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Web杜のたより 第36号(2014.9)

-震災の経験を糧に(その2)-
『屋上にソーラー発電設備』宮城県東松島市立鳴瀬桜華小学校
 渡辺教諭に質問
 震災時を振り返って、一番印象に残っていることは何ですか。 
 学校の管理下で起きてしまった大震災、その時に、子供を自宅に帰すかどうかの判断は非常に難しい問題です。学校として、迎えに来た保護者に大津波警報発令中は子供を引き渡さない方針を決めていましたが、周知は新年度に行うことにしていました。迎えに来た保護者にとどまるよう伝えましたが、帰ってしまう方もいました。災害時のマニュアルなどで、迎えに来た保護者の対応等の取り決めをしておくことも大切なことだと感じました。
学校で一晩、子供たちを過ごさせた際に大変だったことは何ですか。 
 かえって何もしてやれない大人の無力さを感じましたが、子供たちが力を合わせて乗り切ったところが、一番印象深いです。1年生から6年生まで、家族の安否もわからない中で、パニックにならずにみんなが助け合って避難して学校に泊まったたことは、すごいことです。日頃から、「心豊かでたくましく底力のある子ども」という学校教育目標のもと、チームワークが浸透していた結果だったと思います。
 被災した経験をもとに学校の防災対策について、注意しなければならないことはありますか。
 震災の1年前に校舎の耐震工事が終わっていました。そのおかげで、あれだけ大きな揺れだったにもかかわらず、校舎の損傷はほとんどありませんでした。そのため、校舎内の安全が速やかに確保でき、冷静に校舎内に避難する選択ができたのが大きかったです。
 防災対策としては、避難訓練などの日頃からの準備と学校施設における物理的な対策も大事だと被災して実感しました。
 被災した経験をもとに学校関係者に何か、メッセージはありますか。 
 被災時における避難マニュアルは必要ですが、何のために
マニュアルが必要なのかを考えておかなければならないということを被災して実感しました。
 マニュアルのとおりにできればよいのですが、マニュアルにないことが起きる場合があります。その時の学校の判断が大切です。マニュアルになくても、複数の避難経路や避難場所を想定しておくことにより、最善の選択ができるのではないかと考えます。
 普段からマニュアルに書かれていないことが起こりうるということを、念頭におくことが重要であるというのが被災した私からのメッセージです。
 
 取材を終えて
 震災時、仙台事務所でも未経験の大きな揺れでロッカーや書庫が倒壊しました。東北沿岸部には大津波警報が発令されましたが、仙台市内でも津波の犠牲になった方々がたくさんいます。大災害のときは、想定外のことが起きてしまうことを改めて実感しました。
 当時の教諭たちの機転を利かせた判断や冷静に助け合いながら避難した子供たちが、我が身を津波から守り、限られた条件の中で、色々な工夫をしながら学校で一晩過ごしたことは、今後の災害や津波対策の参考になると感じました。今後も、仙台事務所では、震災での経験やその取組みを「地域だより」で発信していきます。  
 東日本大震災では、下校中に被害にあった事故が多くありました。JSCでは、平成11年度から平成24年度までの死亡舞金・供花料等の支給を行った通学中の小学校、中学校及び高等学校の外因による死亡事故に係る事例877件について分析を行いましたので、紹介させていただきます。なお、詳しい内容をご覧になりたい方は、「学校安全Web」でもダウンロードが可能ですので、ご利用ください。  
 
オンライン請求システム統計データ活用より

 災害共済給付の統計データを活用した取組みで渡辺教諭に確認したところ、専門が理科なので、理科の実験中の事故には、どのようなケースがあるのか、今後の事故防止の参考にしたいと要望がありましたので、システムから抽出しました。
 
平成17~25年度宮城県小学校の理科の実験中の災害 学年・男女別件数

※小学校4年生から実験中の事故が増えることがわかりました。


宮城県小学校理科実験中の災害 傷病部位別一覧及び傷病部位別割合 眼部61件(37%)手指・前腕部56件(34%)足指・大腿部20件(20%)
※傷病部位を分析すると薬品が煮沸して眼に入った事故、
   実験中に手で薬品や熱い物に触った事故が多くみられます。

統計データの中で代表的な部位の事例を紹介します。

眼部 
事例1 理科の水溶液の実験中、薄い塩酸が入ってる試験管が斜めになったことに気づき、まっすぐに立て直そうとしたとき、入っていた薄い塩酸が飛び散り目に入った。((両)化学熱傷、角膜びらん)
事例2 理科の実験で使用するコイルを自作している途中,導線の端が誤って右目に入り痛める。(右眼球打撲)

手部・前腕部 
事例1 理科の実験中に、あやまって机の上にあった、熱した鉄球に右手小指近くをつけてしまった。(右手熱傷潰瘍(2度))
事例2 理科の授業中に、教室でてこ原理を体感する実験をしていた。5キロのおもりをつけた棒(1m)の反対側を両手で持ちあげて、下ろす時に右腕を捻り、骨折した。(右橈骨末端骨折)

足部 
事例  理科の実験で、てこの学習をしていた。てこ用の鉄棒に砂袋を入れて重さの感じ方を一人一人実験していた。その際、一人の男児が持っていた棒に手を滑らし床に落としてしまい、被災児の右足にぶつかってしまった。(右足打撲) 

教材カード(平成25年10月号、No.7)「授業中の事故(小学校理科編)」も併せてご覧ください。

                                          -震災の経験を糧に(その1)-

 

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