大阪かわら版 第64号(2013.12)

体を使って覚えよう!  保育所の避難訓練      -社会福祉法人千草会草津大谷保育園-
    いつ発生するかわからない地震や火災…、たくさんの人々が集まる施設で発生すると、大きな被害が想定されます。特に小さな子どもたちがいる幼稚園や保育所等の施設は、非常時の際、混乱やパニックが起こってしまうととても危険…。
   もしもの時に備え、日ごろから防災について考え、訓練することはとても大切です。 
   今回は、社会福祉法人千草会草津大谷保育園(滋賀県草津市)にお邪魔し、火災時の避難訓練の様子を見学させていただきました。
   草津大谷保育園では、月に一度防災訓練・避難訓練を実施し、そのうち年に2回は、消防署の方を招いて訓練をされています。
(※当日は、雨模様のお天気でしたので、園舎内での訓練となりました。) 
草津大谷保育園
先生、今日は、避難訓練ですね。よろしくお願いします。
副園長(高木先生)
              今日は、消防署の方に来ていただき火災時の避難訓練を行います。
              東日本大震災の際には、私たちが経験をしたことがないほどの大きな揺れを滋賀県でも感じました。地震 
         発生時は卒園式の練習の真最中で、練習中に起こった大きな揺れに職員はビックリしましたが、園児は、  
         落ち着いて訓練どおりの行動をとることができました。改めて、日ごろの訓練の大切さと、非常時には職員が
         落ち着いて行動すること、そして絶対子どもに動揺を与えてはいけないことを再認識しました。
              今日は、火災時の避難訓練ですが、まだ、どこから出火する予定であるのか聞かされておらず、消防署の
         方による保育所の職員の対応や施設の確認もあるので、私たち職員も緊張しているのですよ。
いよいよ訓練開始です・・・!
 火災発生
 職員による職員室の初期消火  非常ベルの音が鳴り、火元に設定された箇所(今回は職員室)を職員が消火します。
    消火器の使い方、消火のポイント、そして自分が逃げる道をしっかりと考えておくことなどを消防署員の方からアドバイスを受けながら消火作業をされていました。
先生:私たち職員も、始まるまで出火予定場所を聞かされておらず、緊張しました。
  園児の避難の様子 園児は、先生の指示に従い、手を繋いで落ち着いて避難できました。
消防署員の方のお話し

 火災から避難する際に大切なポイントはご存知ですか。「おはしも」というフレーズです。
 消防署員の「『おはしも』って知っていますか?」という問い掛けに、元気に「ハーイ!」という園児。

 署員が問い掛けると、    
   【署員】     【園児】  
           「お」  ⇒  「お(押)さない!」  
           「は」  ⇒  「はし(走)らない!」 
           「し」  ⇒  「しゃべらない!」 
           「も」  ⇒  「もど(戻)らない!」 

 みんなで大きな声で答えることができました。 

消防署員のお話しを聞く園児 
女性消防団員の方による紙芝居
 固唾を呑んで紙芝居を観る園児たち  かわいい動物が主人公の紙芝居ですが、その内容は、家が火事になってしまうハラハラドキドキのお話です。
 消防団員2名の方による紙芝居を、園児たちは、固唾を呑んで真剣に観ていました。
 みんなで火災の怖さを学ぶことができました。
ゲーム形式の訓練 

 日本損害保険協会の方と女性消防団員の方と一緒にゲーム形式で非常時の対応を学びます。ピアノ伴奏のもと、湖南広域消防局の「レイちゃん」(キャラクター)と一緒に、提示されたカード(「ぼうさいダック」)に応じた動作(動物のポーズ)を取りました。 
 みんな、楽しみながら非常時にとる動作を学ぶことができました。
 動物のポーズ①地震→アヒルのポーズ(頭を守る)②火事→タヌキのポーズ(ハンカチを鼻と口に当て煙を吸わない)③雷→カメのポーズ(できるだけ身を低くする)

火災時の煙から身を守る訓練
先生:みんなうまくできるかな?
 煙に見立てた白い布の下を、「レイちゃん」に続いて、身を低くしてくぐります。
 みんなで上手に訓練できました。

 
 煙から身を守る訓練

●保育所での避難訓練について、消防署の方にお話をお伺いしました。

消防局  : 湖南広域消防局では、平成25年度より「9years plan」という体験型防災教育を推進して
       います。小学校6年間とその前の3年間、合わせて
9年の間に子どもたちに災害時等の対
       応を体験してもらい、身に付けてもらうために取り組んでいます。また、幼稚園・保育所などの
       施設にお伺いし、子どもたちに防火の大切さを学んでもらうため「防火訪問」を実施しています。
                 
今日は、保育所での「防火訪問」ですので、小さな子どもたちに理解してもらいやすいように、
                日本損害保険協会から「防災博士」をお招きしてゲーム形式での勉強、
ボランティアの女性
       消防団員の方による紙芝居などを行いました。

センター : 保育所などの小さな子どもたちに教えるポイントや工夫をされていることはありますか。
消防局  : 小さな子どもには、子どもの視覚に訴え、体験して体で覚えることが大切だと思います。
       今回も、ゲーム形式での勉強や紙芝居を行いました。火災時の煙から
身を守るためどう
       すればよいか、そのためには、煙の性質や煙への対処を理解してもらいます。本来は、人
               体に無害の煙を出して訓練するのですが、小さい子どもなので、怖がったりしないように大
              きな白い布を煙に見立てて説明をして訓練しました。

センター : 今日は、かわいいキャラクターが来られていましたね。レイちゃん
消防局  : 湖南広域消防局では、「ライくん」「レイちゃん」というキャラクターがいま
               す。
               かわいいキャラクターですので子どもたち
に愛され人気者です。
                
今回の訓練では、ゲーム形式での訓練で非常時の対応を「レイちゃん」
               が動作
して、同じ動作を子どもたちにしてもらいました。やはり、大人より
               キャラクタ
ーの方が子どもたちは注目しますので、訓練しやすく記憶にも残
                ると思います。

センター : 防災ついて、日ごろから留意することはありますか。
消防局  : 自然災害や火災の際、一番大切なことは、まず、自分の命・身体を守ることです。保育
       所などの小さなお子様がたくさんいる施設は、特に大変かと思いますが、
日ごろから防災
       について考え、訓練をして身に付けていただければと思います。

●避難訓練後に高木副園長先生にお話を伺いました。
センター : 先生、今日は、訓練を見学させていただき、ありがとうございました。
        保育所は、小さなお子様を保育する施設ですので、非常時の際の対応には特に注意が
        必要だと思いますが、特に注意していることはありますか。
副園長  : 保育所には、まだ歩くことができない園児もおり、お昼寝の時間もありす。 自分で避難
                することができない園児が多数いますが、非常時には散歩等で利用する大きめの乳母車
                に園児を入れて避難するように考えています。まず、職員が落
ち着きながらも迅速に対
                応して園児の身を守り、そして、避難ができたら子どもが動揺しないように対応することが
                求められています。難しいことですが、日ご
ろからの訓練で身に付けておこうと思います。

センター : 保育所の職員の方も、毎日、緊張感をもって保育さ
れていると
               思お遊戯のイラストいますが、日ごろの保育で心掛けている
ことはありますか。
副園長  : 保育所は、赤ちゃんから来年小学校に通う幼児まで
        様々な年齢層の子どもたちがいる施設です。
                
        
そのような施設で、限られた職員が多数の園児を
       保育しないといけません。
                  職
員には、必ず自分の担当の園児がどこで何をしているか、
       どんな動きをしている
か、目を配るように日頃から指導しています。
                 
また、避難訓練は、訓練であっても職員・園児が緊張感をもって
       実施できるよ
うに心掛けています。しかし、必要以上に子どもたちをびっくりさせても動揺
       させて
もいけません。小さな子どもですので、その加減が難しいですが、職員同士が協
       しながら工夫をして取り組んでいます。
        
保育所を開設して約40年になり、保育所や地域、園児や保護者を取り巻く環境も大きく
       変わってきているように思います。保育所では園児の安全を第一に元
気な子どもに育つ
       よう願っています。
●取材を終えて

 非常ベルに落ち着いて対応される職員の方と避難する園児、火災の怖さを説明する紙芝居に固唾を呑む園児、キャラクターと一緒に園児が楽しく非常時の対応を勉強する姿がとても印象に残りました。そして、優しいまなざしでお話しをされる高木副園長先生のお顔から、園児への愛情が感じられました。イラスト
 
保育所は、たくさんの小さな子どもが一日を過ごす施設です。
様々な災害や
事故から子どもを守るために日ごろからの訓練の大切さを改めて認識するとともに、小さな子どもへの非常時の対応の難しさを感じました。
 
今回の取材で、小さな年代から避難訓練等を通じて防災について考えることにより、「自分の身は自ら考えて行動して自分で守る」という力が育っていくと思いました。

平成24年度に災害共済給付を行った「移動中に走る、押す」ことに関する事例
(滋賀県内の幼稚園・保育所の医療費:災害共済給付データより)

幼・保 年齢

性別

事例(災害発生状況)

幼稚園6歳

保育中、廊下から保育室に入ろうとしたとき、走って来た勢いで両手がガラスに当たりガラスが割れた。このとき、割れたガラスで本児の手が切れた。
幼稚園6歳 登園後、本児が廊下を走ってしまったところ、ちょうどトイレから出てきた子とぶつかり、互いの頭を打った。
幼稚園5歳 降園前、階段を下りて玄関に向かっている途中、友達に押されたことでバランスを崩し、よろけて倒れた。

保育所4歳

昼食後、曲がり良貨を走って曲がりきれず転倒。左頬部を打撲し、左目尻を切った。
 保育所2歳  保育室から手洗い場へ行こうと、廊下を走って行った際、滑って転倒し、あごを打って唇が切れた。(転んだ際、手はつかなかった。)

 多くの児童や生徒が行き交う学校・保育所の廊下…。急いで走ったりすると、転んでしまったり人や物とぶつかったりしてとても危険です。そして、その勢いで衝撃も大きく、ケガにつながってしまいます。

 今回は、保育所の非常時の避難訓練を紹介させていただきましたが、訓練中に園児が大きな声で答えた避難する際の注意ポイント「お(押さない)・は(走らない)・し(しゃべらない)・も(戻らない)」の「押さない、走らない」は、日ごろの学校や保育所の休憩時間中や移動中のケガ防止のためのポイントです。

 

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