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第32回 学校における危機管理~学校危機管理マニュアルを見直す~                   

  学校の管理下で発生する災害には、予期できないものや防ぐことが非常に困難な事例がある一方で、前もって危険の予測が可能なものや、事故後の対応を的確に行えば被害を最小限に抑えることが可能なものがあります。

 しかし、実際に危険に直面した時に的確に対応するためには、日頃の訓練や心構えだけでなく、危機管理マニュアルを備え、各教職員が共通認識を持って事に当たることが重要です。

 今回は、転落事故という大きな事故が発生した経験を持つ学校に、事故後の学校危機管理マニュアルの見直しと、統計情報等の学校保健活動への活用方法についてのお話を伺いました。

学校危機管理マニュアルの見直しについて

転落事故発生後、学校危機管理マニュアルの見直しを行ったとお聞きしましたが、その経緯について簡単に教えて下さい。

 本校の学校危機管理マニュアルは以前からありましたが、内容が不十分と考えていました。そこで、元々あったものを作り直し、さらに数年前に防災アドバイザーからの指導を受け、それを基に改訂したものを使っていました。そして、改めて転落事故発生後に見直しを行いました。

 本校での転落事故は、ベランダから転落したものです。日頃からベランダには出ないよう生徒達には指導していましたが、災害発生当日は、ベランダに出る扉が開放されていたようです。

 転落事故後は、ベランダに出ないように再度指導するとともに、非常階段に続くベランダの扉以外は開かないように固定しています。

 危機管理という点では、緊急時の連絡体制など反省すべき点もあり、職員会議でマニュアルの再確認をしました。長期休業に入る直前の事故だったこともあり、長期休業中と長期休業日以外に分けて学校危機管理マニュアルに追記を行いました。

<長期休業中>

<長期休業日以外>


<生徒用> 

緊急時の連絡体制については、どのようなことを重視しましたか。

 やはり報告・連絡・相談は重要だと思います。転落事故の発生当時は、教職員がマニュアルに沿って冷静に動くことができたと考えていますが、全体の動きを把握できていなかった部分もあります。保護者への連絡が遅かったという指摘もあり、役割と連絡体制をしっかり決めるとともに、教職員がお互いに何をしているかを把握して、緊急時にはどの役割でもこなすことができるようにしました。

危機管理マニュアルの見直し、長期休業中と長期休業日以外とに分けて追記した理由は何でしょうか。

 長期休業中と通常期では生徒の動きが違います。特に長期休業中に生徒を登校させる時は生徒の所在をはっきりさせる必要があるため、分けて記載することにしました。

 長期休業中は校舎の出入口を一ヶ所に限定し、職員室の前を通らせることで生徒の往来を見やすくしています。
 
職員会議中も、教職員1名は必ず校内巡視を行うようにしました。
 
また、保健室の入り口に養護教諭がどこにいるか分かる表が小さくて少し見難かったため、大きくした上で生徒が見やすい高さに移動し、養護教諭の所在を確認しやすくしました。

 
災害の発生とマニュアルの見直しを受け、その後の教職員の意識の変化などはありますか。
 校内巡視を見直し、例えば滑りやすいところは気を付けるよう注意するだけでなく、拭いて滑らないようにするなど、起こっていることに対する対処ではなく、事故を予防するという観点で見るようになったと思います。
今後の危機管理についての展望を教えて下さい。
 毎年教職員が入れ替わるので、危機管理を忘れないよう学期末や長期休業明け等に学校危機管理マニュアルを再度確認していきたいと思います。

統計情報等の活用について

JSCの提供する統計情報等で、学校での事故防止や保健活動等に活用されたものがあれば教えて下さい。
 災害共済給付オンライン請求システムから自校内の統計情報を出力して、学校保健委員会の資料として活用しています。災害発生の場合別や、月別発生件数の他、年度別に発生件数の推移をグラフにし、今後の生活安全指導の参考としています。 また、JSCのホームページにある学校事故事例検索データベースから同じ学校種の災害を場合ごとに検索し、その中から身近な事例を選んで掲示することで、全校生徒に安全な行動を呼びかけました。

 
 以上、転落事故発生後の学校危機管理マニュアルの見直しによる再発防止の取り組みを紹介しました。

 

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