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学校現場での取組(事故防止対策) 広島第74号(2019.5)

「東広島市立学校教育研究会中学校健康教育部会研修会」での事故防止のための情報提供

 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下、「センター」)では、校長・教諭など学校関係者・教育委員会担当者等の学校現場に関わる方々を対象として、講習会・説明会を開催しています。
 
研修会風景  今回、広島事務所では東広島市立学校教育研究会中学校健康教育部会(以下、「中学校健康教育部会」)からの要請を受けて、平成31年2月4日(月)広島県東広島市において災害共済給付制度と学校の管理下における歯の事故防止のための情報提供を行いました。その内容についてご紹介します。
 

東広島市立学校教育研究会中学校健康教育部会の紹介

 中学校健康教育部会は、「保健教育・安全教育・食育の推進」を目的として、東広島市立中学校の養護教諭等で構成されており、学校で発生した骨折などの事故事例はもとより、生徒たちが日ごろの学校生活を送る中でヒヤリ・ハットした事例を持ち寄って情報の共有をしています。そのほかにも性教育、定期健康診断などテーマを決め、ときには講師を招いて研修会を実施しています。
 これまで歯の事故は件数としては多くなかったのですが、重大事故につながる可能性の高いケースが散見されたため、歯の事故防止は重要であると考え、今回センターに、歯の事故防止に関する講義の依頼をしたということです。
 

講義内容と情報提供

 研修会には、中学校健康教育部会の部会長と養護教諭16名全員に参加していただきました。
 前半は、災害共済給付金の手続上の疑問点について、“災害共済給付請求事務ガイドブック”で説明しました。
 後半では、「学校での事故を減らすために」と題し、依頼を受けた歯の事故防止に関する講義を行いました。
 歯の事故は障害が残る場合が多いことを受け、資料「歯の事故の傾向と予防・対策」を用いて、平成17年度から平成28年度までの歯の事故データを整理・分析した中学校の事故の場合別では、課外指導中の事故が多いことや、全学校種の運動種目別では、野球、バスケット、サッカーの順に事故が多いことをグラフで説明しました。また、実際に障害となった事例、「歯のけがを防ぐための10か条」や「応急処置の重要ポイント」についても説明しました。
 東広島市立学校教育研究会では、幼稚園・小学校・中学校を含めて眼科・歯科の学校医から指導・助言を聞くことはあったそうですが、中学校健康教育部会において、今回のような「歯の障害」についての研修は初めてとのことでした。歯の事故において障害見舞金が支給される件数は決して少なくない等の説明に、真剣に耳を傾けていただきました。
 研修会風景

歯の事故の傾向と予防・対策資料

障害種別の割合 平成17年度~平成28年度 障害見舞金支給件数5,237件。醜状障害1,266件 全体の24.2%、視力・眼球運動障害1,228件全体の23.4%、歯牙障害1,169件全体の22.3%、精神・神経障害521件、手指切断・機能障害350件、胸腹部臓器障害250件、上肢切断・機能障害136件、下肢切断・機能障害99件、聴力障害94件、せき柱障害88件、足指切断・機能障害20件、そしゃく機能障害16件。 事故発生の場合別の割合のグラフ 平成17年度~平成28年度 歯の障害見舞金支給件数1,169件。中学校(292件)課外指導99件33.9%、休憩時間71件24.3%、各教科44件15.1%、通学中42件、14.4%、その他12.3%。
運動種目別の割合のグラフ平成17年度~平成28年度歯の障害見舞金支給件数(運動中)663件の内の割合。野球(含軟式)255件38.5%、バスケットボール89件13.4%、サッカー・フットサル59件8.9%、ソフトボール56件8.4%、バレーボール31件4.7%、その他173件 26.1%。 歯のけがの応急処置の重要ポイントポイント1歯ぐきの傷口を清潔にし、出血箇所はガーゼ等でおさえて止血する。ポイント2抜けた歯や折れた歯は、あきらめないで探す。ポイント3抜けた歯の根元を持たない。ポイント4歯を乾燥させないようにし、歯の保存液に浸ける。(牛乳でも代用可)※歯に泥等が付いていても構わないので、洗わず保存液に入れてよい。ポイント5 30分以内に(できるだけ早く)歯科医院を受診する。抜けた歯の持ち方『歯根部』を持ってはいけません!!『歯冠部』を持ちましょう!抜けた歯の保存可能時間は歯の保存液に浸けた場合48時間、牛乳に浸けた場合24時間、唾液(口の中)に浸けた場合1時間、生理食塩水(0.9%濃度)に浸けた場合1-2時間、精製水に浸けた場合30分、乾燥状態のまま30分。
歯のけがを防ぐための10か条①★日頃からの管理と指導1朝、授業や活動の途中・前後に健康観察をしましょう2食事、運動、休養・睡眠の調和の取れた生活と敏捷性や調整能力などの基礎的な体力つくりに努めましょう3施設・設備や用具、教室や運動場などの安全点検を行い、環境を安全に整えましょう4活動場所や内容、運動種目などに応じた安全対策をしましょう5危険な行動を見つけたら、改善のための指導をしましょう6安全な活動や用具等の使用に関するルールを決め、お互い守るようにさせましょう。 歯のけがを防ぐための10か条②★危険を予測・回避するために7事故の事例や「ひやり・はっと」した場面などを題材に、危険予測・回避の学習をしましょう8体の接触、ボールやバット・ラケット等に当たることが多い運動では、マウスガードの着用も検討しましょう★けがをしてしまったら9けがをしたところを清潔にし、応急手当をしましょう10抜けた(欠けた)歯を拾って、速やかに歯科医を受診しましょう。
 
 センターでは学校安全支援業務の一環として行っているスポーツ庁委託事業「学校における体育活動での事故防止対策推進事業」のひとつとして「学校でのスポーツ事故を防ぐために」と題したセミナーを全国で開催しています。毎年この事業の成果物として、成果報告書に加え、スポーツ事故防止ハンドブック、プールへの飛び込み事故や熱中症など年度ごとにテーマを決めた事故防止に役立つパンフレットやポスター、映像資料を作成していることを説明しました。また、これらの資料は学校安全Webに掲載されており、ダウンロードも可能であることをお伝えしました。
 

研修会の後で

 東広島市の中学校でも部活動でバットが歯に当たる、手をつけずに顔から転倒して歯が折れる等の事故が発生しており、今回の研修資料の「歯のけがの応急処置の重要ポイント」の説明が参考になったとの感想をいただきました。
 また、配布資料のグラフによる歯の障害見舞金の事故発生の場合別割合や運動種目別の割合には特に興味を持っていただいたようです。
 今回、センターが保有するデータや資料をご紹介させていただいたことで、特に歯の事故について、「学校の職員間で共有したい」「校内の安全教育に活用したい」等、部会員の方々からは多くの関心が示されました。
中学校健康教育部会においては、これまで以上に事故防止に対する意識が高まって、本日の説明内容や様々な資料が、学校での事故防止・応急処置の一助となるよう活用されていくことを期待したいと思います。
 
教材カードを熱心に見る様子

 

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