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広島もみじ通信 第59号(2016.3)



統計情報システムの活用

                                         ‐広島県呉市立横路小学校‐
 独立行政法人日本スポーツ振興センターでは、学校の管理下で起こった児童生徒の災害に対して災害共済給付を行っています。この災害共済給付を通じて得られた事故情報を集計し、オンライン請求システム内にある統計情報システムより、『82』の帳票として出力できます。
 今回は、この統計情報システムから得られた情報を自校の学校安全の取組に役立てていただいている呉市立横路小学校の養護教諭の金本先生に、どのような取組を行っているかを伺ってきました。

 
取組を行った背景は?

   児童数400名の学校から800名に近い現在の横路小学校への赴任だったので、児童数が増える分だけ、ケガの発生も多いだろうと想定してはいたものの、実際に多くのケガが起こっており、その中でも、特に廊下でのケガが目立って多かったです。
また、保健室に来室する児童数も多く、その対応だけでも日々の業務が切迫し、細かな来室記録を取ったり、その分析を行ったりする時間を十分に取ることができない状況でした。

取組の内容は?

● 学校で起こっている災害の『見える化』

 そのような状況の中で、「細かな記録が取れないまでも、災害共済給付金請求により蓄積された自校の災害状況のデータを活用できるのでは」と思いつき、統計情報システムより『場所別、学年別、負傷・疾病の種類別』のデータを出力し、保健室内の掲示を作成しました。
   
 (保健室の掲示)  (統計情報システムから抽出したデータを
もとに作成したグラフ)
 
 作成に当たっては、学年ごとに色分けをしたり、キャラクターを使用したりして、小学生が興味、関心を持てるように『見える化』を意識しました。
 掲示の結果、教室にない掲示であることや自分の学年の色のシールが貼られていることに興味を持った児童が自発的に「何で5年生が多いの?」や「どうしてこの場所でケガが多いの?」、「この字はなんて読む?どんなケガ?」などの質問を投げかけてくるようになり、その質問を指導のチャンスとして捉え、保健室が安全指導の場となっていきました。
 また、自校で起こっている災害を『見える化』した掲示は、児童だけでなく養護教諭以外の教員の目にも触れ、だんだんと全校的に安全意識が高まっていきました。

● 廊下での安全に対する意識づけ

 特に多かった廊下のケガに対しては、廊下での安全を児童自らに考えてもらおうと、校務組織としての健康安全部会が主体となり、年度当初に「(廊下の)安全歩行」標語を児童から募集し、優秀な標語を表彰するとともに、校内に掲示を行っていくことにしました。
 実際の標語掲示は、単に掲示板に貼り出すのではなく、それぞれの学齢に応じた目線や目に付く場所に掲示されており、児童が「安全歩行」を意識するよう工夫しました。
 
(「安全歩行」に関する標語の校内掲示)
 
 このことに加えて、以前より毎月1日の「学校安全の日」に実施していた委員会活動として保健委員がたすきをかけての巡回、全校放送での呼びかけ活動、各教諭による細やかな声掛け及びやり直し指導を継続して行った結果、実際に廊下でのケガは減少しました。
   このような取組の継続により、廊下でのケガが減少しただけでなく、児童の安全意識が向上していきました。
 実際に、児童自らが、中庭で校舎内を移動する児童と運動場へ向かう児童が交錯する状況に気付き、「横断歩道を作ったら」と提案し、学校の中に横断歩道が作られました。
 
 (渡り廊下に作られた横断歩道)

 
● 校長先生からもお話を伺えました

 各教諭が責任を持ちながら、安全意識を高く持つ⇒子どもの意識が変わる⇒保護者の意識が変わる。このサイクルの水準を高めることが重要です。

取材を終えて

 同校での取組は、児童・保護者・教師の三者の安全意識がそれぞれ高まったことで、廊下でのケガの減少という結果を出されており、教師・児童・保護者の「三者の安全意識」の向上はとても重要なことだと感じました。ただ単純に「廊下を走ると危ない」ということを口頭で伝えるだけでは、ここまでの成果は得られなかったのではと思います。それぞれの立場から学校で起こっているケガを認識し、そのケガをどうすれば回避できるのかを考えられた(校長先生の言葉をお借りするなら「子どもの主体的危機管理能力、危機回避能力」が育った)からこその成果だと感じました。
 広島地域事務所では、今後も事故防止に係る教材や統計情報の提供等、児童生徒が安心して学校生活を送ることができるようサポートしていきたいと思います。
 

 
◆ 利便性向上のため統計情報システムの機能を追加しました!

 『災害共済給付オンライン請求システム操作マニュアル~2010~』の P186

➊クロス集計(82帳票)で月の範囲指定ができる検索条件を追加しました。

 対象期間が従来の年度だけでなく、4月から9月までといった期間を設定した
帳票を出力できます。

➋新学校種別として「幼保連携型認定こども園」を、統計情報の学校種別に追加しました。

 
 
くわしくは 「学校安全ナビ25号」をご参照ください

◆ 統計情報の活用事例を募集しています!
 
 JSCでは、設置者、学校において統計情報システムから出力される「82の帳票」等のデータの活用事例を募集しています。
ぜひ、地域事務所までご一報ください。
 



 

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