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学校現場での取組(事故防止対策) 名古屋 第120号(2019.03)

第120号『スポーツ事故防止ハンドブック』活用事例報告
~学校法人今村学園 認定こども園 富士ふたば幼稚園~
 
 
 静岡県富士市にある学校法人今村学園 認定こども園 富士ふたば幼稚園(以下「富士ふたば幼稚園」)から、同園で行う「緊急対応研修会」で、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」)編集・発行の『スポーツ事故防止ハンドブック』(以下「ハンドブック」)を活用したいとの連絡をいただき、お送りしました。後日、ハンドブックの活用状況について今村園長先生と、研修担当の渡辺先生にお話を伺いました。 
 

幼稚園紹介 

 富士山のふもと、富士市に昭和26年に開園した60余年の伝統ある幼稚園で、「感性を育む幼児教育」という教育理念の下、一人ひとりの個性を伸ばし、健やかな成長を大切にしています。平成27年度からは「認定こども園」へと移行しました。情操教育を取り入れた独自のカリキュラムに保育所の養護機能を併せ持ち、子どもたちは主体性を発揮しながらのびのびと成長しています。 
富士ふたば幼稚園の園舎の画像 
〔富士ふたば幼稚園の園舎〕
 

「緊急対応研修会」について 

 富士ふたば幼稚園では、年に数回、救急救命やアレルギー、熱中症などをテーマにして職員研修を行っています。「緊急対応研修会」は平成30年8月30日(木)に、消防署の救急隊員の指導の下、約25名の教職員が参加して行われました。当日は実技を交えながら、熱中症やけいれん発作を起こした子どもへの対応、心肺蘇生法を確認しました。 
〔研修会の様子その1〕  〔研修会の様子その2〕 
 救急隊員が子ども役となってけいれんが起こったときの対応を確認している様子  人形を使って心肺蘇生法を確認している様子
 

今村園長先生へのインタビュー 

 
ハンドブックを活用したいと思われた経緯をお聞かせください 
 当園では、救急に関する研修を年に数回行っています。今年(2018年)の夏は特に暑くて、もしも熱中症で子どもが倒れたときにどういう対処をしたらいいのか、救急搬送まで含めてみんなで勉強しようと思いました。前にセンターからいただいたハンドブックを見て、よくまとまっているので、これを使って職員研修を行えば理解しやすいと思い、活用を考えました。  
 
ハンドブックをご覧になって、どのように感じましたか? 
 高校生までカバーしたものになっているとは思いますが、園でも起こりそうな事故がコンパクトにまとめてあるので、持っているとパッと出して見返すことができると思います。熱中症対応フローのみならず、園では頭をぶつけることが多いので、頭頚部外傷の対応フローは特に参考になります。
 更に、研修担当の渡辺先生からは、「次に何をしたらいいのか、流れが分かりやすいものになっていると思います。すぐ役立たせるために、幼稚園という現場に合うものに少し変えながら使いたいと思っています。今年の夏は特に熱中症が怖かったので、何度も見返しました。今後も活用させていただきたいと思っています。」という感想もいただきました。 
 
<参考>頭頚部外傷・熱中症発生件数 
 平成29年度に給付された全国の頭頚部外傷年齢別発生件数は、3歳児から5歳児までが多く、特に男児の発生件数が多い傾向にあります。0歳男児が29件、0歳女児が19件、1歳男児が239件、1歳女児が183件、2歳男児が443件、2歳女児が206件、3歳男児が802件、3歳女児が319件、4歳男児が1141件、4歳女児が476件、5歳男児が1204件、5歳女児が547件、6歳男児が619件、6歳女児が239件となっています。 平成29年度に給付された全国・全校種の熱中症月別発生件数は、7月が最も多く、次いで8月、5月となっています。4月が83件、5月が574件、6月が491件、7月が2099件、8月が1099件、9月が426件、10月が90件、11月が26件、12月が17件、1月が11件、2月が13件、3月が27件となっています。 
 ※『学校の管理下の災害[平成30年版]』災害共済給付データより
 
どのように活用しましたか? 
 事前によく読んだ上で研修に臨みました。研修当日も取り出して見つつ、ハンドブックの熱中症対応フローを使って、もしものときの対応方法を確認しました。また、研修会後は職員が常に携帯して、事故が起きたときの対応をみんなで確認し合うときに使っています。今後は、新人研修にも使用したいと思っています。 
 
研修会後、安全への取組に関して何か変化はありましたか? 
 熱中症への対策はかなり丁寧に行っています。具体的には、WBGTの計測器を各部屋に置いて定期的に確認し、注意・警戒しています。また、屋外でも熱中症アラームを職員が持って、子どもたちの安全を守るようにしています。 
 
事故防止の取組はどのようなことをされていますか? 
 「幼児期につけたい力」ということで、危機管理能力を子どもにも学ばせなければならないと思っています。もちろん安全は確保された中で、例えば木登りすることを止めませんし、転ぶこともあります。そういった危機管理能力を身に付けるために役に立つと思われる経験はさせています。
 また、ヒヤリ・ハットも看過せず、「けがにはならなかったけど危なかったね。」というケースをまとめて、職員で確認しています。 
 
事故防止情報資料等に対するご意見、センターへのご要望があればお聞かせください 
 乳幼児特有の事故もありますので、ハンドブックに乳幼児向けの内容も載せていただければうれしいです。また、アニメでもいいのかもしれませんが、熱中症やアレルギーによるけいれん発作への対応に関する映像があればいいと思います。
 子どもたちの体力が落ちてきている中で、身体をきちんと育てる取組を行うことは事故防止対策の一つではないかと思います。現場でも一生懸命取組を行っていますが、センターでも子どもの体力づくりへの働きかけをお願いします。 
 

『スポーツ事故防止ハンドブック』の紹介 

 ここで、『スポーツ事故防止ハンドブック』をご紹介します。 
 『スポーツ事故防止ハンドブック』(A6判24ページ)
   

その時どうする?(収録内容)
 ・突然死
 ・頭頚部外傷
 ・熱中症
 ・歯の外傷
 ・眼の外傷

☆携帯に便利なポケットサイズ
☆緊急時に即時に対応できるフローチャート式

 ↑画像をクリックするとダウンロードできます!
 

取材を終えて 

 今回取材させていただき、ハンドブックを何度も見返していただいているというお話を聞き、先生方が一丸となって子どもたちの安全を守っていることを強く感じました。また、危険なものを全て取り除くのではなく、遊びを通して子どもたちに肌で危機管理を学ばせるよう心がけていらっしゃることが印象的でした。取材後には、園舎と園庭を見学させていただきました。寒い中でも元気に園庭を走り回っている子どもたちの姿が微笑ましかったです。
お忙しい中、とても快く迎えていただいた今村園長先生、渡辺先生、取材へのご協力ありがとうございました。

 センターでは、災害共済給付の実施によって得られる災害事故情報を活用して、調査・研究や情報提供を行っています。このようにセンターが提供する資料を活用されている学校(園)・先生方がいらっしゃいましたら、是非、各地域事務所にご一報ください。お待ちしております。 


 

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