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学校現場での取組(事故防止対策) 広島第71号(2018.8)

 
DVD『スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応』活用事例
校内研修「眼のケガの対応について」
―高知市立秦
(はだ)小学校―

 
 高知市立秦小学校(以下、「秦小学校」という。)から、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)が作成したスポーツ事故防止映像資料(DVD)『スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応』を校内研修で使用したいので送って欲しいと依頼がありました。そして秦小学校から研修の様子とDVDの活用についてお知らせいただきましたので、後日研修担当者へインタビューを行い、研修の内容やDVDの感想を伺いました。
 「よくある事故」を研修で取り上げ、事故再発防止へとつなげるための取組を紹介します。 
      
 
 秦小学校の取組   
 小学校では休憩時間中に災害が多く発生し、その中でも物や人にぶつかることによる眼のケガが多く、障害が残るような重篤なケースもあることから、職員会議の時間を利用し、眼のケガの対応についての校内研修を実施しました。

 眼のケガの対応についての校内研修

 「事例検討」から始まり「管理職評価」、「研修の振り返り」まで、以下のとおり行われました。  
1.事例検討 
2.対応紹介 
3.DVD視聴 
4.管理職評価 
5.研修の振り返り  

1.事例検討~眼のケガ発生!その時どうする!? 

 学校で実際に起こった災害を事例として、職員それぞれが対応方法や留意点について2分間でイメージし、配布した用紙に記入しました。 
 
 事例                        
 1月末20分休み後半 運動場でのケガ 低学年の児童A、中学年の児童Bが保健室へ
AとBは、別々のグループで鬼ごっこをしていたが、Aの頭の右側と接触したBの眼鏡のフレームが割れ、Bの右目の周りに当たって負傷した。 
 
<対応として考えられることや留意点> 


                       
 職員会議にて研修内容を説明する様子
 

2.対応紹介 

 災害時の実際の対応を紹介し、留意点について周知・共有しました。 
 
 実際の対応                                                                                    
 1月末20分休み後半 運動場でのケガ 低学年の児童A、中学年の児童Bが保健室へ
AとBは、別々のグループで鬼ごっこをしていたが、Aの頭の右側と接触したBの眼鏡のフレームが割れ、Bの右目の周りに当たって負傷した。 
 
                                                 
Bは、Aが叱られるかもしれないと思い、
すぐに事実を言い出せなかったとのこと。 




10:45
 養護教諭が手当と事実確認。
      →Bの担任を別の児童に呼んできてもらう。
      →ケガの状態確認
      羞明(しゅうめい)(まぶしく感じること)・目の周りの腫れを訴える。

10:55 Bの担任来室。Aの担任を呼ぶ。事実確認(時系列で児童に再現させた)とAからBへ謝罪。
→被災したBは、鬼ごっこをして遊んでいた。鬼から逃げていたときに、他のグループで鬼ごっこをしていたAも、鬼から逃げて走っていた。Bに後ろから近づいたとき、たまたまBが振り返ったため、Aの頭の右横がBの右目付近に当たり、眼鏡のレンズが割れ、フレームが目の周りに当たり負傷した。
      今後の遊び方について指導(AからBへ謝罪)
      ・Aは前方不注意で近づき過ぎ。
      ・Bは後方にもできるだけ注意を払って振り向く。
                       
Bの担任 → 管理職に報告して対応 


11:10 Bの担任からB保護者へ事実を連絡し、病院受診と日本スポーツ振興センターの手続を依頼した。


11:15 Aの担任からA保護者へ事実連絡(病院受診になったこと・眼鏡破損)。
      →A保護者は謝罪と弁償の意向。
      →受診結果を後で連絡することを伝える。

11:30 B病院受診。

12:40 Bは学校へ戻ってきて授業、日本スポーツ振興センターの書類を提出した。

16:10 Aの担任からA保護者へ連絡(病院受診結果)。
      →保護者謝罪(弁償)のためにBの自宅と連絡先を教えてほしい。

16:30 B担任からB保護者へ連絡(眼鏡の弁償の意向を伝え電話番号を教えてよいか確認)。
      →弁償は必要ありません。電話番号は教えても構いません。

17:00以降 A担任からA保護者へ連絡(B自宅の電話番号)。
        ※A保護者はB保護者に謝罪に出向く。
        ※Bは当日新しい眼鏡を準備→翌日からの学習に支障なし。
Bは、すごく丁寧に謝ってもらって、
すっきりしたとのこと。 



                                                ​
 
 確認事項 
①学期末、学年末等の忙しい時期であっても連絡等を怠らない。
②相手をケガさせた場合等は保健室へ連れてくる。
③眼のケガ・眼鏡によるケガ→29年度はサッカー・ドッジボール・Tボールで発生                     
 ➡眼のケガの発生のメカニズムの理解と対応の確認DVD視聴 
 

3.DVD視聴  

 『スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応』を視聴し、眼のケガの発生メカニズムの理解、事故防止と発生時の対応について共有しました。 
 DVD視聴風景
 

 4.管理職評価

 教頭先生から研修の総評がありました。
その中で、視機能について既往がある児童がおり、特に注意が必要であることを再確認するとともに、事故発生時には迅速で誠実な対応が大切だということ、教職員全体で情報共有した上で、連携を図りながら対応することの重要性について話がありました。 
 

5.研修の振り返り 

 後日、事例検討時に各教職員から出された対応の内容を項目分類し、まとめたものと、DVDのケガの発生のメカニズムについて抜粋した資料を配布し、研修を振り返り、事故発生の際の留意点について教職員全体で再確認しました。
 対応に大きく違いのある記載もあったので、職員間で相談しながら対応を進めることを共通認識としました。 
 職員が集まり、配付資料を用いて再確認を行っている様子
 

その後 養護教諭にお聞きしました  

―DVDの感想をお願いします。 
担任からは次のような感想がありました。

・眼のケガと症状について、映像が分かりやすかった。眼の表面のケガと眼の奥のケガについて原因や症状が対比されており、映像があると切実感があり、気を付けようと思えた。瞬時にイメージでき、その後の説明も理解しやすい。

・眼のケガの応急手当を再確認することができた。  ​
 
―研修後、学校安全等の取組に何か変化がありましたか? 

・保護者への確実で迅速な連絡の徹底。
・衝突を防ぐ(廊下や教室を走らない)ことへの指導意識の向上。
・安全な体育の授業づくりへの意識の向上。
・運動場のボールとボール以外の遊び場のエリア分け実施。

以上のような変化が見られました。 ​

 

インタビューを終えて 

 この度、秦小学校の校内研修で事例として挙げられたのは、小学校での事故の特徴として挙げられる事故事例です。いわゆる「よくある事故」と言われる事例を取り上げ、眼の事故発生のメカニズムや事故への対応を職員が認識・共有することによって、今後の学校での事故再発防止、事故件数の軽減につながるのではないでしょうか。
 『学校の管理下の災害[平成29年版]』の「学校生活における事故防止の留意点」の中で、小学生の事故の特徴として、「どんなときに事故が起こるか」では、

子どもは、目の前に興味をひくものがあると、意識がそこに集中して周りがよく見えなくなる。周りに注意を払い、危険かどうかを判断し、それを未然に防ぐという能力はまだ未熟であり、低学年ほどその傾向は強い。たとえば授業終了後、早く校庭に出て遊ぼうとして廊下へ飛び出して人とぶつかるのは、その典型的な例である。校庭で夢中になって遊んでいるときも同じである。人とぶつかるかもしれないということは頭から消えている。子どもたちは夢中になると周りが見えず注意力散漫の状態になっている。特に休み時間はその傾向が大きい。 

 学校の管理下の災害平成29年版表紙画像
として、学校生活には安全教育や危機管理が大切であると説いています。  
 
 養護教諭に、センターで取り上げてほしい事故防止情報についてお聞きしたところ、「熱中症」と「交通事故の対応」についてとのことでした。
今後とも、学校関係者等のニーズに即した情報を分かりやすくまとめ、学校現場で活かせる資料作りに努めて参ります。 
                         
スポーツ事故防止映像資料(DVD)について
 センターでは、アニメーションやCGを用いて、事故防止と発生時の対応についてわかりやすく解説したDVDを作成しました。
 これまでに3枚のDVDを作成し、これらはホームページ『学校安全Web』やYouTubeで動画配信しています。
クリックすると映像資料(DVD)のページへ飛びます→ 映像資料(DVD)へのバナー

 

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