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第30回 桜島の麓での防災と共存~鹿児島市立黒神中学校~                   

-鹿児島と聞いて思い浮かべるもの。
 西郷隆盛!温泉!など様々なイメージがあると思いますが、中でも回答数上位に確実に入ってくるであろうものといえば、ご存知「桜島」。
 その存在感は圧倒的であり、そびえたつ雄大な姿には感動すら覚えます。温泉や、桜島大根をはじめとする特産物など、私たちに様々な恩恵をもたらしてくれる桜島ですが、活火山であり、過去の大噴火により多くの被害をもたらした歴史があることも忘れてはいけません。
 その桜島の麓に位置する鹿児島市立黒神(くろかみ)中学校。昭和火口からわずか4キロと至近にあるため、火口から噴煙があがる様子を学校から確認することができます。今回はその黒神中学校が取り組む、活火山・桜島に対する防災教育についてお話を伺いました。
正門から見る鹿児島市立黒神中学校 
鹿児島市立黒神中学校
 タイトル 桜島と噴火
 まずは桜島の噴火についておさらいしましょう。桜島はほぼ毎日噴火しており、昨年は656回、おととしに至っては1,097回も噴火をしています。これらは比較的小規模~中規模な噴火であり、降灰などの被害はありますが、ただちに避難を要する規模のものではありません。
 みなさんが想像されるような大噴火と呼ばれるものは明治以降2回発生しています。
呼称  噴火による被害など
 大正の大噴火(大正3年) ・溶岩流などによって桜島が大隅半島と陸続きになる。
・噴火や地震による死者58名。
 昭和の大噴火(昭和21年) ・溶岩流などによって黒神地域全域が埋没
・噴火による死者1名。
  黒神埋没鳥居の写真  もともと3mの高さがあったこの鳥居ですが、大正の大噴火により埋没しました。現在は約70cm程度が残るのみとなっており、噴火のすさまじさがわかります。
タイトル 黒神中における防災教育
 噴火は生徒にとって日常光景の一部です。したがって、そのことに対しては当たり前のものとして深く考えることなく日々の生活を送っていましたが、下記のようなことがきっかけで平成23年から防災教育を本格的にスタートしました。 
 防災教育を始めたきっかけ ①桜島の火山活動が活発化してきたこと。②東日本大震災という大災害が発生したこと(大噴火に伴う地震や津波の発生も充分に考えられる)③生活上、活火山とは避けて通れない環境にあること。
 桜島の専門家の先生などを招いて授業をしていただいたり、実際に火山関連の防災施設見学に行くことで、自分たちが暮らす桜島がどういう状況にあるのかを勉強しました。
 また、昭和の大噴火を経験した地元住民の方にもお話を聞きました。大噴火によって過去に黒神地域で何が起こったのかということを知ることで、日常生活にも緊張感がもてるようになりました。
 「現在の桜島を学ぶ」「桜島の歴史を知る」ことによって、生徒たちが防災について真剣に考えて意識するようになりました。  
 桜島の専門の先生による授業風景写真
桜島の専門の先生による授業
 防災施設見学の写真
防災施設見学
 今年度は、桜島に留まらず国内や海外の活火山の様子などについても学び、視野を広げることで防災意識の向上につながりました。
タイトル 地域の方々と一緒に避難訓練
 もし桜島が爆発的な大噴火を起こし、島外避難が必要となった場合、桜島の住民は各々近くの港に避難し救護船を待つこととなっています。これは、黒神地域においても同様です。一刻を争う事態となる可能性もありますので、避難にあたっては家族や学校だけでなく、地域の方々との連携が不可欠です。
 そこで、地域の方々にもご協力いただき避難訓練を毎年実施しています。黒神地域はご高齢の方も多いことから、実際にご高齢の方が乗った車イスを生徒が押したりしながら、地域の方々と一緒に港まで避難訓練を行います。行動を共にすることで、生徒たちも共助の大切さを学んだのではないかと思います。 
 車椅子の方と避難訓練をする様子
今年度の避難訓練の様子①
 消防の方の話を真剣に聞く様子
今年度の避難訓練の様子②
 また、学校や家庭においても避難経路の確認をしたり、防災に対する地域の担い手としての自覚を高めるため、実際に避難所を運営することになった場合の模擬体験も授業の一環として実施しました。  避難所運営の模擬体験の様子
避難所運営の模擬体験 
タイトル 黒神防災新聞
 これらの防災教育は「防災教室」と銘打って実施しました。防災教室実施後は、生徒の手作り新聞である「黒神防災新聞」を作成し、校内だけでなく地域の方々にも配布をしたり、学校のホームページに掲載するなどし、活動内容を広く周知しています。
 看板になった黒神防災新聞と生徒の写真
黒神防災新聞が看板になりました!
 黒神防災新聞を地域の方へも配布する様子
地域の方へも配布
タイトル 取材を終えて
 取材当日、私たちが桜島に滞在していた数時間の間だけでも3回の噴火が起こり、これほど頻繁に噴火が起こるのかと驚きました。「それがここでは日常なのですよ。だからこそ防災教育に力を入れています。」とお話いただいたのは下平譲校長と防災担当の山﨑隆洋教諭のおふたり。
 活火山の麓という土地柄、他地域の学校ではまず行われないであろう防災の取組みは非常に興味深く聞かせていただきました。
 黒神中学校の防災教育は広く注目されており、活動内容は多くの新聞等に取り上げられました。また、今年度には文部科学大臣表彰(学校安全部門)を受賞され、その注目度は高まる一方です。
       避難3原則 1想定にとらわれるな 2最善をつくせ 3率先避難者たれ
噴火した桜島の様子 
















黒神中へ向かう途中、突如噴火した桜島
 この「避難3原則」は、群馬大学の片田敏孝先生のお言葉で、どのような災害に対しても共通して言えるのではないかと思います。生徒さんたちが作成した黒神防災新聞にも載せられています。
 いつ、どのような災害に巻き込まれるのかは誰にもわかりません。常にこの避難3原則を胸に刻み、何が起こっても冷静に対応していかなければならないと強く感じました。
 最後になりましたが、今回の取材に快くご協力いただいた黒神中学校の皆様、本当にありがとうございました。

 今回ご紹介した防災教育の詳細は学校のホームページをご覧ください。
 鹿児島市立黒神中学校のホームページ

 

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