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名古屋☆通信 第115号(2018.02)

第115号 事故再発防止事例
~学校の管理下における突然死等について~

 今回の名古屋☆通信では、学校の管理下で発生した突然死等をテーマとし、名古屋事務所管内での災害共済給付によって得られた事故情報から、突然死等の傾向及び災害発生事例と学校の再発防止の対応例をまとめました。
 また、平成29年11月に開催された愛知県小中学校長会、尾張小中学校長会、三河小中学校長会の福祉安全委員会において、『学校の管理下における突然死等について』と題して情報提供を行いましたので、内容の一部を紹介します。

1 災害の現状

 平成23年度から平成27年度の過去5年間に名古屋事務所で給付を行った小学校、中学校及び高等学校における死亡見舞金の給付件数は42件でした。その中で突然死に該当する案件は17件あり、このデータをグラフ化しました。

(1)過去5年間の死亡種別年度推移

 死亡見舞金42件を年度別に「突然死」と「突然死を除く死亡」に分け、さらに突然死の17件を「運動などの行為に起因する突然死」と「運動などの行為と関連のない突然死」に分類しました。
 グラフから突然死については、「運動などの行為に起因する突然死」が若干多く発生しており、死亡見舞金全体の約24%を占めています。「運動などの行為と関連のない突然死」は全体の約17%を占めています。
過去5年間の死亡種別年度推移 運動などの行為に起因するい死亡平成23年度4件、平成24年度0件、平成25年度1件、平成26年度3件、平成27年度2件、運動などの行為と関連のない突然死平成23年度3件、平成24年度2件、平成25年度1件、平成26年度0件、平成27年度1件、突然死を除く死亡 平成23年度5件、平成24年度5件、平成25年度5件、平成26年度5件、平成27年度5件

(2)過去5年間の突然死の学校種別及び男女別

 突然死17件を「学校種別」と「男女別」に分類しました。 学校別では高等学校で全体の約半数を占めていて、小学校と中学校はほぼ同じ割合です。 また、男女別では男子が半数以上を占めています。
<学校種別>小学校23%、中学校24%、高等学校53% <男女別>男59%、女41%

2 災害発生事例及び学校の再発防止の対応例

 名古屋事務所が災害実地調査を行った災害発生事例の中から、突然死等の災害発生事例及び再発防止対応例を紹介します。

【事例1 死亡案件】
死因 学年・性別 発生月 発生時刻
心室細動 高校1年・男 9月 午後6時49分
場所 場合 運動種目
学校内 運動場 体育的部活動  野球(ジョギング後)
【災害発生状況】
 野球の部活動中、運動場で持久的トレーニングを終えジョギングで戻りミーティングを行っていたとき、顔色が悪くふらふらしていた。ベンチに座らせようとしたがグラウンドに倒れた。
【応急手当の状況など】
 過呼吸のような状態で、両足けいれんの様子を示し、眼球は上を向いていた。すぐに脈、 呼吸があることを確認し、AEDでの電気ショックを続けながら救急車の到着を待つ。
 病院に搬送後、治療を受けたが同日死亡した。
災害発生時の学校の管理体制
・練習開始時に顧問が部全員の体調を観察している。
・部活・体育は、無理はしない。異変があればただちに申し出ることをST等で伝える。
・水分補給は、練習メニューの合間だけでなく、練習中であっても随時飲めるようにしている。水分はこまめにとらせるようにしており、走る練習を行う前には必ず水分をとらせるようにしている。
・生徒から提出される健康カード、健康診断票をもとに養護教諭、体育教諭が一覧表を作成し、既往症のある生徒の情報を教諭の間で共有している。
・毎年7月、近隣の消防署を招き、1年生・教諭が参加し、AEDの講習を受講している。
・入学時に、生徒にAEDの設置場所の説明を行っている。 
災害後の安全指導・改善事項
・野球部では、毎週月曜日にミーティングを開き、体調面・精神面について意見を聞いたり、生徒の様子を観察するようにしている。また、食事や睡眠の必要性について強く指導するようにしている。
・練習内容については、ボールを使う練習を少なくし、基礎体力の向上を図る練習を増やした。また、練習時に心拍を計ることや休憩回数を増やす、ダッシュのインターバルを16秒から18秒に長くするといった対応もしている。
・従前から取り入れている朝の健康観察への取組の強化や養護教諭、体育教諭が作成している既往症をもつ生徒の一覧表の再確認を行っている。


【事例2 障害案件】
傷病名 学年・性別 発生月 発生時刻
心室細動 高校1年・女 1月 午後0時10分
場所 場合 運動種目
学校内 運動場 保健体育  長距離走
【災害発生状況】
 体育の授業中、マラソン大会にむけて校舎外周を走り、ゴールインしたとき、気分が悪いとうずくまりそのまま頭から前のめりに倒れた。顔面を舗装された中央道に強打し出血した。
【応急手当の状況など】
 意識なし、顔面蒼白、苦渋の形相、脈なし、AEDを用いて除細動を実施した。
災害発生時の学校の管理体制
・校舎外周が広範囲であるため、体育担当教員は5名を主にスタート、ゴールの位置に配置し、走行を監視していた。
・AEDは玄関入口と体育館に設置されている。
・出席確認の後、生徒の健康観察を行っている。
災害後の安全指導・改善事項
・体育授業時は、携帯電話及びAEDを1台持参して実施するようにした。
・本災害のように、学校外で生徒が活動することもあるので、教員を広範囲に配置するようにした。

3 事故防止のポイント

■突然死を防ぐための10か条

【基本的な注意事項】
① 学校心臓検診(健康診断)と事後処置を確実に行う。
② 健康観察、健康相談を十分に行う。
③ 健康教育を充実し、体調が悪いときには、無理をしない。
④ 運動時には、準備運動・整理運動を十分に行う。
【疾患のある(疑いのある)子どもに対する注意事項】
⑤ 必要に応じた検査の受診、正しい治療、生活管理、経過観察を行う。
⑥ 学校生活管理指導表の指導区分を遵守し、それを守る。
⑦ 自己の病態を正しく理解する、理解させる。
⑧ 学校、家庭、主治医間で健康状態の情報を交換する。
【その他、日ごろからの心がけ】
⑨ 救急に対する体制を整備し、充実する。
⑩ AEDの使用法を含む心肺蘇生法を教職員と生徒全員が習得する。
出典:「学校における突然死予防必携 -改訂版-」

4 突然死等の事故防止に関する資料

(1)刊行物
『学校における突然死予防必携 -改訂版-』(平成23年2月発行)
       

(2)教材カード
おともだちがたおれてしまったら/日頃からAEDを点検しましょう!(幼稚園・保育所等向け/教職員向け)

AEDはどこにあるかな?/日頃からAEDを点検しましょう!(小学校向け/教職員向け)

~突然死~知って救おう大事な命/AEDのしくみ(中学校・高等学校・教職員向け)

平成26年度文部科学省委託事業「スポーツ事故防止対策推進事業」成果物            
(3)スポーツ事故防止ハンドブック(平成27年3月)

(4)DVD「運命の5分間 その時あなたは~突然死を防ぐために~」





 

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