アテネオリンピックExtra編(2) |
2004年8月19日 |
浅見 俊雄
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あさみ・としお
1933年生まれ.
国立スポーツ科学センター長.
(財)日本サッカー協会顧問、
アジアサッカー連盟規律委員会委員、文部科学省中央教育審議会委員など.
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前回、この番外編が万歳編になることを願っていると書いたが、これまでのところはまさに万歳、万歳の連続である。日本の選手達も心技体のすべての面でたく ましくなったものである。特に体操団体戦の最後の鉄棒で、ルーマニア、アメリカの選手がともに重圧から失敗を繰り返したあと、米田、鹿島、富田が最高の演 技で28年ぶりの金メダルを勝ち取ったところなどは、日本選手はプレッシャーに弱いというこれまでの定説をまったくどこかに吹き飛ばしてしまった感を強く したものだった。私も富田の離れ業が決まったところで思わず「やったあ」と大きな声をあげたあと、流れ出る涙を止めることが出来なかった。
それでもさすがに翌日の個人総合では、心も体も前日の集中した演技での疲労から立ち直れなかったようだ。1日休んだあとの種目別に期待したいところだ。そ れとの対比もあるが、北島というのは怪物そのものだ。ゆるぎなき自信に支えられた、王者の風格を漂わせた200平の完勝だった。「近頃の若者は」というの は、年寄りの若者に対する定番の言葉で、普通は批判的に使われるのだが、今回の選手達に対しては、このあとに「なんともすごい奴等だ」という最高の誉め言 葉を続けなければならない。
柔道も女子の複数の金を含めて史上最高の成績となることは間違い ないし、全体でも金が2桁になることは確実である。しかしちょっと気になっているのは、サッカー男子の予選敗退や、ソフトのこれまでの苦戦の連続を含め て、ボールゲームが今ひとつという感じがすることと、金が増えるのは大歓迎だが、銀、銅、それに8位までの入賞がまだ少ないなということである。余り頭 でっかちの成績だと、北京での更なる躍進がちょっと心配になるのである。これらのことも、後半にはいい方向に変わってくると期待している。
私の生活時間は、もうほとんどアテネ時間に切り替わっていて、オ フィスでは迫り来る睡魔と格闘しながら何とか仕事をしているという状態だ。いよいよ明日アテネへ出発するが、すでに心も体内時計もアテネへ飛んでいる。現 地では女子レスリングやシンクロ、ハンマー、野球をはじめ、あちこちの会場で日本代表を応援したいと計画している。
番外編の最終回は、TVの前とはまた違った現場での生の感動をお伝えできればと思っている。 |