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Web杜のたより 第29号(2013.5)


命を救う取組み 

                    
=生徒参加型の救急救命講習会=
                                          
高等学校
 


    

 

『救命の連鎖』

 救命の連鎖

第一の鎖
心停止の予防

第二の鎖
迅速な通報 

 第三の鎖
一次救命処置
 (迅速な心肺蘇生)

第四の鎖
二次救命処置と
 心拍再開後の集中治療 

 

  体育の授業や部活動などでは、運動中に突然倒れ、心肺停止に至るケースがあります。今回は、的確な判断と迅速な蘇生措置により一命を取り留めた事例とともに、この学校における新たな取組みについてご紹介します。

 事例
【災害発生状況】
 体育の授業でグランドをランニング中、500m程走ったところで前のめりに倒れた。倒れた時に負ったと思われる鼻及び口の周りからは、出血があった。
【措置状況】 
  近くにいた生徒が、名前を呼んでも返事がないため、担当教諭を呼ぶとともに、他の2名の生徒が保健室と職員室に連絡をした。心肺停止状態であったので、すぐに心肺蘇生とAEDによる蘇生措置を試み、2度目の蘇生措置で心臓が動き出した。ドクターヘリ・救急車が来るまで、心肺蘇生を続けた。適切な初期対応と搬送病院の適切な処置、本姓との生命力全てが整い、生徒の一命を取り留めた。

 この事例については、災害共済給付請求に係る災害実地調査を行いました。センターでは、災害発生状況の再確認と事故後の学校の再発防止に向けた取組みなどについての実地調査をしています。



 災害発生後の改善点
○ 学校生活管理指導表を基に、注意しなければならない生徒を一覧表にして、担任や副担任、学年主任、体育教師に周知していたが、全職員にも周知するように改善した。

○ 体育の授業の際は、始めにアップさせ、その後出欠確認・体調確認をしていたが、先に体調確認を行うように改善した。

○ 数年おきに実施していたAEDの講習会を、平成24年度に全職員対象に行った。また、1年生の保健体育の授業でも心肺蘇生講習会を実施していたが、新たな取組みとして、平成25年3月には生徒の中で希望者を募り、救急救命講習会を実施した。希望者は多く、また、生徒にとっても救急救命の意識向上に繋がる貴重な講習会である為、次年度以降も継続して行っていくことを予定している。

 


 救急救命講習
 平成25年3月15日(金)、救急救命講習会を
同校格技場で行いました。
参加した生徒数は講師数の関係で上限70名
に限られたため、参加できなかった生徒に
ついては、 次年度開催時に受講予定です。
普通救命講習会 

 


 始めに応急処置についての講習が行われ、喉に異物が詰まった際の対処法など、人体模型を使用し実践しました。 
 救急救命講習会1  救急救命講習会2  救急救命講習会3

 次に、心肺蘇生法についての講習が行われました。倒れている人を発見してから、心肺蘇生法を行うまでの手順について学びました。

 

 救急救命講習会4  救急救命講習会5 救急救命講習会6 

  最後に、AEDトレーナー(練習機)を使用した訓練を行いました。措置手順を学んだ後に心肺蘇生法と組み合わせて実践しました。はじめは、戸惑った様子も見受けられましたが時間の経過とともに手際よくこなせるようになっていました。

 

救急救命講習会7   救急救命講習会8 救急救命講習会9 

  講習会は、午後1時30分から午後4時30分までの約3時間にわたり行われ、全ての生徒が最後まで集中力を欠くことなく講習に臨んでいました。

 

 講習会の感想
 <生徒より>
○ 実際にこういった現場に遭遇したときは、うまくできるか心配ですが、受けないよりは受けた方が良いです。率先して人命の救助をしたいです。

○ こういった現場に遭遇したときに、対応の仕方を知っているか知らないかで、命を救える  かどうかの問題になるので、今日の講習会を受講して、良かったです。

○ 自分の身内の中で、意識を失い倒れてしまって、人工呼吸の経験がありますが、そのときは、パニックになってしまいました。こういった経験があれば、パニックにならずに適切な対応ができると思いました。



 <教諭より>
○ 講師の方々に丁寧に教えていただき、生徒達は、大変恵まれているなと感じました。

○ 当初は、3時間は長いかなと思いましたが、生徒たちが真剣に取り組んでくれたので良かったです。

○ 今日学んだことを社会に出てからも役立ててほしい。

○ このような講習会を今後も継続して取り組んでいきたいと思います。




 取材を終えて
  突然、心肺が停止した人に遭遇した場合、皆さんは即座に蘇生措置ができますか?
一般的に、心臓が停止してから約3分が経つと死亡率は50%となり、一方呼吸が停止してから約10分が経つと死亡率は50%と言われています。救急車が到着するまでの間に、いかに早く蘇生措置を行うかが重要になります。

生徒参加型の救急救命講習会は、学校の管理下で生徒が心肺停止状態となり、その後のほか生徒たちの対応と職員による蘇生措置により生徒の命を救ったことがきっかけで実施されました。生徒達にとって大変有意義な、非常にすばらしい企画であると感じました。今回のような講習会の成果で、実際に現場で迅速に蘇生措置を行えるだけでなく、人として他人を思いやる心が育成されていくのだと思いました。

講習会で学んだことは、忘れないよう今後も繰り返して続けていただければと思います。また、このような取組みが他の学校現場においても実施されていくことを願います。

皆様の周りでもこのような救急救命講習会の機会があれば、是非参加してください。
当センターでは、これからも重要案件の災害について災害実地調査に赴き、今回のような事故防止活動の取組みを皆様に提供して参ります。

 

 

 統計情報
  今回ご紹介した事例は、ランニング中に心肺停止に至りましたが、同様に、陸上競技中の負傷以外の事例は全国ではどれくらいあるでしょうか。平成23年度に、全国の高等学校で、短距離走・長距離走を行っている際に発生した疾病の種類別件数を掲載します。 

 

 平成23年度・全国高等学校で、短距離走・長距離走を行っている際に発生した疾病の種類別件数
(平成23年度・全国高等学校で、短距離走・長距離走を行っている際に発生した疾病の種類別件数)

                           <平成25年5月10日掲載>

 

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