ツルのひとこと

 

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第19回 アナログとデジタル 2004年10月21日


浅見 俊雄

 

  浅見俊雄イラスト
  あさみ・としお
1933年生まれ.
国立スポーツ科学センター長.
(財)日本サッカー協会顧問、
アジアサッカー連盟規律委員会委員、文部科学省中央教育審議会委員など.

 アナログとデジタル、最近よく聞く言葉である。TVはもうすぐ全てがデジタル放送になるという。画や音の高品質化や双方向性の機能などが謳われている が、普通にTVを見ている分には今のアナログでも不自由はない。写真もデジタルばやりで私も使いだしたが、明るいところでの画面の見えにくさは何とかなら ないかと思っている。

 この二つについてどこがどう違うのと聞かれても、私には納得のいくような説明はできそうにない。広辞苑ではアナログは「ある量またはデータを、連続的に 変化しうる物理量(電圧・電流など)で表現すること」、デジタルは「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば2進法)として表現すること」とある が、これで理解できる人は少ないのではないだろうか。私もその一人である。

 時計にも両者があり、これははっきり違いが分かる。アナログは針の回っている時計であり、デジタルは時間が数字で表示されるものである。一般的にデジタ ル化の進む中で、時計はアナログが優勢である。特に腕時計は圧倒的にアナログ派が多いのではないだろうか。時間を見るときは今何時かというだけでなく、約 束の時間など決められている時間との関係を把握する必要が多いことから、数字では計算という作業が入るのに対して、図形的にあとどのくらいと瞬時に判断で きるアナログの方が見やすいのではないかと思っている。

 ところでものを考えるときにも、アナログ的な考え方とデジタル的な考え方があるようである。白黒をはっきりさせるか、白から黒へと変化する灰色という曖 昧な部分を含めて考えるかといった違いである。知的に考えるときはデジタル的に、情的に考えるときはアナログ的に考えているとも思うし、考える過程ではア ナログ的に、結論を出すときはデジタル的に考えるのがいいのかも知れない。個人によっても得手不得手があるようである。

 TVは近く選択の余地はなくなるが、時計やカメラなどにしても、考え方にしても、この二つを時や物事に応じてうまく使い分けることが必要なのであろう。しかしどちらかというと、私はアナログの方が感性にあっているような気がしている。

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