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学校現場での取組(事故防止対策) 名古屋 第125号(2021.10)

                       
 
教育委員会の教職員研修(オンライン研修)について
                                                       
 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」という。) が作成した事故防止に資する資料の活用方法を幅広く周知し、資料の活用促進を図ることで、学校の管理下における事故防止の支援や、円滑な学校教育の実施に積極的に貢献していきたいと考えており、名古屋事務所では、担当地域の7県(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)の各教育委員会・学校(園)・関係機関等で開催される研修会に職員を講師として派遣しております。

説明風景の写真
(説明風景)
 今回は、三重県の津市教育委員会主催で令和3年8月2日(月)に開催された、令和3年度津市教職員研修会「日本スポーツ振興センターの資料やデータの活用研修」から講師派遣依頼をいただきましたので、その様子を紹介します。
 本研修会は新型コロナウイルス感染防止のためオンライン形式で、研修時間は90分間、対象者は、津市立幼稚園・小学校・中学校養護教諭で26名が参加されました。

〇研修会の内容

 
1.なぜ、学校安全に取り組まなければいけないのか?

 学校における安全管理・組織活動は、主に学校保健安全法に基づいて実施されること、学校安全の推進に関する施策の方向性と具体的な方策は、おおむね5年ごとに閣議決定される「学校安全の推進に関する計画」に定められていることなど、これらを踏まえて学校安全の取組を進めていくことについて説明しました。 
        
研修会で使用した資料の画像「なぜ学校安全に取り組まなければいけないのか?」
 (研修会で使用した資料
「なぜ学校安全に取り組まなければいけないのか?」)
研修で使用した資料の画像「学校安全を取り組む法的根拠」(研修で使用した資料
「学校安全を取り組む法的根拠」)
 
2.熱中症事故の傾向と予防・対策について

 今回の研修会では、教育委員会からご要望がありました熱中症について、詳しくお話しさせていただきました。 近年、学校の管理下における熱中症は、小学校・中学校・高等学校等を合わせると毎年 5,000 件程度発生しており、2018年度(平成 30 年度)には 7,000 件を超えました。 また、熱中症による死亡事故も依然発生しており、近年は、年間に0~2名程度と減少傾向にありますが、熱中症に関する正しい知識・対策で、重症化を減らしていく必要があります。
 今回は、
1  学校における熱中症の発生状況(JSC各種統計データを基に)及び死亡事故事例
2  熱中症で起こる4つの障害・要因
3  熱中症予防の原則5か条及び予防措置(事前の対応、体制整備、熱中症警戒アラート対応)
4  学校屋外プールにおける熱中症対策
5  「新しい生活様式」における熱中症対策のポイント
6  熱中症発生時の対応及び事故後の対応
の各ポイント別に説明させていただきました。 
 
3.学校安全支援業務の活用方法について

 短時間で学校事故防止に活用できる啓発資料として、「学校安全Web」内の「学校安全支援」にあります事故別の映像資料(いずれも10分以内で視聴可)や児童生徒・教師向けの教材カード(毎月発行)等の、内容及び活用方法について、説明しました。
 学校事故防止の取組のひとつの例として、校内で発生したヒヤリハット事例のほか、死亡・障害事故の事例を自校の環境に置き換え、同様の事故等が発生しないよう、危機管理に努める必要があります。 過去に実際に起きてしまった事故を知り、想像力を膨らませて危険を予見し、これを回避するための方策を全力で考え、その方策を現実に実施し、できる限りの安全配慮を尽くした上で、学校教育を今後も継続していくことが重要であります。
  過去の重大事故発生事例は、「学校安全Web」の「学校事故事例検索データベース」や毎年度発行の「学校の管理下の災害」で調べることができますので、ぜひ活用してください。 
        
研修会で使用した資料の画像「「学校事故事例検索データベース」とは?」
 (研修会で使用した資料
学校事故事例検索データベース」とは?)
研修会で使用した資料の画像「刊行物「学校の管理下の災害」とは?」 (研修会で使用した資料「刊行物
学校の管理下の災害」とは?」)

〇研修会を終えた感想

  今回の研修会を受講されました先生方からご感想をたくさんいただきましたので、最後にその一部をご紹介します。(津市教育委員会が実施したアンケート結果から抜粋)

 1.本日の研修で学んだこと

・スポーツ振興センターに関する、自身の経験が浅く、活用できる資料や教材、データなどが複数、存在することや活用の方法がわからずにそのままにしてしまったことがあった。今回の研修で、そのデータや資料の活用方法を学ぶことができ、実際に使用していこうと思った。  

・熱中症やけがの対応はどの学校でも起こっており、現在は感染症対策と並行して行っている。様々な場合のガイドラインやフローチャートがあり、学校全体で共有しておく内容について学んだ。
 実際に事故が起こってしまった場合の対応も、養護教諭としてすぐに確認できるものもあり、保健室ですぐに見ることができるよう準備しておくことが必要だと感じた。
 また、プールでの事故事例についても知り、またプールでの対応を経験したことがないので救急セットの作成や教職員間での共通理解の時に活用したい。  

・日頃、日本スポーツ振興センターの手続きのためだけに使っていましたが、ホームページからいろいろダウンロードできることを教えてもらった。    
 
・熱中症の知識について確認するとともに、死の危険性があることも改めて認識することができ、体を冷やす方法や中性水温について学ぶことができた。  

・熱中症の発生は、5・6月も多いということは知っていたが、冬場でも注意が必要という意識が低かった。職員や生徒にも周知していきたい。


2.  具体的に学校・園でどのように活用しますか(してみたいこと、こうすればできる)  

・DVDの視聴が短時間で見ることができるので、校内研修会でDVDを活用して視聴したり、教材カードを使って啓発したりできるといいなと思いました。(「その時あなたは」「熱中症を予防しよう」など)    

・研修を行う際に実際に発生した事例を提示し、対応方法や予防方法を考えたりする活動を取り入れ、実際に校内で同様の事態が生じたときにどのように対応するのかシミュレーションを行いたいと思いました。  

・ホームページの事故防止対策集は、フローチャートや写真・図でとても分かりやすくまとめられているので、教職員の研修等の資料への活用や、児童への保健指導に活用していきたいと思います。  

・日本スポーツ振興センターが発行しているけがや体調不良に対するフローチャートを保健室に設置したり、誰もが閲覧できるような場所に掲示したりすることで、緊急時においても落ち着いて対応することができる体制づくりに活用していきたいです。  

・JSCのホームページからダウンロードできる資料が豊富である。そのため、生徒のタブレットからも閲覧することが可能である。ネット上のパンフレット等を活用して保健指導を行うことができると考えます。 

〇最後に

  各市町村教育委員会、養護教諭部会等の研修会で「JSC職員から学校事故防止に関する話しをしてもらいたい」等のご要望がございましたら、ぜひ名古屋事務所までお問い合わせ願います。
(問い合わせ先:名古屋業務推進課 TEL 052-533-7821)  

 

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