第31回 |
全国で関心が高まるタレント発掘事業 |
2007年12月28日 |
笠原 一也
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かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.
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最近、全国の自治体でスポーツのタレント発掘事業に取組む姿勢が 見られるようになった。これは平成12年、当時の文部省で出された「スポーツ振興基本計画」の中で、国際競技力向上を図るためには、優れた資質を有する競 技者の発掘も必要不可欠な施策として取上げられたことによる。
全国に先駆けて取り組んだのが福岡県で『多くの子どもたちがスポーツにふれあったり、トップアスリートを目指す機会を創る』ことを目指して小学生を対象 に平成16年にスタートした。続いて取組んだのが和歌山県で『きみたちが世界に輝くゴールデンキッズ』をキャッチコピーに「ゴールデンキッズ発掘プロジェ クト」事業として小学6年を対象に昨年スタートした。これらの事業には国立スポーツ科学センターや財団法人日本オリンピック委員会が協力している。
12月にそのプロジェクトの体力測定会を激励すべく和歌山県に出かけた。
和歌山県は私が約20年前に県の保健体育課長を務めたところでもあり、大変懐かしく、また、プロジェクトに関係している当時の仲間が集まってくれたこともあって、楽しいひとときも持つことが出来た。
現在、このタレント発掘事業に取組んでいたり、取組もうとしている自治体は、前述の福岡県、和歌山県のほか、岡山県、山形県、秋田県、岩手県などがあ る。また、地域や競技の特性を活かしてスキーのエアリアル種目に特化して取組んでいる北海道の美深町の例などもある。
福岡県では今年の参加申込が過去最高の8,376人で昨年の倍以上の応募があったという。和歌山県でも新たに3、4年生を募集したが、昨年選考にもれた4年生の中に再度挑戦している子もいて、人気ある事業となっている。
子どもたちの体力低下が叫ばれている今日、目を輝かして参加してきている子どもたちを見ていると「正しい指導の下に、安全に配慮され、楽しいプログラム が用意されている」のであれば、積極的にスポーツや運動に参加したい子どもたち、参加させたいと思う保護者も大勢いることを知ることが出来た。
子どもたちが安んじてスポーツや運動に親しむことが出来る環境を整えてあげることは、国や地方自治体の重要な役割ではないかと強く思ってしまった。 |