学校の管理下における 歯・口のけが防止必携

 

 
危険予測学習
1 危険予測学習とは

 歯・口の傷害・障害を含む子どもの事故やけがは、子ども自身の行動や心理状態等の主体の要因と自分以外の人や物、気象条件、周囲の状況等の環境の要因が関わりあって起こる。
 そこで、身近な事故の事例や場面設定を通して、「自分の周りにはどのような危険があるか(環境要因)」、「自分の行動等に伴って生じる危険にはどのようなものがあるか(主体要因)」など主体や環境の要因に潜む危険に気付かせ、その危険は、「どのようにしたら除くことができるか」を考えさせることによって、危険予測・危険回避能力を身に付けさせようとする学習方法が危険予測学習である。
 具体的には、事故やけがを防ぐには、見えている危険(顕在危険)や直接見えていない危険(潜在危険)を探して、それに応じて自分の行動の仕方を選択したり、環境の改善の仕方を考えたりして危険を取り除くことが大切であることなどについて学ぶことを通して、様々な危険に気づいて安全に行動することや環境を安全に整えることの大切さを理解し、実践しようとする態度を育てることをねらいとしている。


2 歯・口のけがの防止からみた顕在危険と潜在危険

(1) 顕在危険
 顕在危険とは、施設・設備や用具の故障・損傷などの環境の不備や他の人の明らかに危険な行動、気象条件等で経験的に歯・口の事故やけがが起きやすいと思われる状況での目に見えやすい(明らかな)危険をいう。

《顕在危険の具体例》
① 主体要因に関わる危険の具体例
 <行動に伴う危険>
 ・明らかな見落とし、よそ見
 ・転倒、衝突、接触、打突
 ・施設・設備や用具の不適切な扱い  など
② 環境要因に関わる危険の具体例
<他者にある危険>
 ・混雑したところでの素振り
 ・近い位置でのボール蹴り、キャッチボール  など
<環境にある危険>
 ・施設・設備や用具の故障・損傷
 ・悪天候、夜間での視界不良等

(2)潜在危険
 潜在危険とは、現状では目に見えていないが、自分や他者の行動の仕方等によって歯・口のけがが発生する可能性のある危険、活動の場所の広さと人数、活動に適していない施設や用具・場所など活動する環境に潜む危険をいう。

《潜在危険の具体例》
① 主体要因に関わる危険の具体例
 <自分の中にある危険>
 ・あせりや不安 ・自信過剰、誤認  ・体調の不良
 ・思い込み   ・技能や体力の不足や未熟  など
 <行動に伴う危険>
 ・急激な方向変換、停止、行動開始
 ・転倒、衝突、接触、打突につながる可能性のある行動
② 環境要因に関わる危険の具体例
 <他者にある危険>
 ・思い込み、誤認、錯覚 ・漫然あるいは、故意
 <環境にある危険>
 ・狭隘きょうあいな運動場や体育館   ・薄暮時や夜間等の見えにくい状況での活動
 ・悪天候での視界不良  など



3 危険予測学習の機会

(1)「健康」領域
 ①幼稚園教育要領「健康」領域に関連した教育活動

(2)体育、保健体育科
 ①小学校「けがの防止」
 ②中学校「傷害の防止」

(3) 特別教育活動
 ①小学校及び中学校 学級活動または学校行事
 ②高等学校      ホームルーム活動または学校行事

(4)その他
 ①運動部活動等の課外指導
 ②ハイリスクの子どもへの個別指導


4 歯・口のけがの防止で取り上げる危険予測学習の内容例

 次のような視点から、各学校種の管理下で起こっている顕著な歯・口のけがの事例のいくつかを取り上げ、教材化することで、身近で効果的な学習が実現できる。

 具体的な事例やイラスト等については、既に述べている各学校での指導と管理の項(第2章 Ⅱ)を参照すること。

(1)幼稚園・保育園の幼児
 園内・園舎内・保育中で、①転倒 ②人に衝突 ③物に衝突 ④転落して負傷している。

(2)小学生
 学校内・校舎内外で、休憩時間中、教科や特別活動中に、①転倒 ②物に衝突 ③人に衝突 ④転落 ⑤床で打つまたは、ボールが当たって負傷している。

(3)中学生
 学校内(校舎内外)、学校外で、課外活動・教科指導(体育・スポーツ活動)、休憩時間中に ①転倒 ②人に衝突 ③物に衝突 ④ラケット等に当たる ⑤床で打つまたは、ボールが当たって負傷している。

(4)高等学校・高等専門学校生
 学校内(校舎内外)、学校外で、課外活動・教科指導(体育・スポーツ活動)、休憩時間中に、①ボールが当たる ②人に衝突 ③物に衝突 ④転倒 ⑤床で打つ、またはラケット等が当たって負傷している。

(5)特別支援学校児童生徒等
 災害共済給付の統計に分類がないので、傾向は必ずしも明確でない。
 第2章 Ⅱ(5)(P. 51 . 52)に事例のいくつかを掲載しているので、自校等での過去のけがの状況などの情報と併せて、子どもの傷害の内容や程度、活動内容等を考慮し、教材化を進める。


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