スポーツと二人三脚

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第49回 オリンピックとゴルフ 2009年9月18日


笠原 一也

 

  国立スポーツ科学センター センター長 笠原 一也
  かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長  
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.

 2016年オリンピック開催都市の決定まで、残すところ後わずかである。
また、2016年オリンピックの実施競技に加えられる競技も、IOC理事会で7競技から2競技に絞られ、IOC総会での決定を待っている。

 7競技とは、2012年ロンドンオリンピックの実施競技から外された野球、ソフトボールのほか、ローラースケート、7人制ラグビー、空手、ゴルフ、ス カッシュである。ここでは、理事会で絞られた2候補のうちの一つ、ゴルフに関して、私の友人の大学教授がオリンピックとの関係を調べたので、少し転用し話 題にしてみたい。

 実はあまり知られていないが、ゴルフは1900年第2回オリンピックのパリ大会と1904年第3回オリンピックのセントルイス大会の2回、オリンピック の正式種目になっている。オリンピックの第1回アテネ大会では、女子の参加は認められていなかったが、第2回パリ大会では女子の参加も出来るようにしよう ということで、テニスとゴルフが実施された。

 ゴルフ女子の部での初優勝者は、絵画勉強のため母親とパリに滞在していたアメリカ人女性であり、女子としてアメリカ最初のオリンピック優勝者として歴史的な存在となったのである。そして、その母親も同大会で7位に入賞しているという。
 ゴルフ競技の様子を当時のGOLF 誌は「たくさんのプレーヤーがエントリーした。プレーも素晴しかった。天気も申し分なく、同伴者たち(ここでは観客やオフィシャルや、競技の関係者を意味 する。) は、王子、王女、伯爵、伯爵夫人、子爵、子爵夫人・・・・などがおられた」と伝えている。

 第3回のアメリカ・セントルイス大会では、ゴルフのみならず、全ての女子種目が実施されず、ゴルフは男子の個人戦と団体戦で、参加国はアメリカとカナダの2カ国であったが、ゴルフの祭典としては盛大であったそうだ。
 1908年第4回はロンドン大会であり、イギリスだけにゴルフは当然予定されていて、3コース、6ラウンド(108ホール)をプレーする計画がたてられ ていたが、競技の運営上の問題で、オリンピック組織委員会と競技会場となるゴルフクラブとの間に妥協できない問題が生じ、イギリス選手は全員参加を辞退し てしまったため開催されず、以来今日までゴルフはオリンピックの実施競技として取り上げられていない。

 10月のIOC総会でIOC委員の過半数の賛同が得られれば、100年ぶりにゴルフがオリンピック実施競技として復活することになる。
 2016年の開催都市が東京に決定することを期待すると共に、ゴルフと7人制ラグビーが実施競技に加えられるのか、興味は尽きない。

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