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Web杜のたより 第30号(2014.2)

想定を変えて毎月行う避難訓練
-宮城県南三陸町立伊里前(いさとまえ)小学校-
 毎月避難訓練を行っている、南三陸町立伊里前小学校の避難訓練の様子を取材し、仲上校長先生と千葉教頭先生にお話を聞かせていただきました。
 伊里前小学校 仲上校長先生 千葉教頭先生 写真
      南三陸町立伊里前小学校                      仲上校長先生       千葉教頭先生   
東日本大震災の被害 
 伊里前小学校は海から400メートル、海抜15メートルに位置しています。震災当日は校舎内の50センチメートル位の高さまで津波が到達し、校庭はがれきでいっぱいになり、校舎内は泥だらけになりました。
 震災前は小学校が避難所に指定されていましたが、現在では避難所指定は解除されています。 

 伊里前小学校 位置 地図

 


 低学年の児童が下校後、すぐに地震が発生しました。汽車やバスで下校しようとしていた児童もいましたが、地震後に下校途中の児童を学校に連れ戻したため難を逃れ、伊里前小学校の児童に犠牲はありませんでした。
 地震発生時学校にいた児童は、まず校庭に避難し、その後高台にある中学校に避難して、最終的には、さらに高い場所にある空き地に避難しました。
 震災時津波により浸水した歌津駅
歌津駅(震災時津波により浸水)
伊里前小学校校庭
 伊里前小学校校庭 
 伊里前地区は、震災前は高台にある学校と海との間に多くの家があり、千人以上の住民がいましたが、津波で家が流されて、様々な場所にある仮設住宅にばらばらに移り、住民が少なくなってしまいました。
 全校児童138名のうち、約4割の56名が現在も仮設住宅で暮らしています。

 校庭の半分には現在も仮設住宅があり、残りの半分で体育の授業が行われています。
     
避難訓練について
 震災後の学校再開は平成23年5月10日で、再開した当日に避難訓練が行われました。以後、毎月訓練を行っており、児童に「自分自身の身の守り方」を身につけさせるため、教室での授業中・特別教室での授業中・休み時間など、様々な状況からの避難訓練が行われています。
 隣接する南三陸町立名足(なたり)小学校はさらに海から近く、立地が低かったことから2階まで浸水し、平成25年11月まで伊里前小学校で授業を行っていました。避難訓練を行う際には、伊里前小学校と名足小学校の2校合同で行われてきました。
 現在では名足小学校校舎の改装が終わり、2階から直接避難できる避難路を設けるなどの避難対策を行った上で、自校の校舎で授業を再開しています。
 校長先生が何度も児童に話していることに、「避難には“間違えました”はありません。“失敗しました”はありません。」ということがあります。津波から生き残るためには、「一つのミスも許されない」ということを教えるためで、厳しいようですが、「いざ」というときに活かされることを期待し、緊張感をもって避難訓練が行われています。
 
 今後は、児童へ事前に通告せずに避難訓練を行わなくてはいけないと考えていますが、実際に震災を経験した児童への心理的な影響が心配とのことでした。
 
 今回の避難訓練
 毎月1時間授業で避難訓練を行うわけにはいかないので、時間配分を工夫して避難訓練が行われています。今回は午前10時から10時35分までを業間時間(休み時間)として、避難訓練は午前10時10分から15分程度で行われました。 
 
 休み時間に自由に行動している中で、10時10分から1分間の地震が発生した設定で行われました。1年生だけは、全員が図書館で本を読んでいる時に地震が発生する設定とされ、まとまって避難しました。
 児童は揺れがおさまるまでは、その場で「だんごむしポーズ」をして身を守り、揺れがおさまったのを確認してから避難を開始します。
  
 だんごむしポーズ
  地震が起きたらしゃがんで身を守る。ガラスから離れる、教室であれば机の下に隠れるなど、自分の判断で身を守る。 

     校庭で児童がだんごむしポーズをして身を守る様子
 避難場所は小学校よりも10メートル高い場所にある中学校の校庭で、避難経路は東西二つのルートがあり、児童がそのときにいる場所から、より近いルートを自分で判断して避難することとなっています。
        小学校及び中学校の位置と避難経路を示す地図
    東ルート
    西ルート
  
 避難完了後、校長先生から「おはしもち」ができたか、ひとつひとつ手を挙げて確認し、全部できた人しか津波から生き残ることができないこと、学校生活に限らず、家庭生活、学校卒業後の生活でも、津波がきたら高い場所に逃げて身を守ることについてのお話がありました。
 おはしもち お 押さない は 走らない し しゃべらない も 戻らない ち 近付かない  「おはしもち」ができたと手を挙げている児童の様子
できた人は手を挙げてー
おわりに
 今回の避難訓練で、避難開始から人数確認の終了までの時間は3分59秒で、初めて4分を切ったそうです。校長先生からの「子どもが真剣に訓練に参加するのは、毎月やっているのに先生方に中だるみがなく、常に高い意識で訓練を行っていることが、子どもたちに伝わっているから」というお話のとおり、避難訓練中にふざけて先生から注意される児童もなく、全員が真剣に避難している姿が印象的でした。

【統計情報】

 小学校では、どんなときに事故が発生しているでしょうか。平成24年度に給付を行った、宮城県内の小学校の場合別発生件数のグラフと一覧表を掲載します。事故が発生するのは授業中とは限りません。この統計から、小学校では特に休憩時間中に事故が発生することが多いことがわかります。

                平成24年度 小学校(宮城県内)の場合別発生件数
           円グラフ 各教科等1943件 特別活動(除学校行事)702件 学校行事268件 課外指導59件 休憩時間3970件 通学中700件
                 内訳の表
 
                                                                                                                                       (件)

 

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