スポーツと二人三脚

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第19回 ドーハのアジア大会について一言 2006年12月28日


笠原 一也

 

  国立スポーツ科学センター センター長 笠原 一也
  かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長  
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.

 第15回アジア大会がカタールのドーハで12月1日から開催され、日本からは選手626名、役員183名、総勢809名の大選手団を送り、39競技、424種目で競いあい、15日に閉会式を迎えた。

 今回の大会での印象は、五輪夏季大会が28競技であることを考えると非常に多い競技種目数となっていることである。今回から新たにチェスとテコンドーが 加わっている。スカッシュ、ビリヤード、ボディービル、カバディ、セパタクローなどはスポーツの専門家でも解説するのに戸惑う競技が正式種目として展開さ れていることはご存知だろうか。そこにチェスが加わったのである。頭のスポーツならわかるけど、え!スポーツと思われる人も多いのでは。

 このように数多くの競技が展開される中、日本選手団の成績は、金メダル獲得50個という目標は達成したものの、今回も中国、韓国についで定位置の第3位である。

 多くのアジアのスポーツ関係者がここ国立スポーツ科学センターを訪れるが、我が国のオリンピック成績を説明していると、日本はアジア大会をどのように考 えているのか?と問われることが多い。その問いには1982年のニューデリー大会以来日本は第3位が定位置となっていることから、アジア大会にもっと目を 向けるべきという多少批判的な意味もこめられているように思えるのは考えすぎなのだろうか?

 次回の第16回アジア大会は中国の広州とのこと、そして競技種目は更に3競技増えて42競技になるとの話も聞こえてきたが、さすがにこのまま競技種目が 増加していくと収拾がつかなくなることを懸念したアジアオリンピック評議会(以下OCAという)は、アジア競技大会における実施種別の数を、OCAが主催 する別の2大会(インドア競技大会とビーチ競技大会)にそのいくつかを移行することにより35競技に削減を図る案を検討するという。

 開催都市の選定や大会運営に支障きたすことは明らかなのだから、スポーツ大会はおのずと適正な大会規模を保つことが重要なのではないかと思っている。

 スポーツの国際大会は、競技することはもちろんだが、スポーツを愛する人々の交流の場であり、異文化が集い、理解し合う場でもあることも大切なことなのである。

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