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第75回 「普段からの見守りが重要」-多摩地区家庭的保育者の会-

第75回 「普段からの見守りが重要」
     -多摩地区家庭的保育者の会-
  

 平成27年度より災害共済給付の加入対象となりました地域型保育事業のうち、家庭的保育事業を行っている団体の活動を紹介させていただきます。
今回紹介する「多摩地区家庭的保育者の会」は、東京の多摩地域を中心に家庭的保育の質を高めることを目的として、平成6年に「多摩地区家庭福祉員の会」として発足し、平成27年4月に認可事業となったことをきっかけに会の名称を現在の「多摩地区家庭的保育者の会」(以下、「多摩の会」という。)に改名しました。日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)との付き合いは、平成27年度より災害共済給付の加入対象になったことを契機に、平成27年9月に多摩の会の研修会にセンター職員が講師として参加したことからはじまります。

 今回の『地域だより』では、多摩の会として、センターの災害共済給付制度への加入にも積極的に取組まれている理由や保育者の会で発行している機関誌「さざなみ」にセンターの統計データや死亡事例を活用した記事が掲載された経緯等について、多摩の会の会長であります松岡かよ子先生にお聞きするとともに、機関誌「さざなみ」のセンターに関係する記事の一部を紹介させていただきます。

 【災害共済給付制度への加入の理由】
 まず、センターの災害共済給付への加入に係る取組についてお聞きしました。
松岡先生は、「平成27年度までは、家庭的保育は自治体の委託事業でしたので、センターの災害共済給付制度に加入することができず、それまでの間は賠償責任保険に加入していましたが、病死などの場合には適用されないこともあり、20年以上前からセンターに加入することを熱望しておりました。子ども・子育て支援新制度によって認可事業となり、センターへの加入も法改正により認められ、心から嬉しく、万が一の対応に安堵しました。」とこれまでの思いを語られ、会員の皆さんにもこの制度に加入いただけるよう、センターの資料を配布したり、前述の研修会で災害共済給付の説明を行うなどの取組を行っているとお話いただきました。

 【統計データや死亡事例の活用】 
 
今回、多摩の会で発行された機関誌「さざなみ」に掲載された記事の一部を紹介させていただきますと、センターから提供された統計データ等を活用し、過去3年間における保育所での死亡事例(0歳児~3歳児)の中から、「食べ物を詰まらせて亡くなった事例」や「突然死の事例」が9件紹介されています。
【機関誌で紹介された死亡事例の一部】
           

年齢・
性別
          

死因                    
事故の概要
1歳男  窒息死
(溺死以外) 
おやつ時刻(メニューは俵型おにぎり1つ・白玉みたらし団子(直径約3㎝)2つ・豆乳・麦茶)になり、着席し、食べ始める。本園児はおにぎりから食べ始めるが、食の進みが良くなく、熱っぽさを感じた保育士が検温(37.4度)した。体温計を棚に置く為に離席し、本児の連絡ノートへ検温の記録をする。この間に本児は白玉団子を口に入れたらしく、苦しみ出す。直ちに背部タッピングを行うが次第にチアノーゼが始まり意識を失う。白玉団子を除去するが、意識は回復せず、背部叩打、心臓マッサージを続ける。救急車で搬送、集中治療室で処置を受けるが、数日後に死亡した。 
0歳

窒息死
(大血管系)
 午睡前に37.4度の熱があった。13:44に入眠する。入眠時の体勢はうつ伏せ寝で、顔は右頬を下にした状態で眠った。14:00頃から午睡チェックをし、息をしていないことを発見した。すぐに気道を確保し、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を繰り返した。AEDを使おうとしたとき救急隊が到着、救急隊員による処置が始まり、医療機関で集中治療が行われた。その後も意識は回復せず、約2カ月後に死亡した。



















※日本スポーツ振興センター「学校の管理下の災害」(平成25~27年度版)より                                        
 また、機関誌に掲載された死亡事例9件のうち、4件が食べ物をのどに詰まらせての窒息死であったことから、保育所における疾病別の発生件数(3,844件)についても機関紙に掲載されています。掲載された棒グラフ(下表)を見ますと「異物の嚥下・迷入」が疾病別の発生件数の第一位にランクされ、「異物の嚥下・迷入」は食べ物だけではありませんが、他の項目と比べるとかなり違いがあり、疾病別の発生件数の実態を知ってもらうには有益な資料として掲載されました。                

【保育所における疾病別の発生件数(3,844件)】

※(独)日本スポーツ振興センター「学校の管理下の災害」(平成27年版)より        
           
【最後に】 
 松岡先生に今後の活動や死亡事例等の資料提供についてお伺いしました。
松岡先生は、「センターより9つの事例と疾病別のデータを提供いただき、事故防止に役立てばと機関誌に掲載した。」と述べられ、事故防止の観点を強調されました。また、死亡事例で特徴的であった午睡中や食事中の事故について、松岡先生は、「水遊びや食事中は子どもから絶対に目を離さない」「睡眠中は午睡チェック表とタイマーを使用しながら観察する」など、普段からの見守りの重要性を訴え、実践されています。
 今後の活動については、設立の目的でもある家庭的保育の質の向上のための活動として、多摩の会主催の研修会の開催や会員同士の連携を深める機関誌「さざなみ」の充実をさらに図りたいとの抱負を語られ、今後ともセンターと協力関係を維持することを約束して取材を終わりました。
センターとしても事故防止につながる統計データ等の情報提供を積極的に行うとともに、地域型保育事業(家庭的保育事業、小規模保育事業、企業内保育事業)の皆さんへの災害共済給付制度の普及、加入促進を取組んでまいります。
 

 

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