学校現場での取組(事故防止対策) 東京第86号(2019.04)

『スポーツ事故防止ハンドブック』活用事例報告
-千葉県立千葉西高等学校-
 千葉県立千葉西高等学校(以下、千葉西高校)では、平成26年度から毎年2月に1、2年生全員参加で実施しているマラソン大会(男子7.8㎞、女子5.5㎞)に合わせて、職員を対象としたAED研修を実施しています。平成29年度の研修から独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下、JSC)発行の『スポーツ事故防止ハンドブック』(以下、ハンドブック)を活用していただいております。後日取材を行い、研修の内容やハンドブックの活用状況についてお話を伺いましたので、ご紹介します。

【学校紹介】

 千葉西高校は、「海浜ニュータウン」や「幕張新都心地区」が所在する千葉市の新たな発展の象徴である美浜区に昭和59年4月に創立された、生徒数約1,080名、職員数約80名(平成31年1月28日取材時)の学校です。「飛翔」の校訓のもとに、文字どおり社会に羽ばたく人材を育む教育に力を入れており、開校から30年余りで1万人を超える卒業生を輩出しています。学習活動はもちろん部活動も盛んで、特に放送技術部はNHK杯全国放送コンテストの出場常連校で、全国的に強豪として知られています。
【ハンドブックを活用することとなった経緯】
 平成28年12月6日に千葉市文化センターで行われたスポーツ事故防止対策推進事業(平成28年度スポーツ庁委託事業)「学校でのスポーツ事故を防ぐために」のセミナーに養護教諭が参加した際に、ハンドブックの存在を知り、マラソン大会前のAED職員研修でハンドブックを使用しようと考えたそうです。

【AED研修の内容】

 マラソン大会は体育科の行事ですが、AED職員研修は教育支援部で企画しています。そのためマラソン大会前のAED職員研修は、教育支援部、体育科教諭で協力して実施しています。研修も4年目ということで、平成30年度は外部講師を呼ばず、研修の企画に携わる職員が中心となって内容を考えました。研修内容は、①パワーポイントを用いた緊急時対応マニュアルの確認、②心肺蘇生の実技トレーニング、③実際のマラソン大会での事故を想定したロールプレイ、の構成としました。

【ハンドブックの活用】

 パワーポイントを用いた緊急時対応マニュアル確認の際、心停止に対する応急手当についての説明の場面で使用しました。また、マラソン大会当日にも参加する全職員にハンドブックの携帯をお願いしました。携帯しやすいサイズで、内容も分かりやすく職員にもとても好評です。

スポーツ事故防止ハンドブック

【心肺蘇生の実技トレーニング】


(心肺蘇生トレーニングの様子①)

(心肺蘇生トレーニングの様子②) 
 AEDデモ機を3機レンタルし、昨年度本校で購入した心肺蘇生トレーニングツールを参加者分用意して行いました。ハンドブックの3ページに書かれている強く(成人は少なくとも5cm)早く(少なくとも100回/分)絶え間なく(中断を最小にする)を見ながらトレーニングすることで、より理解が深まりました。

(ロールプレイの様子)

(ロールプレイ台本)
 マラソン大会での事故を想定したロールプレイの台本については、体育科教諭と養護教諭で協力し、平成29年度の研修で出た質問等を踏まえながら、各職員の具体的な動線や報告内容及びそれを受けた対策本部の判断・指示等を細かく想定し、ハンドブックのフローチャートも参考にしつつ書き上げました。
  開催日は職員が集まりやすい3学期の始業式後に設定しましたが、学期はじめのため所要時間30分程度と限られた時間の中でできる、実施可能な内容に工夫を凝らしました。
 また、本校では毎年夏の時期に生徒を対象とした救急救命法実技講習も行っています。運動部だけでなく文化部の生徒にも周知し、今年度は64名が受講しました。その際の講師役には、学校近隣の医療福祉専門学校に講師派遣をしてもらっています。

【取材を終えて】

 今回取材させていただき、救急救命研修の実施に際して、職員の方々が自ら企画運営し、今回のマラソン大会のような具体的な状況を想定した内容で取り組もうとする姿勢に、職員の方々の救急救命に対する意識の高さを感じました。繰り返し高い意識をもって取り組む研修こそが、有事の際には職員の方々の的確な行動につながるのではないでしょうか。こうした取り組みの中で、『スポーツ事故防止ハンドブック』がしっかりと役立てられていることをうれしく思いました。
 今後も学校現場からの要請に応えられるよう、より充実した資料・情報の提供に努めていきたいと思います。
 最後に、取材にご協力いただいた川南先生、お忙しい中ご対応いただきありがとうございました。

 

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