第42回 |
日本陸上OB会に参加して |
2009年1月16日 |
笠原 一也
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かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.
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昨年の10月に、日本陸上OB会総会において講演する機会を頂いた。
テーマは「国際競技力の向上のために」ということでJISSとNTCのことを紹介する話をしてくれれば良いということであり、高校や大学の先輩からの依頼でもあったので引受けたのであった。
この陸上OB会は年に1回の総会を開き、今年で36回目を向かえたそうである。36年も続いていることに驚いてしまった。
会則もしっかりしており、その目的は「会員相互の親睦友好を深めると共に日本陸上競技の発展に寄与することを目的とする。」とあり、満65歳の陸上競技関係者なら会員の推薦と役員の承認があれば会員になれる組織になっていた。
私も多くのスポーツ団体に関係してきており、一競技種目での同好会とか有志の会みたいなOB会はあることは知っているが、会則をしっかりと定め、事業内 容も総会の開催や講演会等の開催、会報の発行、会員名簿の刊行、寿杯の贈呈など事業を実施していて、現在の会員数は233名でしっかりと活動していること に驚いたのである。
総会では、その年に、百歳、米寿、傘寿、喜寿を迎えられた長寿の方々に対して寿杯贈呈が行われ、記念撮影も行われた。
その記念撮影の折、百歳のお祝いを受けられた方が私の隣となり、「貴方はJISSの話をされたが風洞実験で空気抵抗などは研究しているのかね」と質問された。
日大工学部出身で航空工学を学ばれたようで、厳しい質問で答えに戸惑ったが、「JISSには風洞はありませんが、東大の風洞実験室をお借りして空気抵抗等は研究しております。」と答えさせて頂いた。
戦前に活躍したスポーツ選手に仕事柄今までも多くの方にお会いする機会があるが、皆さんとも人格、識見、そしてかくしゃくとしていることに驚かさる。
お会いし、話しをする機会があった戦前の金メダリストを挙げると皆故人となられているが、陸上三段跳の南部忠平氏、田島直人氏、水泳では1500mの北村久寿雄氏、背泳の清川正二氏、平泳の葉室鉄夫氏、前畑秀子氏などである。
日本陸上OB会での講演が、大活躍をされた古き良きスポーツ人を回顧するきっかけになったことを大変嬉しく思っている。
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