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大阪かわら版 第75号(2017.08)

熱中症を防ごう ~滋賀県での熱中症対策について~
 暑さが厳しくなってきました。今年は例年以上の猛暑になるとのことです。
「体育の授業中、生徒が熱中症になり救急搬送しましたが、センターの給付の対象になりますか?」などの熱中症に関する問い合わせの電話を受けることも多くなりました。
 独)日本スポーツ振興センター(センター)の災害共済給付データの統計から、滋賀県の学校管理下での熱中症の発生率が他の地域より低いことが読み取れたので、その取組・背景について滋賀県教育委員会 保健体育課にお話を伺ってきました。

【滋賀県全体の状況について】 

 総務省が公表している都道府県別救急搬送人員数など、滋賀県の状況を学校の保健担当者を対象とした研修会で説明しています。搬送数は人口に比例はするものの、全世代を含めた搬送数が少ないことは、学校現場はもとより、滋賀県内の熱中症対策の実践が効果的であることを意味していると思います。
 学校保健担当者は、日頃行っていることが具体的な数値として現れることで、手ごたえを感じ、実践のモチベーションもあがるようです。

【近隣の学校・地域との連携】

 各学校の体育祭では、熱中症対策として必要に応じて全クラス分のテントを設置しています。自校のテントだけでは足りないので、近隣の学校や自治体と協力して、お互いにテントを貸し借りして対応しています。また、滋賀県高等学校等教育研究会の学校保健安全研究部会が所有している備品の貸し出しを行っています。(写真①)
 高校の保健安全部会で購入したミスト扇風機(左)と
滋賀県高等学校等教育研究会から借りたミスト扇風機(左)
と保護者のご厚意でレンタルできたミスト扇風機(中央)
備品の貸出票
写真①

【実践的な取組の紹介】

 県が行っている研修会では、国からの啓発資料の配布・紹介だけでなく、県下の学校が実践している熱中症対策の中から、効果的であったり、取り組みやすい事例を紹介しています。情報・資料の伝達だけでなく、既存の設備を利用した例や安価で簡単に取り組める例を紹介することで、予算に制限のある公立学校でも実際に活用してもらえるようにしています。
 また、センター作成の教材カードや部活動チェック表なども、管下の学校に活用資料として紹介しています。
教材カード5月号(熱中症)

教材カード
 部活動チェック表【屋外用】
部活動チェック表【屋外用】

☆特に熱心に取り組んでおられる、滋賀県立長浜北高等学校 養護教諭の山本愛子先生に
 実践例を伺いました! (この高校にはエアコンはなく、現在新校舎建設中とのことです。)

① 各教室の温度を図示
1日3回、各教室の温度を保健委員が測定、職員室前の表に記入し、30℃を超えた部分を赤で囲んで表示しています。(写真②)
実態を数値化し、視覚的に訴えることで、生徒や教職員への注意喚起となり、またこの暑い実態を管理職の方に理解していただき、熱中症対策の備品を購入してもらったこともあります。
(毎年7月初旬~9月中旬頃まで実施)
各教室の温度を図示
写真②
② 保健室・保健委員からのお知らせ
保健室:毎日14・16時に外気温を測定し、その結果を校内放送し、注意喚起を促します。
保健委員:生徒自身が考えた内容を週1回、校内放送をします。
その時期に応じた内容で行い、暑い時期は熱中症に関することが多いです。
③ 授業中の対応
 足元に水筒をおき、授業中でも必要に応じて水分補給ができるようにしています。
④ 熱中症予防講習会の開催
 製薬会社主催の講習会に、各クラスの保健委員と運動部代表が参加し、熱中症予防対策について学習しています。
⑤ 融雪用体育館スプリンクラーの活用
 融雪用に設置されている体育館屋根面の流水スプリンクラーを夏期に稼働し、体育館の冷却に使用しています。

⑥ 体育祭での対応
(毎年7月初旬頃開催。平成28年度以降は長浜バイオ大学ドームで開催)
・氷の配布
 学校の製氷機で作る氷を6月ごろから別の大型冷凍庫へ貯めたものと、当日近隣のスーパーにご協力願いクラッシュアイス(生鮮食品冷蔵用)を7~8箱購入したものを保健委員が袋詰めし、各クラスのテントを回り、熱中症予防のため、また軽度熱中症、負傷者へ配布しています。(写真③)

氷の配付の様子
写真③
 ・救護テントでの工夫
 周りをすだれや遮光ネットで囲い ミスト扇風機を設置しています。 救護テントの後方の体育館内に 安静にできる休憩スペースを設けています。(写真④~⑥)






   救護テント
                写真⑤
救護テントでの工夫の様子
写真④
休憩スペース
写真⑥
・本部テントや競技招集場所周辺に家庭用ミストシャワー・ミスト扇風機、また、全クラス分のテントを設置しています。            

【取材を終えて】

 予算との兼ね合いの中で、一生懸命に努力されている様子がよく伝わってきました。また、入学当時は教室内の暑い状況に不満を漏らしていた生徒たちも、酷暑を体感していくうちに、次第に暑さ対策への意識・行動の変容が見られたそうです。また、様々な取組を続けていく中で、特に教職員の皆さんの意識が高くなってきているのが感じられるとのことでした。
 亜熱帯化しているといわれる昨今、暑さという環境をいかに把握し、うまくつきあっていくかが課題なのかもしれません。
センターでは、学校の管理下で発生した災害に対する医療費等の給付の他、学校安全支援事業として、事故防止について研究・啓発をしております。熱中症予防についても掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

参考資料:体育活動における熱中症予防 調査研究報告書
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/bousi_kenkyu/tabid/1729/Default.aspx


 

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