第24回 |
教え方、教わり方の極意という話 |
2007年5月25日 |
笠原 一也
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かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.
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今回はオリンピック種目ではないがゴルフについて話題にしてみたい。
私の知人でスポーツ心理学者がいる。以前、筑波大学で教授を務め、現在は私大の教授だが筑波大学の教授時代は、特にゴルフの心理に関する本を多く出版して稼いでいたようである。
その彼が出版した「40歳からのゴルフ術」という本の中で、ベテランらしい教え方、教わり方の極意という項がある。そこにはゴルフのスタンスの話しとして次のようなことが記されている。
『ゴルフのスタンスといえば、日本プロゴルフ協会(PGA)の浅見勝一会長と、私の友人で昔水泳選手だったKと、三人で回ったときのことを思い出す。ゴ ルフが久しぶりだったKは、朝の出だしからボールの行方が定まらず、もうごちゃごちゃだった。身体の向きが悪いせいだと見ていたら、浅見会長もスタンスを 直していたが、Kは違和感があるのかメロメロだった。
私の友人はKに「浅見会長の言うとおりにやって見ろ。会長に習うチャンスなんてそうないのだから。」といったところ、少し良いショットが出るようになっ たが、午前のスコアは54。午後のハーフはこの練習が生きて、なんとパープレーの36で回ってしまった。さすが水泳の一流選手、教わり方の極意を知ってい るなあと感心させられたものである。』
このKが実は私なのである。今でも記憶しているが、プレー中に浅見会長が色々とアドバイスしてくれたのだがPGAの会長と一緒のプレーということで緊張のあまり体もあまり動かなかったのである。
昼食にビールを飲んだこともあって午後はリラックスし、浅見会長のアドバイスも素直に聞くことができ、1バーディ、1ボギーでプレーし、キャディにプレーする人が入れ替わったのですか? とも言われた程であった。
私がハーフだけでもゴルフでパープレーしたのは現在のところ後にも先にもこの時だけである。記念にと浅見会長にサインしてもらったスコアカードは今でもわが家に大切にしまってある。
その時、教わり方の極意は素直になることと理解したのだが、その後プロゴルファー3人と一緒にプレーしたことがある。やはり緊張してメロメロとなってア ドバイスを受けたのだが、三人三様のアドバイスであったため素直に聞いていたらわけがわからなくなってしまった。素直になることは難しい。
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