スポーツと二人三脚

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第2回 スポーツは楽しいもの 2005年6月23日


笠原 一也

 

  国立スポーツ科学センター センター長 笠原 一也
  かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長  
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.

 今やスポーツが国民皆のものになり、スポーツの好きな人は勿論だが、スポーツの下手な人も、体の弱い人も、体に障害のある人も、そして子どもからお年寄りまで多くの人々がスポーツに親しむ時代を迎えている。

 サッカーや野球で汗を流す子どもたち、バレーボールや水泳に親しむお母さん、テニスやエアロビックでシェイプアップのOL、ジョギングやゴルフで頑張る お父さん、ウォーキングやハイキングに出かける元気なお年寄りたちなど。また、アテネオリンピックでの日本選手の活躍が日本国中を興奮させ、感動を与えて くれたように、自らの能力と技術の限界に挑戦するという、人間の可能性の限界に挑む競技スポーツに青春をかけている選手たちもいる。

 このように幅広い年齢層の人々が積極的にスポーツに親しむ姿を見る機会が多くなったことは、日本においてもスポーツが身近になり、スポーツを楽しむことが出来る時代を迎えたといえよう。

 スポーツをする時は、白い歯を見せてはいけない、笑い顔などとんでもないといわれたころから見ると、今ではオリンピック選手もスポーツを楽しむ、又は楽しみたいということを口にする。

 スポーツは本来、語源的に見ても気晴らしとか楽しむものといえるのに、我が国ではどうも教育という意識が強く、教育とか育成とか修練とかが前面に出すぎていたように思う。

 私は、スポーツ先進国といわれる国々を訪問するたびにスポーツへの取組みの違いを常に感じていた。スポーツ先進国の人々は、スポーツをどのようにして楽 しもうかと色々考えており「スポーツを楽しむことに一生懸命」に取組んでいる。それに比べて我が国では先に述べたように国民性からなのか「スポーツをする ことに一生懸命」で、どうも楽しむゆとりがなくスポーツをしているように思えてならない。

 お酒を飲まない人には申し訳ないが、体を動かしたあとのビールのうまさは格別であり、スポーツをエンジョイした後はなおさらである。


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