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第70回 平成25年度厚木市学校安全講習会に参加して

    今回、厚木市(WHOの「セーフコミュニティ認証都市」で開かれた、
 学校安全講習会に参加させていただきましたので、講師のお話をご紹
介させていただきます。
    講師の西田佳史先生(独立行政法人産業技術総合研究所デジタル
ヒューマン工学研究センター首席研究員)は、日本スポーツ振興セン
ターの学校災害事故防止に関する調査研究委員会の委員として、「学
校における固定遊具による事故防止対策」調査研究報告書をまとめ、
その中で『災害共催給付データを活用した遊具事故防止の研究』を執
筆されています。
           厚木市地図、人口約22万5千人         
「学校における事故予防~学校環境での科学的アプローチ~」と題して
                                                                                  講師    西田佳史先生
 
             
事故予防について 
    「事故予防」とは、事故が起こる前に対策をすることです。
    予防と聞くと、事故が起こらないようにいろいろなことを制限することと思われるかもしれませんが、そうではなく、子どもの成長には欠かせない「ミスや失敗を許容する方法」「子どもを健康でアクティブにする方法」です。子どもたちは「思いきり遊んで、安全にケガをする」ことが大切です。そのため、成長促進効果のない危険は認めず、成長促進効果のある危険は認めるべきです。
   子どもの事故の原因は親にあると考える人が多くいますが、日常生活における転倒の調査を行った結果、転倒を見守りによって防止することは困難ということがわかっています。
   では、どのように事故を予防していったらよいかと言うと、大切なことは、床の材質(メーカー)や家具の高さ(メーカー)、予防対策の実施(運用者)、また、対策品の購入者(保護者)等の「変えられるものを見つけ、見極め、変えていくこと」です。
     講師の西田先生  
    この方法により、子どものミスを許容したり、親や先生もちょっと目が離せる環境を作り出すことができ、子どもも親も先生も守られます。
 
事故防止の手順            〈事故予防の手順〉
          1.事故データの収集
          2.変えられるものを探す
          3.研究をして、対策法をみつける
          4.変えられるものを着実に変える
          5.検証する
          6.事故予防となる! 
☆具体例☆    公園の滑り台での事故予防
 事例:公園の滑り台の階段から転落して頭部を打った。地面はコンクリートであった。
           事故情報から対策法を導くため、事故の現場検証を行い、事故のシミュレーションを考え、実際に事故を作り
       出して実験し、事故による障害を再現し、変化させられる環境要因を見つける。
           この場合は滑り台下の設置面をコンクリートから合成ゴムに変えることにより、頭蓋骨や脳への衝撃が吸収
       され、大きな傷害が発生しにくくなるという効果が得られたため、対策法として実施された。
事故防止を対策法へと加工する技術   対策法の実施
   学校環境のデータに基づく傷害予防
   「リスクアセスメント」という考え方でリスクを事前に予測し、許容範囲まで減らします。
    日本スポーツ振興センターの遊具別給付件数(小学校)統計データから、ブランコでのケガが最も多く、そのうち、医療費が多くかかる大きなケガとしては「手・手指部の骨折」だということがわかりました。骨折のおもな原因は地面や鎖にあり、飛び降りで着地に失敗したり、鎖に手が入ってしまったりすることが多くありました。対策としては、鎖や地面の改善(鎖をホースの中に入れたり、地面を柔らかい素材に変える)を行い(ハードの改善)、遊具の遊び方・運用のルールについて指導(ソフトの改善)することが必要です。
遊具別給付件数(小学校)  ブランコの負傷別医療費 
ブランコの負傷別医療費   手、手指部の骨折の原因
    遊具に関して、楽しいところ、危ないところを子どもたちが考え、データを収集しマップを作成します。
    子どもの「危ない」データから得られた情報をもとに、取り除くべきハザード(大人が改善すべきもの・子どもが回避しにくいもの)を考えます。
                                                 

「危ない」「楽しい」の認知マップ

 
 (例)
   ① ちょっとした失敗で大事故になるもの
                 → 制御不能性のある箱ブランコ
   ② 「普通」にやっていると大事故になる「わな」
                 → 滑り台の下に登り棒があり、勢いよく滑るとぶつかって危ない。
   ③ 首や指など身体の弱い部分に大きな力を与える可能性
                 → 滑り台の滑るところの隙間に服がひっかかった。
   ④ 老朽による倒壊の危険性
                 → 橋の渡る部分の板が、一枚ぐらぐら揺れていた。
         これらについては、ルール等で回避できるものではないので、学校で取り除く必要があります。
         安全な学校環境をつくるためには、まずデータ収集が必要です。実際ケガをした子どもたちに傷害データ収集
     用紙を記入してもらい、そのデータを活用してイメージ図を作成していきます。
  まとめ  
   子どもたちが安全に学校生活を送るためには、事故が起こる前の対策が必要です。安全な学校環境をつくるためには、子どもたちが自ら考え、危ないもの、取り除けるもののデータを収集し、取り除ける危険を見つける。また、科学的なデータから、変えられるものを見極め、変えていく。情報を集めても、共有し、認識していなくては意味がありません。同じ事故が繰り返されることのないよう、これらの情報をみんなで共有していくことが大切です。
取材を終えて
    今回、西田先生のお話を聞き、改めて災害共済給付のデータが子どもたちの事故防止に役立つことを実感しました。
    いろいろな機会を通じて、情報の発信をしていくことが必要と思いました。 
    なお、西田先生が執筆された「学校における固定遊具による事故防止対策調査研究報告書は、日本スポーツ振興センターのホームページからダウンロードすることもできますので、ぜひご活用ください。
     厚木市「セーフコミュニティ認証都市」の看板

学校における固定遊具による事故防止対策 調査研究報告書
http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/bousi_kenkyu/iinkai/ichibukai/tabid/1483/Default.aspx 

 

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