第39回 |
北京オリンピック閉幕 |
2008年9月12日 |
笠原 一也
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かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.
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色々と課題を抱えていた北京オリンピックが、17日間の会期を終え無事に幕を閉じた。
国際社会から大会の組織、運営や競技施設などについて、賞賛する声が相次いで寄せられているという。各国メディアも国威発揚型のオリンピックと言いなが ら成功を讃えており、IOCのロゲ会長は、「北京オリンピックは本当に比類なきオリンピックだ」と評している。51個の金メダル、開閉会式の演出など中国 の巨大で底知れないエネルギーを感じさせたオリンピックであった。
日本選手の活躍ぶりは、メダル総数で25個(金9、銀6、銅10)となっており、「金メダル2けた、メダル数30個以上」の目標には届かなかったもの の、アテネ大会を除けば、近年のオリンピックでは悪くない成績であり、実力相応の結果ではないかといえる。
しかし、金メダルの内訳を見ると、金メダルの最後のチャンスとなったソフトボールが、アテネの雪辱を果たして1個を獲得したものの、7個はアテネに続い ての連覇によるものであり、オリンピックに初めて参加して金メダルを獲得した、いわゆる「新人」は柔道の石井選手ただ1人である。
銀、銅メダルを見ても、アテネで活躍した選手が頑張っている印象が強かった。まさに、今回は、北京オリンピックでありながらアテネ仕様のオリンピックであったと言えるのではないだろうか。ロンドンオリンピックへの大きな課題である。
また、ソフトボールの初優勝をはじめ、レスリング女子の全階級でのメダルの獲得、サッカー、バドミントン、卓球、カヌーなどで女子の活躍が目立ったのも北京オリンピックの特徴ではないかと思う。
このように、女子選手の躍進や選手寿命が延びてきた背景には、スポーツ医・科学面からのサポートやトレーニング環境が整ったことが挙げられる。
アテネに続いての2冠という偉業を達成した競泳・北島選手をはじめとして、初めて金メダルを獲得したソフトボール、初めて銀メダルを獲得したフェンシングの太田選手など、ほとんどのメダリストに対して何らかの形でJISSが支援を行っている。
また、メダルには届かなかったものの、バドミントン、卓球、カヌーなどのように、JISSのサポートを受け新たに活躍してきた競技もあり、JISSの果たしている役割の大きいことを改めて認識出来たオリンピックでもあった。
北京オリンピック閉幕は、同時にロンドンオリンピックへのスタートである。
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