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学校現場での取組(事故防止対策) 名古屋 第121号(2020.02)

 
DVD『運命の5分間 その時あなたは~突然死を防ぐために~』の活用事例
-福井県 大野市上庄中学校-
             
 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下、「センター」)では、学校の事故防止に資する目的で様々な刊行物や映像資料を発行し、学校関係者等へ提供しています。

 去る平成31年2月1日に開催された、平成30年度福井県健康教育指導者研修会で実施した参加者アンケートから、大野市上庄中学校(以下、「上庄中学校」)が、校内での救急対応研修で、センターが作成したスポーツ事故防止映像資料(DVD)『運命の5分間 その時あなたは ~突然死を防ぐために~』を活用されたことを知り、後日、取材に伺い、研修の内容やDVDの活用方法について、養護教諭の刀禰先生にお話を伺いましたのでご紹介します。  
 平成26年度 文部科学省委託事業 スポーツ事故防止対策推進事業 その時あなたは DVDパッケージ画像

 学校紹介

上庄中学校は、北陸の小京都とも呼ばれている福井県大野市に位置し、昭和22年5月1日に創立された歴史のある学校です。

   「根気」  「創造」  「敬愛」

を校訓に、未来を見つめ、心豊かにたくましく生きる生徒の育成を教育目標とし、日本一生徒が伸びる学校を目指しておられます。 
大野市上庄中学校の校舎の外観の写真
(大野市上庄中学校の外観)
 学校での安全に対する関心を高め、安全に行動しようとする態度や能力を育てることを目標とし、医療大学の先生によるけがを防止するためのストレッチングの実施や、マラソン大会、スキー研修、地区の体育大会や老人ホームの訪問など地域行事への参加を積極的に行い、地域との関わりを大切にされています。
 また、男子バレーボール部は数々の大会で素晴らしい功績を残されています。
                                                                                      

 救急対応研修の内容について

(刀禰先生) 
 毎年、4月~6月に学校内の多目的ホールで実施しています。今年は全教員12名が参加しました。
 研修は、①「危機発生時に組織的な対応をすることの難しさをシミュレーション演習を通して知り、的確に対応するためにどうすればよいか理解する。」②「教職員の危機管理意識の向上を図るとともに、教職員同士の連携の大切さを意識付ける。」③「心肺蘇生法(AED使用)のやり方を、練習し確認する。」の3つの目的を持って行いました。
 この研修の中では、センターのDVDも活用しています。DVDは私が赴任する前から使われていました。センターから配布されたDVDを視聴し、内容がシンプルでドラマ仕立てになっており、ポイントが分かりやすく押さえられているので他の先生にも見てもらおうと思い、研修の導入部に使うようになりました。 
 研修の流れとしては、最初にセンターのDVD「運命の5分間 その時あなたは ~突然死を防ぐために~」(9分51秒)を上映しました。そのあと講師(地元の消防署員)の指導を受け、4グループに分かれて心肺蘇生法とAEDの実技講習を行いました。心肺蘇生法では倒れている人を見つけてから心肺蘇生の開始までの流れを行い、実際に胸骨圧迫を1人100回行ってみました。DVDの内容にもあるように、胸骨圧迫を続けなければいけませんが、だんだん力も弱まってくるので数人で交代しながら行うことが必要だと感じました。その後、AEDのデモ機で使用方法を確認しました。    映像資料(DVD)「運命の5分間 その時あなたは~突然死を防ぐために~」よりAED到着まで救命処置を!のシーン
 映像資料(DVD)
  「運命の5分間 その時あなたは
          ~突然死を防ぐために~」より
研修で使用した養護教諭の手作りの配役カード6枚の写真   6枚のカードには、「発見者」、「生徒」、「教職員A」、「教職員B」、「教職員C」、「リーダー」とそれぞれの役割が書かれています。カードにはひもがつけてあり首から下げられるようになっています。
 (研修で使用した配役カード)
 実技講習が終わった後、各グループで緊急時対応シミュレーション(後述)にて想定された事例に沿って演習を行いました。演習では、発見者、現場リーダー、教職員A、B、C、目撃生徒など役割を決め、それぞれの配役カードをつけました。シミュレーションでは、事故発生当時、先生は不在で子どもしかいないという設定です。子どもが職員室に先生を呼びに行くというところから始まり、心肺蘇生とAED、救急車要請までの演習を行いました。 
           
 《緊急時対応シミュレーション》

  想定シナリオ  

○ 昼休み、体育館で中学2年の男子がバスケットボールをしていた。
  至近距離から友達の投げたボールが男子Aの胸に強く当たり、男子Aは意識を失い
  床に倒れ込んでしまった。周りにいた生徒から職員室に知らせが来た。
  (教職員が駆けつけると男子Aは心肺停止状態であったと想定)
○ 管理職、養護教諭不在
 
 
 研修の最後に質疑応答の時間を設けましたが、受講した教員からは「救急車が来るまで何をしたらよいのか。」と疑問に思ったことの確認や、講師からは、「救急車を呼ぶときには、同時に生徒の情報(氏名、生年月日、持病の有無)も提供してほしい。」「救急車の誘導係は学校の外で待っていてほしい。」などのリクエストもあり、消防署の方が何を求めているのかを聞くことができてよかったと思います。
 また、昨年は実際に救急車を呼ぶことがありましたが、そのときに先生方がそれぞれの役割を理解していてスムーズに動けたので、研修をしてよかったという意見も聞いています。 

 DVDを活用してみた感想をお聞かせください

 研修を受けた教員に感想を聞いたところ、
「部活動に関する事例で身近なことなので、自分たちにも起こり得ることだと思う。映像の中で危機迫るような感じでカウントダウンの音が入っており、早く心肺蘇生を始めないといけないという危機感を覚えるところがよい。
あいだあいだにテロップで説明が入るので、流れがよく分かり、見たあとで講師に教えてもらい、実技を行うときに内容が入ってきやすくスムーズにできる。
とのことでした。                         
平成26年度 文部科学省委託事業 スポーツ事故防止対策推進事業 その時あなたは DVDレーベル画像 
 また、研修後に、 「年に1度の講習なので忘れていることもあり、何度やっても勉強になる。」 「いざというときに、この間の講習の消防士の方から聞いた救急法やけがの応急処置をやってみる。」 との声を聞くことができたので、DVDを使った研修を受けた教員にも心肺蘇生法の重要性が伝わっていると感じましたし、緊急体制を見直すきっかけになりました。春先に行うことで新しく赴任された先生もいらっしゃるので新体制を整えやすいと思いました。  
           

 DVDの今後の活用方法をお聞かせください 

 秋に「総合的な学習の時間」の中で、2年生を対象に救急講習会を行っています。DVDの内容が部活動中に倒れたという設定であることと、あえぎ呼吸(死戦期呼吸)などリアルな場面もあるので、救急講習会のときに生徒に見せたいと思います。 
 

 センターへの要望があれば教えてください 

 センター作成のDVDでも子どもたちは理解してくれると思いますが、小学生・中学生向けのバージョンがあればいいなと思いました。
 また、このDVDはテニス部の想定ですが、部活動のパターンがいくつか欲しいです。部活動以外にも体育の授業を想定したものがあるといいと思いますし、色々な緊急時の対応をしてるDVDをもっと作ってほしいです。
 さらに、突然死の予防以外では、食物アレルギーのDVDがあると活用できると思います。
 最近はパワーポイントを使って保健指導を行っているので、自分で手直しできるようなパワーポイントの資料があればいいなと思いました。 
 

 取材を終えて 

 今回の取材から、心肺蘇生法の講習を定期的に行い、手順やAEDの使用方法、教員が事故の対応をするときのそれぞれの役割を確認することはとても大事で、講習会を行うことにより、実際に事故が発生したときに、講習を受けた経験から適切な処置や動きができるということを改めて感じました。
 また、センターが作成したDVD『運命の5分間 その時あなたは ~突然死を防ぐために~』を実際にご覧になった先生方が、「自分たちにも起こり得ることで、危機感を覚える。」とか「DVDを見ることで流れがよく分かり、実技を行うときにスムーズにできる。」などの感想を述べられているように、このDVDは映像やナレーション、効果音なども現場の緊迫感があふれるような作りになっており、倒れてから5分以内にAEDの装着することの必要性を訴えています。心肺蘇生の実技を行う前にDVDを視聴することで、先生方がより危機感を持ち実技を行えるので、実際の緊急時にスムーズに対処することができるのではないかと思います。

 今回活用していただいたDVDの他にも『熱中症を予防しよう―知って防ごう熱中症―』や『スポーツ活動中の歯・口のけがの防止と応急処置』などテーマ別にDVDがありますので、これからも学校現場で有効活用していただけるよう普及に努めていきたいと思います。
 
 最後に、取材にご協力いただいた刀禰先生、お忙しい中、ご対応いただきありがとうございました。 
 

 

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