第50回 |
2016年オリンピックの開催都市はリオに決定 |
2009年10月8日 |
笠原 一也
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かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.
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シカゴ、東京、リオデジャネイロ、マドリードの4都市で競いあっていた2016年のオリンピック開催都市は、ブラジル・リオデジャネイロに決定した。
10月2日夜は、東京都庁5階の大会議室で多くの関係者とIOC総会の中継映像を見ていたが、東京の落選が決まった瞬間、会場は沈黙に包まれ、異様な雰囲気になってしまった。
昨年の1次選考で東京はトップの評価だったのに、9月中旬に公表されたIOCの評価報告書では東京の計画にも課題が指摘され、名乗りを上げている4都市は横一線の印象となったことから、東京に対して厳しい結果も予測されてはいたのだが。
財政、円の強さ、治安、交通網の発達、大会運営の組織力などから考えれば安心、安全なのは正に東京なのだが、そのことだけで決まらないのがオリンピックだともいえる。
翌日のメディアは、招致の顔不在、発信力や人脈不足、なぜ東京か伝えられなかったこと、ロビー活動の遅れなどを落選の理由に挙げていた。
メディアの指摘はいまさらなのであって、一年前に出版した拙書「スポーツ文化そしてオリンピックへの思い」の中に、私なりに同様なことは指摘していたところであるが残念ながら改善されないままIOC総会を迎えてしまったのではないだろうか。
昨年、ブラジル大使を務めたことのある高校の同級生とオリンピック招致の話をした時「リオは侮れないぞ」と言っていたことを思い出す。
招致のためには、開催のための環境条件を整えるばかりでなく、ある新聞記事にもあったがIOCやオリンピック運動のもつ問題意識の察知、IOC委員の思 考過程を理解しニーズにこたえる戦略、世界のスポーツ動向の把握、意外に重要なこととして外国から日本のスポーツはどのように見られているのか、などを多 面にわたって理解しておくことが重要なことであったのではないかと思われる。
国内での立候補都市を決定する際、東京都は2016年が失敗したら2020年も目指すと約束をしている。今回、石原知事の発言に代表されるように招致に関わった人々は色々なことを学んだのではないかと思う。
この学習したことを生かして2020年オリンピックには是非立候補して欲しい。この機会を逃すとオリンピック日本開催はすごく遠いものになると思われるから。
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