ツルのひとこと

 

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第22回 節約とエコロジー 2005年2月7日

浅見 俊雄

 

  浅見俊雄イラスト
  あさみ・としお
1933年生まれ.
国立スポーツ科学センター長.
(財)日本サッカー協会顧問、
アジアサッカー連盟規律委員会委員、文部科学省中央教育審議会委員など.

 国立スポーツ科学センター(JISS)では、経費削減のために、 廊下の点灯を間引いたり、トイレのスイッチには「退出時消灯」と書かれていたり、あちこちに「節電節水に協力しましょう」とあったり、エアコンの温度設定 を夏は高く、冬は低く設定したりと、水光熱費などの諸経費の削減に努めている。コピーもなるべく両面を使うか、裏紙を使うようにしている。

 これらは、国から独立行政法人日本スポーツ振興センターに対して示されている中期目標の中に、具体的な数値目標付きで経費削減が掲げられ、日本スポーツ振興センターもそれを受けて中期計画でその実現を約束しており、その中の組織であるJISSも節約に努めているのである。

 しかしこれらのことは、国からの要求があろうがなかろうが当然や るべきことであるし、また事業所だけでなく、家庭でも個人でもやるべきことであろう。そしてその目的は単に経費削減だけにあるのではない。「節約する」は 英語ではsaveであり、saveには守る、防ぐという意味もある。節約して何を守り、何を防ぐのか、守るのは地球環境であり、防ぐのはこれ以上の環境破 壊である。これまで散々自然を破壊しておいていまさら守る、防ぐとはと地球や自然になじられそうだが、その贖罪の意味も含めて、今われわれが環境を守り復 元する行動を起こさなければ、人類と地球、自然の共生する明るい未来はありえないだろう。

 面倒くさいことではあるが、スイッチを切ることが環境を守ること につながるのだという意識をもつことが重要なのであろう。身近な小さな行為が、問題意識を伴うことによって大きなものへと発展していくのだと思う。京都議 定書を大上段に振りかざして議論することも必要だが、個人レベルの小さな行為、ささやかな意識改革がベースにならなければ、社会的な大きな取り組みには発 展しないであろう。

 あまり節約節約というと、消費が冷え込んで経済が活性化しなくな るという意見もあろうが、個人的なレベルで言えば、節約してお金が余ったら、貯蓄(これもsaveだが)にまわすのではなくて、totoで夢を買ってくだ さいとお願いしたい。夢はいくら見ても環境を破壊しないし、日本のスポーツ振興に貢献することになるのだから。

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