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学校現場での取組(事故防止対策) 名古屋 第122号(2020.03)

第122号 熱中症資料の活用事例
-福井県小浜市立雲浜(うんぴん)小学校-

 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下、「センター」)では、学校の事故防止に資する目的で様々な刊行物や映像資料を発行し、学校関係者等へ提供しています。
 福井県健康教育指導者研修会で実施した参加者アンケートから、小浜市立雲浜小学校(以下、「雲浜小学校」)が、学校の職員会議で熱中症対策の周知を行う際に、センターが作成した熱中症対応のフローチャート教材カードを活用されたことを知りました。職員会議での活用方法について養護教諭の杉山先生にお話を伺いましたので紹介します。
小浜市立雲浜小学校の校舎の外観の写真
小浜市立雲浜小学校の外観

◇最初に、センターの資料を知った経緯を教えてください。

 センターのホームページ「学校安全Web」を見て知りました。今の学校は2年目ですが、これまで在籍していた学校でも「学校安全Web」は見ていて、熱中症のパンフレット以外にも「教材カード」や自己啓発のために「事故事例検索データベース」なども使っていました。「スポーツ事故防止ハンドブック」を部活動用の救急箱に入れておき、顧問の先生がいつでも見られる状態にしていました。

◇今回、職員会議でセンターの資料を活用しようと思った理由を教えてください。

 「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」のパンフレットの中に熱中症対応のフローチャートがありますが、これがとても分かりやすいと思いました。文章のみの説明より図で表している方が分かりやすいことと、一目で対応の手順が分かるので、養護教諭である私だけではなく他の教員にも分かりやすいと判断して、全教員に知ってもらいたくて職員会議で周知することにしました。
センターが発行しているパンフレット熱中症を予防しよう知って防ごう熱中症の表紙画像と熱中症対応フローの画像センターが発行しているパンフレット熱中症を予防しよう知って防ごう熱中症の表紙画像と熱中症対応フローの画像
パンフレット「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-

◇職員会議での周知の目的と内容について教えてください。

 8月26日(月)の職員会議で周知を図りました。全体で3時間ほどの会議で、私の持ち時間は15分程度です。夏休みの約1週間後に体育大会が開催されるのですが、ここ数年、暑い日が多いので、夏休み中も子どもたちは外で遊ぶことが少なく、また夏休み明けの1週間はほぼ毎日、体育大会の練習があるため、かなり熱中症のリスクが高くなります。
 そこで、全教員にも熱中症対策を周知して、いざというときに対応できるようにする事が目的でした。資料は、学校が作成した職員会議資料に加え、センターの熱中症対応フロー教材カードスポーツ事故防止ハンドブックを配布しました。
 センターから「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」のDVDも送っていただいたのですが、職員会議で視聴する時間がなかったので、私が事前にDVDを見て、大切なポイントとして、重症のときは素早く体を冷やさなければいけないので、ホースで全身に水をかける方法を伝えました。
先生が生徒にホースで水をかけて体を冷やしているイラストの画像

◇体育大会の練習期間や大会本番で学校が行った熱中症対策を教えてください。

 体育大会の練習期間は、私が熱中症計で測定した熱中症指数(時間・気温・湿度・5段階の危険度)をホワイトボードの表に記入し、裏にはセンターの熱中症対応フローのポスターを貼って、運動場に出して掲示し、教員が確認できるようにしました。
 体育大会の当日は、このホワイトボードを本部テント近くに設置して、教員だけではなく保護者にも常に熱中症指数が確認できるようにしていました。また、ホワイトボードの余白には保健係から熱中症注意喚起のメッセージを手書きしました。

ホワイトボード表面に貼るマグネットの写真(マグネットにはそれぞれ、熱中症指数、気温、湿度、熱中症の危険度を表す数字が記載されている。)
ホワイトボードの表面に気温、湿度などの情報を掲示して熱中症指数を周知した。(イメージ)
ホワイトボードの裏面に掲示したセンターの発行する熱中症対応フローのポスターの画像
ホワイトボードの裏面に掲示したセンターの発行する、熱中症対応フローのポスター
 体育大会に向けてもう一つ行っていた取組があります。夏休み明けで生活リズムが崩れている子もいるので、体調を整えるため「げんきるんるんカード」という生活習慣をチェックするカードを使い、体育大会までの1週間の間、児童だけでなく保護者も一緒に生活習慣のチェックを行い、親子で力を合わせて頑張って体調管理に取り組んでもらいました。
学校が作っている児童の体調管理するためのチェックシートの表紙画像です。生活を見直そう、メディアに依存しない生活をしよう、ゲームはしません、携帯電話やスマートフォンはつかいません、新聞や本はすすんでよみましょう、家族とたくさんお話をしましょう、家族みんなでとりくみましょうと記載。
げんきるんるんカードの表紙
げんきるんるんカードのチェックシートの画像(チェックシートの題名は体育大会にむけて体調を整えようと書いてあります。チェック項目は、寝た時刻、起きた時刻、朝ごはん、ノーメディア、はみがき、読書の6項目があり、体育大会までの1週間の生活習慣を日ごとにチェックできるようになっています。)
げんきるんるんカードのチェックシートの一部抜粋 

◇実際にセンターの資料が役に立った場面はありましたか。

 暑い日が続いたせいもあり、熱中症になってしまった児童が何人かいました。中には自分で水分を取れなくなる児童もいましたが、意識はしっかりしている状態だったので、熱中症対応フローチャートの内容を思い出して、教員が病院まで連れていきました。後からフローチャートを見て自分の判断が合っていたことを確認できたので、このフローチャートは私の心の支えになっています。フローチャートがあることで、日頃から自信を持って対応することができるのでとても助かっています。

◇センターの資料の感想を教えてください。

 今回、熱中症対応フローチャートのほかに、熱中症に関する「教材カード」と「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」のDVDを活用しました。教材カードは中学校・高等学校向けでしたが、フローチャートに加え、「活動前の健康自己チェック表」がついていて、とても分かりやすいので職員会議で配布しました。
 DVDの内容でとても重要だと思ったところは、熱中症にかかってしまった子の体を冷却する方法のシーンです。ホースで水をかける場面がありましたが、現実的に学校の冷蔵庫で大量の氷を作ることは難しいので、ホースで水をかけて冷却することは本校の実情に合っており、いちばん手っ取り早い方法だと思いました。いざというときの対処方法として職員会議の場で周知しました。また、私自身も初めてこの方法を知ったのでとても参考になりました。
日本スポーツ振興センターの事故防止映像資料DVD熱中症を防ごうー知って防ごう熱中症ーレーベル画意識障害がある場合の対処方法として、ホースで全身に水をかけ続けている様子
映像資料(DVD)「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」

◇今後、センターの資料を活用する予定はありますか。

 小浜市内での教員の異動が多いのですが、基本的なことはどこの学校へ赴任しても同じだと思うので、けがが起きたときの対応方法とか、センターの災害共済給付の請求手続なども含めて統一したものを小浜市の養護教諭の保健安全部会で作成することになりました。
 その中でセンターの熱中症に関する資料の「熱中症対応フロー」と「CAUTION CARD」の熱中症編を使用しています。熱中症以外にも「スポーツ事故防止ハンドブック」の各項目のけがの対応のところも使っています。完成した資料はファイルにまとめて小浜市内の全教職員へ配布します。
 また、来年の夏に開催される福井県養護教諭研究協議会で小浜市の取組を発表することになっているので、そのときにも今回作成している資料を紹介する予定です。

◇センターへの要望があれば教えてください。

 現在、提供していただいている資料で十分だと思いますが、あえて言うなら、今回、活用した中学生・高等学校向けのチェックリストの小学生向けがあるといいなと思いました。小学校低学年の児童でも確認できるような文字の情報は少ない、簡潔なものがあると助かります。

◇今回活用の資料の紹介

・パンフレット「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-
・DVD「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-
・ポスター「熱中症対応フロー
教材カード 運動・スポーツ時の熱中症事故を防ごう!令和元年7月号(中学校・高等学校向け)(活動前の健康自己チェック表)
番外編CAUTION CARD No.1 熱中症編
事故事例検索データベース
スポーツ事故防止ハンドブック

◇終わりに

 今回、センターが提供する数々の事故防止資料を雲浜小学校の職員研修だけでなく、日頃の熱中症の対応や、更に小浜市の養護教諭の保健安全部会で市内の共通の資料作成にもご活用いただいていることが分かりました。
 また、実際に熱中症にかかってしまった児童の対応をする際の判断に迷ったときに、熱中症対応フローチャートの手順を確認することで適切な判断をすることができたというお話から、センターの作成した資料が学校現場で有意義に使っていただいていることを実感できました。
 今後も「学校安全Web」等で様々な事故防止情報を提供し、広く学校現場で活用していただけるよう努めていくことで、少しでも学校災害の未然防止や災害時の対応に役立ていただくことができればと思います。
 最後に、取材にご協力いただきました杉山先生、お忙しい中、ご対応くださいましてありがとうございました。

◇お願い

 センターが提供している事故防止資料をご活用している先生方がおられましたら、学校安全Webで共有したいと考えておりますので、是非、担当地域事務所にご一報ください。よろしくお願いします。

 

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