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学校の管理下における転落事故の防止について

 全国的に見ると毎年のように、学校の管理下で高所からの転落等により、単なる怪我にとどまらず、障害を残したり、死亡に至ったりする事故が発生しています。児童生徒の尊い命を奪うという重大な結果にもつながりかねないことから、何とか未然に防ぎたいというのが学校現場の思いではないでしょうか。

 これまでの転落事故事例の中から、その災害発生状況と事故後の取り組みを取材し、紹介することで転落事故の防止に役立てていただきたいと考えています。

 災害発生状況

 高等学校1年生 女子
  (災害発生 土曜日 午前8時)

 
 補習開始時刻より早めに登校した。
 午後からの部活動の道具を持っていたため、それを置くために体育館2階にある女子更衣室に入ろうとしたが、施錠されていた。
 
鍵は体育教官室にあり、休日で職員が不在であったため、外側のベランダ側から1メートルほど離れた窓から入ろうとした。
 
 雨で足下が濡れて不安定であったが、窓を開けようとして手を伸ばした瞬間、屋根を突き破り落下した。

落下した現場の写真 屋根までの高さは約3m10cm    

 けがの状況

 窓の下の屋根を突き破り両足から落ち、尻もちをついて後ろに倒れた際、頚椎骨折・全身打撲で治療を受けたが、治療の経過は良好で今のところ後遺症もなく元気に学校に通っているとのことです。

 災害発生前からの学校安全に対する取り組み

 平成20年の文部科学省通知「学校における転落事故等の防止について」により、学校としても適切に対応してきました。 
 また、危機管理マニュアルは年度初めに見直しを行い、職員に対しては時間を設けて、詳しく説明し周知を図っています。生徒の健康状態についても、全職員で情報の共有を図るようにしています。
 平成24年度においては、AED講習会を教職員と部活動の一部生徒を対象に実施しました。

 災害発生後の学校安全に対する取り組み

≪施設整備面での事故防止措置≫
 
事故後、ベランダの柵を高くし、窓に金網を取り付け、窓の下の屋根は金属製のものに換えました。

                                 改善後の写真 

 学校保健安全法第28条を基に、教育委員会と連携し安全環境管理面に対して迅速な対応を行いました。

 ≪生徒への指導  
 
事故後全校集会を開き、生徒に事故の概要、安全に対する意識の向上についての話をし、保護者に対しては、保護者会等で情報の共有を図りました。 
 平成25年度は2年生全員を対象にAED講習会を予定しており、生徒の安全意識の向上につなげたいと考えています。

取材を終えて

 学校の管理下において、時として、思いもよらない事故が発生します。高所からの転落事故は、場所がある程度限定できるという点では対策が立て易いとも言えます。

 まずは日常的に安全点検を行い、事故を未然に防ぐために校舎の構造に手を加えるなどの物理的な対策をとることが重要かと考えます。その上で、万が一事故が起こった時には、再発防止に向けての学校安全に対する取り組みにより重大事故の減少に努めていかなければならないと感じました。

平成23年度給付対象事例(死亡)

  小4年・男子 
始業前の特定時間中 内臓損傷

  本児童は、1.8mの高さにある窓の鍵を開けるため、2階廊下の窓際に置いてあった金属製の用具入れ
   (高さ90㎝)に乗って窓を開けた。右足を窓と手すりの間に入れており、降りるために振り返った際、
   バランスを崩して後ろ向きに転倒し、1階中庭通路(コンクリート)に転落したものと思われる。
   すぐに、病院に搬送し、治療を受けたが、同日死亡した。

  中2年・男子 始業前の特定時間中 頭部外傷

  部活動の朝練習後、4階の教室に戻り着替えた後に廊下の窓枠に背中を外側にして腰を掛けていた。
   しばらく座っていた後、背中から外側に転落した。すぐにAEDを装着し病院に搬送したが、同日死亡した。

  高1年・男子 授業終了後の特定時間中 内臓損傷

  部活練習終了後、体育館3階にある窓を閉めた後、体育館外へ窓から出ようとして、波板を突き破って
    約9m下に転落する。受傷後救急車で病院に搬送、治療を受けたが、同日死亡した。  

 ※詳細は、「学校の管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点」<平成24年版>をご参照ください。
     【関連書籍】
「学校の管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点」<平成20年版>において、
               転落事故防止の留意点を特集していますので、こちらもあわせてご参照ください。

 

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