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Web杜のたより 第32号(2014.3)

冬の避難訓練
-岩手県奥州(おうしゅう)市立姉体(あねたい)小学校-
     奥州市立姉体小学校玄関
 岩手県の内陸南部に位置する奥州市。雪の多い北海道・東北の地域の中では、比較的雪の少ない地域ですが、多いときには30cm以上の積雪となることもあります。
今回は、奥州市立姉体小学校(全校児童216名、教職員19名)で、冬の避難訓練の取材をさせていただきました。
 姉体小学校では避難訓練を年4回行っており、平成25年度は5月、9月、11月に、それぞれ火災、地震、不審者を想定して実施されました。そして、今回、平成26年2月3日(月)には、地震の発生を想定した冬期の避難訓練が行われました。
 姉体小学校の避難訓練の様子と災害防止の取組みをご紹介します。

■避難訓練の様子

訓練開始、教室や体育館での授業中、地震発生の校内放送が入りました。もし、災害等で停電になって、照明が消えてしまっても、蓄電池により、約20分間は放送機器が使えるようになっています。
《訓練開始、地震発生直後の様子》
体育の授業中に体育館中央付近に集まる児童たち
体育の授業中の児童が体育館中央付近に集まります。
 一斉に机の下にもぐる児童たち
教室で授業中の児童は一斉に机の下へ。
 机の下で身を守る特別支援学級の児童たち
特別支援学級の児童も机の下で身を守ります。
 
《移動中の様子》
廊下に集合する児童たち
















教室から避難する前に廊下に集合します。
 非常口を利用して校舎から避難場所に移動する児童たち
非常口を利用して校舎から避難場所に移動します。
 
体育の授業中の児童も避難場所に移動
体育の授業中の児童も避難場所に移動します。
 
《避難終了後の様子》
 無事に避難場所に集合できた全校児童
避難場所に全校児童が無事集合しました。
 
 指示に従い、避難場所に集合しました。校長先生から、避難の時には「お・は・し・も(押さない・走らない・しゃべらない・もどらない)」を守ること、「訓練で100点の行動ができないと、本当の災害のときに命を守ることができない。98点でもだめ」というお話がありました。

冬特有の危険
冬特有の危険として、避難時には、屋根からの落雪、足元の凍結、積雪などに気をつけるように指導しています。また、1階の教室から直接校庭に出られる出入口がありますが、積雪時は、屋根からの落雪が危険なため、廊下を通って、昇降口から避難します。


★東日本大震災の経験を生かして
姉体小学校では、平成23年度までの冬の避難訓練では「火災」としていた想定を、東日本大震災後の平成24年度からは、「地震」としました。
 
   
東日本大震災の時は・・・
 ・急いで校庭に避難したため、防寒着を身に着けていなかった。雪が降っていて、児童は寒さに震えていたので、教職員は校舎の被害が小さいことを確認し、児童の防寒着を取りに校舎に戻った。

 ・校庭に避難したあと、手元に名簿や電話がなく、関係各所や保護者とすぐに連絡が取れなかった。 
    
防寒着の着用
 冬季の避難訓練では、避難の際にできるだけ防寒着を着用するように指導しています。
          避難訓練で防寒着を着用する児童たち
非常持出袋
 非常持出袋を各教室に配備し、避難の際は教職員が持ち出します。以前は、統一的なものではなく、簡易的なものでしたが、教職員間で意見を出し合い、平成25年度から正式に決定したものを使用しています。オレンジ色のリュック型の袋で、中身は「児童名簿(点呼及び保護者への連絡用)」、「救急セット」、「筆記用具・クリップファイル」、「携帯電話(教員個人所有のもの)」としました。姉体小学校は平地にあり、外部からの救助が入りやすいことから、非常持出袋に入れるものは最小限にしました。
 非常持出袋を背負う教職員  非常持出袋を背負う教職員たち
全職員参加の避難訓練
 東日本大震災では残念ながら、沿岸部の学校では命を落とした方がいらっしゃいました。『普段やっていないと、いざという時に行動に結びつかない』との思いから、児童と全職員が行動を共にして、避難訓練を実施しています。次のような張り紙を玄関と職員室の入り口に張り出しておくと、来客は待っていてくれます。また、もし電話がかかってきて、出られなくても、「用があればまたかけてくるんだから」と割り切ります。
        避難訓練時用の玄関と職員室入り口の張り紙 避難訓練のため職員室は不在です。御用の方は、訓練終了までお待ちくださるようお願いします。
■おわりに
 姉体小学校では、避難訓練のほかにも、冬期の災害防止の取組みをしているそうです。屋根からの落雪が多いので、軒下に立ち入らないようにロープを張ったり、転倒防止のため、また、万一の場合の避難経路の確保のために、校地内の雪かきをこまめに行ったりして、安全な学校生活が送れるように配慮しているそうです。
 今回は、冬期の災害防止への取組みなどをご紹介しました。災害は、いつ起きるかわかりません。日頃からの取組みや、危険性に対する意識の高さが「安全」へと導き、命を守るのですね。 
 
 取材にご協力くださった先生方、ありがとうございました。         

《事例紹介》
【2005年度~2012年度に災害共済給付を行った岩手県内の避難訓練中における災害とその具体例】
事例
no.
学校種別 学年
または
年齢
性別 発生場所 負傷部位 傷病名
1 小学校 5年 階段 足・足指部 左足打撲傷
2 小学校 5年 校庭 足関節 左足部捻挫
3 小学校  3年 校庭 眼部  右角膜びらん
小学校 4年 校庭 下腿部、腹部 両下腿打撲、皮下出血、
擦過創、腹部打撲
小学校  1年 校庭 手関節 右手関節捻挫 
小学校  1年 教室 手・手指部 左第5指爪下血腫、挫創、
左第5指打撲傷
小学校  4年 校庭 足関節 右足関節捻挫
中学校 1年 校庭 頭部 頭部打撲
中学校 3年 教室 肩部 右肩打撲
10  中学校  3年 階段 膝部 左膝部裂創
11  中学校  3年 ベランダ 鼻部 鼻骨骨折 
12  高等学校 1年 校庭 大腿部 刺虫症(大腿)
13 高等学校  3年 校庭 膝部 左膝部螫中症兼掻破性湿疹
14  高等学校  1年 廊下 頭部 頭部外傷 
15  高等学校 1年 寄宿舎 手・手指部、下腿部 右小指基節骨骨折
16  幼稚園 3歳 園庭 鼻部 鼻腔異物
17  保育所 5歳 園庭 前額部 前額部裂傷
18  保育所  5歳 園庭 足関節 右足関節挫傷、外側靱帯損傷 
 事例4 避難訓練の際、担任の誘導のもと、移動していたら、あわてていたため転倒し、両下肢・腹部を打った。
事例15 避難訓練を実施中、防火扉をくぐるときに段差につまずき、右半身を下にして転倒。右手と右足すねを負傷した。
事例18 避難しようとした際、担任が本児の手を引いていたが、階段を降りるときに、本児が足を踏み外してしまった。

 

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