スポーツと二人三脚

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第25回 日本に二度目の世界陸上がやって来る 2007年6月22日


笠原 一也

 

  国立スポーツ科学センター センター長 笠原 一也
  かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長  
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.

 今年の8月、大阪の長居競技場で我が国では二度目の世界陸上が開催される。
 大会組織委員会はじめ関係者は大会を盛り上げるため色々と苦労していると伺っている。前回、日本で開催されたのは16年前の1991年、東京の国立競技場であった。当時も大会が始まる前までは盛り上がりがいまいちだったように記憶している。

 その東京大会では、大会が始まった早々に女子マラソンで日本の山下佐知子選手が堂々と銀メダルを獲得し、続いて人気者のアメリカのカールルイス選手が 100mで9秒86の世界新記録を出したとたん、急に関心が高まり売れ残っていたチケットがさばけたと聞いている。

 今回の大阪大会を最高に盛り上げる方策の一つに、コンディショニングなどを考慮しない乱暴な考え方と言われそうだが、一フアンとして言わせてもらうと、 女子マラソンにシドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手とアテネ五輪金メダリストの野口みずき選手が出場し、金メダリストによるハイレベルの競い合いをし てくれることはどうかと思っていた。
 そして、出来れば、三位以内に入った日本選手は全員北京五輪の代表に内定するという案はいかがなものかとも思っていた。

 実は、この案をあるところで提案してみたことがあるが、関係者からは無理な話と言われてしまった。選手やコーチたちは当然北京オリンピックを最終目標と しておりそこから逆算をしてトレーニングプランを立てていることでもあって、高橋選手も、野口選手もそれぞれの計画に沿ってトレーニングに励んでいること から、難しいことは理解しているつもりだが少し残念な気がしている。

 その高橋選手も野口選手も大阪大会には出場しないそうである。二人にはお互い切磋琢磨しレベルを向上させ、北京五輪代表となったら、ぜひ金メダルを目指し、日本選手三連覇の偉業を成し遂げて欲しいものである。

 私のロッカーには、背中に「3rd IAAF World Championships in Athletics TOKYO'91」の文字の入った16年前の世界陸上の白いジャンパーが掛かっており今でも大切に愛用している。
 大阪での世界陸上が大いに盛り上がり、成功することを心から願っている。


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