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Web杜のたより 第43号(2015.11)

共助を育む小学校・保育所の合同避難訓練  
― 亘理町立長瀞小学校と亘理町立吉田保育所―
 
 東日本大震災で被災した宮城県亘理(わたり)町立長瀞(ながとろ)小学校と隣接する亘理町立吉田保育所は、平成27年7月13日(月)に地震発生後の火災及び津波を想定した合同避難訓練を実施しました。東日本大震災時には、小学校1階部分 の1m70cm程の高さまで津波が浸水しましたが、保育園児も隣の小学校へ避難したことで小学生と園児は全員無事でした。この教訓から、小学校と保育所が連携して災害時の安全確保に備えるため、津波被害のあった吉田保育所の新園舎は、長瀞小学校の新校舎の隣に再建されています。
   
 吉田保育所(手前)と長瀞小学校(奥)
 
 亘理町 防災・減災の3原則  亘理町津波防災マップ

 今回は、小学校と保育所の「連携」に焦点をあて、小学校と保育所による初めての合同避難訓練の様子を紹介します。
【今回の避難訓練の想定】
① 地震発生(遊戯室集合時)
② 地震により、園舎調理室より火災発生
③ 小学校「第一避難場所」へ避難
④ 津波警報発令
⑤ 小学校屋上へ避難
 
 避難の流れ(遊戯室 → 第一避難場所 → 小学校屋上)
 
保育所遊戯室で園児・小学生に対して
オリエンテーションを実施
地震発生!「あたまをまもる」
          
   
火災発生、非常ベル作動 第一避難場所(小学校敷地内)に避難①
6年生児童が4、5歳児の手を引く
 
   
第一避難場所(小学校敷地内)に避難②  第一避難場所(小学校敷地内)に集合・点呼 
   
   
津波警報発令により小学校屋上へ避難 小学校屋上へ集合
安全確認・点呼・所長に報告し、避難終了
 
 
 今回の避難訓練では、地震・火災・津波を想定し、6年生児童36人が園児と手を繋ぎ、保育所から第一避難場所へ、 そして小学校屋上へ避難しました。初めての共同避難訓練により上級生は「共助」について学ぶ機会となりましたが 、保育所の鈴木由美子所長と小学校の防災主任目黒和久先生は、「基本的には自分を守ること。『自助』が9割です。」と強調していました。また普段から連携を深めており、月1回の合同打合せによる職員間のコミュニケーションだけでなく、普段から小学校の敷地内を園児の散歩ルートとしていたり、祭りやレクリエーションを共同で実施したり児童と園児も交流しています。「普段から連携を深めることが、避難時はもちろんのこと、その後の避難生活においても大事になります。」という実体験のお話は説得力がありました。その他連携事項として、災害時に備えて毛布やマット、ゴムボート等を保育所分も含めて小学校3階に備蓄しています。
 
【終わりに】
 保育所の鈴木所長と小学校の防災主任目黒先生のお話では、「防災マニュアルを作成していますが、 実際の災害時には想定外の出来事が起きてしまいますので、自分で考えて自分で行動できる力を養えるように、今後もいろいろなシチュエーションで訓練を行っていきたい。」と口を揃えて訓練の重要性を説いていました。先生方の実体験に基づく説得力のあるお話の中には、多くの学びがありました。
 お忙しい中、御対応いただいた鈴木所長をはじめ、目黒先生、職員の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

 

~災害共済給付によって得られた統計データの分析~


長瀞小学校での防災教育は『総合的な学習の時間』で行なわれていました。


ここでは、当センターの災害共済給付オンライン請求システムからわかる、宮城県内の小学校の災害(平成22年~平成26年)で医療費の請求があった『総合的な学習の時間』の事例286件を抽出してみました。

 
① ​学年・男女別件数比較
 
 ※『総合的な学習の時間』の災害は、男児の方が女児より多いことがわかりますが、学年差の特徴は特段見られませんでした。
(『総合的な学習の時間』は、3年生からの活動であるため、1、2年生の件数が少なくなっています(入力間違い等の理由で、数件カウントされています)。)

 
② 災害発生場所の割合
 
 ※学校内・校舎内の災害が半分以上を占めることがわかります。
 
③ ​『総合的な学習の時間』で宮城県内の小学校での事例
 

事例1

 実習田で稲刈りをしていた時、ぬかるみに足がはまり、バランスをくずし転倒した。その際、左手を捻った状態でついてしまい負傷した。

事例2 
 アイマスクを使用したハンデイキャップ体験をしていた。その際、友達に介助されて歩行していたが、つまずいて転倒し、遊具の支柱へ顔面をぶつけ、右上前歯を破折してしまった。

事例3 
 大豆できな粉を作る過程でのこと。フライパンで大豆を炒っていたところ、左手でフライパンの付け根の熱い部分をにぎってしまい火傷を負った。

 

また、宮城県内の幼稚園・保育所と小学校の「避難訓練」の災害について抽出しました。
 
参考1 宮城県内の小学校の「避難訓練」での事例

事例1
 避難訓練の際、教室でふざけていた本児を教諭が机の下に潜らせようとした際、誤って本児の右足が机の足にぶつかり、右足を痛めた。

事例2
 避難訓練中に校庭で並んでいた時、本児はグループ名表示カードを持って立っていたが、カードを持ちなおそうとした時に風であおられ、右目にカードの角がぶつかり負傷した。

事例3
 避難訓練の際に4階から校庭へと避難する際に階段を下りていたら、同じように階段を下りてきた別の児童に後ろから接触され、体のバランスを崩して左足首を捻った。

 
参考2 宮城県内の幼稚園・保育園の「避難訓練」での事例

事例1 
 保育中、避難訓練のため散歩車に乗せて移動したところ、停車中に園児が散歩車から身をのりだし、そのまま頭から落下し、右前額部を強打した。

事例2
 園での避難訓練中に、2階ホールから非常用滑り台を使って園庭へ避難をしていた時、滑り台の降り口付近で、前に滑り降りた園児とのタイミングが合わず、本児の口と前にいた園児の後頭部がぶつかってしまった。

 

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