポート事業報告

日程:2012/07~08  場所:東京都/ロンドン

アンバサダー:谷本歩実

ロンドンオリンピック柔道会場 五輪の夢舞台、闘志をむき出しに必死に戦う選手の姿は、私たちに挑戦する勇気を与えてくれました。日本が獲得した五輪史上最多となる38個のメダル数は、日本にとって価値ある結果だったと思います。夢を原動力にひたむきに頑張る選手の姿は、メダリストによる凱旋パレードに集まった50万人の皆さんが物語っていたように、多くの人の心を動かしました。スポーツの力が持つ夢と感動の大きさを改めて感じました。
 そんな五輪では、選手のインタビューから「結果を出すことは、サポートしてくださった方々への恩返しです」「皆さんの応援があったからこそ、ここまでくることができました」など感謝の声が届きました。選手にとって、国民の皆さんの応援やサポート、家族の支え全てが力に変わります。
 今回のレポートでは、夢に向かって挑戦する選手を支えてきたマルチサポート事業(『チーム「ニッポン」マルチサポート事業』:文部科学省からJAPAN SPORT COUNCILが受託している事業)をご紹介したいと思います。オリンピック期間前の日本での活動サポートや、オリンピック期間中のマルチサポート・ハウスでのサポートについて、競技トレーニング担当の守田誠さんと栄養担当の上村香久子さんにお話しを伺いました。(※マルチサポート・ハウスとは、北京五輪後の2010年中国・広州アジア競技大会において初めて設置された、日本選手団のためのサポート施設)

競技トレーニングサポート担当の守田さんと / JISSトレーニング室での様子① / JISSトレーニング室での様子②
競技トレーニングサポート
谷本  マルチサポート・ハウスでの競技トレーニングサポートの特徴を教えてください。
守田  日本と同じ環境を現地で提供できるこのマルチサポート・ハウスの設置では、試合直前のアスリートが望む、身体のリカバリーや筋肉への刺激など、普段行っているサポートの延長を現地で行うことができます。また五輪はプレッシャーも大きくかかるため選手の慣れ親しんだ場として精神的な部分でもサポートしたいと思っています。安心感を持って試合に挑んでもらいたいです。
谷本  私は北京五輪直前、大ケガにより柔道の実践的な練習が思うようにできず、国立スポーツ科学センターでサポートを受けながら、今できる最大限のことをトレーニングを通し行っていました。不安な気持ちも様々な角度からサポートしていただき、精神的にも充実した状態で本番に挑むことができました。トレーナーの皆さんは一緒に戦ってくれる仲間として常に心強い存在でした。
守田  サポートする側の想いとして、自ら掴んだ夢の舞台で悔いなく実力を出し切って欲しいと願っています。我々も現場にて選手と同じ目標や夢を共有できることはとても幸せな事です。マルチサポートは継続することに意味があり、全ての選手が競技生活を充実して送ることができる場になって欲しいと思っています。
谷本
 マルチサポートでは、オリンピック選手だけでなく、次世代の選手や強化選手などの育成も幅広く行っています。“憧れの選手の背中を見て夢を持ち、若手の頑張る姿を見て初心に帰る”そんな刺激を受ける場にもなっていると思います。
栄養サポート担当の上村さんと対話する選手&上村さんによる栄養バランスを考慮したメニュー
栄養サポート
谷本  上村さんには、柔道チームは日本での合宿からロンドンオリンピックの最中も、本当にお世話になりました。栄養サポートの方針など、どのようなビジョンで取組まれていたのですか?
上村  指導者からは、選手に対して、「百貨店型」のサポートをお願いされました。「百貨店型」のサポートとは最大限の情報提供を行い、選手が自分に必要なものを責任をもって選ぶような形です。私は選手が求めるものを与えるだけではなく、選手が必要なものを考えて選択する、自己管理ができる力を高められるように取り組んできました。
谷本  上村さんが選手に接するとき、どんなことを心がけていますか?
上村  選手にもよりますが私から一方的に話すのではなく、会話を通して状況を察知しアドバイスを行うようにしています。合宿、試合帯同を重ね、選手の言葉や行動などから体調や気持ちを感じ取り、取り組んできたことをさらによくするための提案や選手に気付いてもらえるように話をします。また、選手が考えて選択できる力をつけていくには、選手からの意見を待つということもとても大切なことです。時には聞き役に徹し、悩み事やストレス発散などの役割もあります。信頼関係なくしては務まらないポジションだと日々感じています。
 マルチサポートに携わり、改めて努力は報われると選手から教えてもらいました。底辺の子供たちからトップ選手に至るまで、選手の状況、環境に合わせた食の工夫を考えることが私の役割だと思っています。また食の魅力も同時に伝えたいと思っています。
谷本
ロンドンマルチサポート・ハウスで上村さんが調理した献立
 選手にとって栄養士さんの存在は、栄養の管理だけでなく母親のような存在でもあります。現役時代、オリンピック当日は緊張して朝ごはんが喉を通らないと相談したことがありました。緊張すれば交感神経が優位になり食欲が減退してしまいます。分かっているけれども理屈ではない部分での工夫を常に考え、試合当日の朝ごはんと同じものを食べる練習も一緒にしてくれました。歩幅を合わせ悩み事を一緒に乗り越えてくれる頼もしい存在でした。

ロンドンマルチサポート・ハウスの調理室の様子

 日本チームのサポート体制には“心”があります。ロンドン五輪で何度も耳にした“チーム力”というキーワードこそ、日本の強みであり、選手の底力だと思います。
 今後、一人でも多くの選手が心強いサポート体制のもと、悔いなく夢に挑戦できることが私の願いです。

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