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第74回 安全教育及び事故防止の取り組みについて -新座市立第二中学校-

第74回 安全教育及び事故防止の取り組みについて
-新座市立第二中学校-
  

 平成27年10月に東京で開催された「日本安全教育学会」で、新座市立第二中学校(以下「二中」といいます。)養護教諭の原田先生が、「歯・口の外傷予防と安全教育」と題して講演されました。

 その中で、災害共済給付の統計情報も、安全教育を進める際の現状把握のデータとして使用されていました。今回は、二中で実施している安全教育、その他の安全や事故対応についてお話をお聞きしましたので、紹介します。

 1.安全教育

(1)歯・口のけが防止 ~スポーツにおける安全意識の向上と実践力の育成~
 埼玉県歯科医師会推進事業により、平成25年、26年の2年計画で、「生きる力をはぐくむ 歯・口の健康づくり・外傷予防と安全教育」に取り組みました。
 学校内での歯の外傷は、歯牙打撲が多く、歯を失うことも多くあります。歯のけがは、元に戻らず、また、治療にも長い年月を要し、金銭的な負担も大きいものとなります。
 そのため、歯・口の健康として、「むし歯や歯肉炎の予防だけでなく、外傷による歯の喪失を予防し、自分の体を大切に守る」という態度や習慣を育て、健康な生活を実現できるようにしたいと考えました。自分自身の安全をいかに守るかを学習することは、他人に対する安全配慮につながることになります。

<ニ中における災害発生状況>

   生徒の安全教育を実施する際には、実体感を伴った指導であることが、効果が高いと考えました。明海大学学長の安井先生(日本スポーツ振興センタースポーツ事故防止対策協議会委員)に、全校生徒に対し、噛むことの効果、噛むこととスポーツ時のパフォーマンスの関係性、歯を外傷から守るために使うマウスガードについて講演をしていただきました。生徒たちは、今後の部活動に生かせる内容ということもあり、興味深く聞いており、マウスガードを使用してみたいとの意見も見られました。
 また、学校歯科医や歯科医師会の協力のもと、実際に生徒たちのマウスガードを作成しました。マウスガードを着用しての練習も評判がよく、公式戦でも使用していました。
明海大学歯学部の松本先生(日本スポーツ振興センタースポーツ事故防止対策協議会委員)には、生徒、教諭も含めて歯が抜けてしまったときの応急手当等ご指導いただきました。
成長するにつれ、スポーツをする機会も増えてきます。その分、外傷によって歯を失ってしまう可能性も高くなるため、中学生の早い時期から歯の外傷を予防する指導が重要と考えます。

<ニ中における歯・口のけが防止活動>
 
   
 (2)誰にでもできる救急処置
 教職員が心肺蘇生の講習をうけることはもちろんですが、3年生の保健委員、2年生の部活動の部長、副部長を担う生徒も、胸骨圧迫やAEDの講習を勉強します。そして、全校生徒の前で、ダミーの人形や機器を用いて救急処置を劇にして発表しました。全校生徒で救急措置を学習します。
<生徒が中心となって救急処置の劇を実施し、目に付きやすい廊下に大きく貼り出している>
 
<救急処置の劇の様子>
 
<いざというときに教諭がいるとは限らない。誰にでもできる応急処置ポスターを掲出>
 
<学校周辺のAED設置場所MAP>

2.学校内で起きている事故の傾向の把握
 ~災害共済給付の請求データから~

 災害共済給付の統計から、自校の事故の発生状況や発生傾向を把握し、いつ、どこで、どのような事故が多いのか、職員会議にて先生方の間で共有を図り、事故の多い箇所には表示をし、事故防止に役立てています。
 < 職員会議で場所別及び時間帯別の事故件数を把握 >                      

   
 また、先日も職員会議にて、心肺蘇生とAEDの使用をドラマ仕立てで表現している「運命の5分間 その時あなたは ~突然死を防ぐために~」を視聴して、突然死対策を実施しています。
 収録内容
「運命の5分間 その時あなたは ~突然死を防ぐために~」
(日本スポーツ振興センター制作DVD 9分51秒)
心停止のサインである心室細動と死戦期呼吸についてCGとドラマでわかりやすく表現しています。
また、心肺蘇生とAEDの使用の必要性を認知させる構成となっています。

平成26年度スポーツ事故防止対策推進事業
 
 

3.事故対応

(1)事故発生時携行機材の設置
 東日本大震災以降、新座市の養護教諭の協議会の中で、危機管理マニュアルや事故発生時の対応について、各学校でしっかり整備しましょうという動きが強まりました。
  二中では、事故発生時の対応に必要な機材を一式まとめておき、事故が起きたら現場に持って行きます。
  携行機材には、その場にいる人が対応できるよう、補足説明や指示が書いてあります。誰が何を実施するのか明確にし、対応漏れなどがないようにしています。
プール授業の際にはプール脇に、携帯用AEDも含めたプール用の機材をぬれないようにプラスチックケースに入れておいたり、熱中症の疑いがある場合に使用する機材には、冷やす部位、氷のある場所がわかりやすく指示されており、目的に応じて必要な準備をしています。

<事故発生時の対応に必要な機材>           

 
<指示や補足説明>
<熱中症対応用のセット> 

 (2)緊急時連絡カード

 テレビで他の学校が作成していた緊急時連絡カードをみて、早速調査し、二中でも作成しました。
 事故発生時はパニック状態になってしまう可能性もあります。助けを求める際にうまく説明できない場合もあります。このカードは、生徒がカードを持って、カードに書いてある行き先に向かい、先生にみせればいいものです。各クラスの教室や特別教室に設置しています。
<緊急時連絡カード> 
 
(3)教諭によるアレルギー生徒への対応のシミュレーション 
 事故対応時に、迅速に対応できるよう、養護教諭の先生はじめ、その他先生方で役割分担と、実施すべき対応の書かれたプラカードを作成し、シミュレーションにより対応を確認します。

4.取材を終えて

 安全教育においては、知識の習得とあわせて、実際に「さわってみる」、「やってみる」といった実感できる体験があると、生徒たちの理解がさらに深まると感じました。消防署や、歯科医師会など関係団体との連携で、実際に体験できることに幅ができると思います。先生方のアイディアで、生徒たちが、興味をもちながら、事故防止の方法や、緊急時の対応を学んでいく様子をうかがいました。
 また、様々なところから情報を得て、いいアイディアや役に立つ方法を見つけたら、調査し、工夫して自校の安全対策、教育に取り入れている積極的な取り組みをうかがうことができました。危機管理、事故防止に役立つ情報は、学校や地域を超えて情報共有するべきだと感じました。
 安全教育においては、先生方が、専門機関からの教材などを入手し、また、自ら手作りで教材を作成されることが多くあります。当センターのホームページにおいても、事故防止に役立つ情報や活用事例を掲載していますので是非役立てていただければと思います。
 また、自校及び地域の事故情報は災害共済給付オンライン請求システムから出力できますので、職員会議、保健だより、壁新聞などにご活用ください。             

 

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