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名古屋☆通信 第114号(2017.12)

【岐阜県】平成29年度学校歯科保健研修会
-学校での事故を減らすために-

 平成29年8月24日(木)に公益社団法人岐阜県歯科医師会が主催する「学校歯科保健研修会」が開催されました。
 独立行政法人日本スポーツ振興センター名古屋事務所では、当該研修会における講義の時間の一コマを頂き、学校事故防止における情報提供を行いましたので、その様子を紹介します。

■研修の主旨

 公益社団法人岐阜県歯科医師会では、学校及び地域社会の歯科保健に対する理解の深まりと関心の高揚を図っています。
 学校歯科保健においては、今の時代に合った歯科保健の普及・啓発及び充実のために、それぞれの学校で現代に適合した、より進んだ活動に努める必要があると考えています。
 本研修会は、これらを踏まえ「生きる力をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」を推進する目的をもって、現場で指導的立場にある歯科医師、保健主事・養護教諭等学校関係者に対して研修を行うものです。

■対象者

 歯科医師、学校歯科医、教育委員会関係者、学校保健主事並びに養護教諭、その他学校保健関係者

■JSCの講義

 「学校での事故を減らすために」と題する講義で、まず、事故防止のための情報提供に関する事業として、災害共済給付業務によって得られたデータを整理・分析と、調査・研究を行っていることを紹介しました。 【受講の様子】

 続いて、災害共済給付制度の概要を説明しました。
 今回の研修会には歯科医の先生も参加されるため、医療等の状況への記載方法について触れたり、また、歯の事故は後遺症が残りやすいことを受け、障害の範囲や請求方法、給付件数の多い障害の種別について重点を置いてお話をしました。
 特に、後遺症の種別ごとの件数や学校種別、場合別の傾向についてはグラフで示しながら説明を行いました。
 
【グラフ:障害種別給付件数(全国)】
平成27年度 障害種別給付件数(全国)歯牙障害93件、視力・眼球運動障害86件、手指切断・機能障害27件、上肢切断・機能障害11件、足指切断・機能障害2件、下肢切断・機能障害10件、精神・神経障害53件、胸腹部臓器障害27件、外貌・露出部分の醜状障害102件、聴力障碍4件、せき柱障害14件、そしゃく機能障害2件 出典:「学校の管理下の災害[平成28年版]」
【グラフ:歯牙障害の事故の傾向】 
歯牙障害の事故の傾向① 平成27年度 歯牙障害(全国)学校種別発生割合 小学校11件12%、中学校23件25%、高等学校59件63% 場合別発生件数 各教科等 小学校2件、中学校5件、高等学校10件、特別活動(除学校行事)小学校3件、中学校0件、高等学校0件、学校行事 小学校1件、1中学校1件、高等学校2件、課外指導 小学校0件、中学校12件、高等学校38件、休憩時間5件、中学校4件、高等学校1件、通学中 小学校0件、中学校1件、高等学校8件 ※高等学校に特別支援学校高等部 高等専門学校を含む 出典:「学校の管理下の災害[平成28年版]」
 さらに、どのような状況で歯の事故が発生するのか、名古屋事務所管内で実際に障害見舞金を給付した事故の事例を校種別にまとめ、事例ごとの注意点などを紹介しました。
 小学校の事例では、ケガの原因は転倒によるものが多く、また、児童同士の関わりが多く、児童の判断で動き、児童が気を抜きやすい休憩時間中に多く発生する傾向があります。フラフープを使っての事例ですが、ゴム跳びや縄跳びでも引っ掛かり転倒して歯の事故につながるため、安全な場所で行うよう指導することの大切さを伝えました。
 中学校の事例では、保健体育はより専門的な学習となり、運動部活動でも難易度が高い技に挑戦したり、また、ボールやバット、ラケットなどの運動用具を使うようになることが増えてきます。そのため、運動用具それぞれの動く範囲の認識を持ち危険を回避する感覚を身につけることの重要性を伝えました。
【事故事例の一例】
学校種
学年
性別 発生状況 学校のとった
措置状況
小学校
3年
校舎と運動場の間のアスファルトの所で一人でフラフープを縄跳びのように手で回して跳んで遊んでいた時に、フラフープが足先に引っ掛かり、つまずくように前のめりになり、手が出ないまま倒れ下顎と歯を強打し負傷した。 破折した歯をすぐに歯牙保存液につけて、保護者に連絡し歯科医院を受診した。
中学校
2年
ソフトボールの試合をしていた際、バッターの生徒が振ったバットが飛んで、左後方に立っていた本生徒の口元に当たり、歯、歯肉、口唇を負傷した。 受傷部分を確認し、口元を冷やし、保護者に連絡をした。その際抜け落ちた歯を保存液に入れ持参した。

 予防や対策については、、「歯と口のけがを防ぐための10か条」を掲げたり、「教材カード」を示すなどして、応急処置の方法や事故防止に関する情報共有を行いました。
【紹介した教材カード】
知っていますか?歯と口のけがの手当~歯が抜けても適切な対応をとれば、再植が可能です!~ 歯と口のけがを予防しよう!~けがの原因を探り、防止策を考えてみましょう~
 
 また、講義の後半には、「スポーツ事故防止対策推進事業」(平成27年度スポーツ庁委託事業)における成果物のDVD「スポーツ活動中の歯・口のけが防止と応急処置」を上映しました。        
映像資料(DVD) 映像資料のページへ
バナーをクリックして「映像資料(DVD)」のページへ
【上映したDVD】
平成27年度スポーツ庁委託事業スポーツ事故防止対策推進事業 1.水泳の事故防止~プールへの飛び込み事故を中心に~ 2.スポーツ活動中の歯・口のけがの防止と応急処置 

■受講者からの質問・感想

 講義終了後、研修会に参加された歯科医の先生からは、「支給期間と災害共済給付を受ける権利の時効」について質問がありました。
 また、養護教諭の方からは、「事故事例や事故防止対策はとても参考になったので、本校でも情報共有したいと思う。」との感想も頂きました。

■講義を終えて

 今回の講義では、後遺症が残りやすい歯の事故防止がテーマということもあり、受講者が講義を受けている時に関心を持って受講されていた様子が見てとれました。今回の講義が少しでも今後の学校での事故防止への一助になればと思います。
 また、歯と口のけがに対する事故防止について、より積極的な発信に努めていきたいと思いました。


 

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