第15回 |
「体育の日」について一言 |
2006年8月30日 |
笠原 一也
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かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.
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今年も「体育の日」が近づいてきた。昨年からここ国立スポーツ科学センター(JISS)を会場として、文部科学省、(財)日本体育協会、(独)日本ス ポーツ振興センター、(財)日本レクリエーション協会の主催により「体育の日」中央記念行事が開催され、本年もJISSを会場として開催される予定であ る。
昨年は水泳の北島選手を始め、多くのオリンピック金メダリスト達の指導が受けられることもあって関心の高いものとなった。JISSはご存知のとおりトッ プアスリートをサポートする施設であり、平素は一般利用できないがこの「体育の日」だけは地域の人々をはじめこども達も参加できるイベントが多く用意され ており、こども達が目を輝かしてイベントに参加している姿に接すると、このJISSを理解してもらうためにも重要な一日となったのではないかと思ってい る。
この「体育の日」は国民の祝日に関する法律に定められた祝日の1つであり、スポーツ振興法では、「体育の日」の行事の実施に向けて、国および地方公共団体は、積極的にスポーツ関連行事を開催、支援するものとされている。
以前、「体育の日」は10月10日に定められていたが、2000年に改定施行された国民の祝日に関する法律により「体育の日」は10月の第2月曜日と定 められ、今日に至っている。この定められていた10月10日は、1964年の東京オリンピック大会の開会式が行なわれた日であり、東京大会を記念し、国民 がスポーツや体育に親しみ、さらなる振興を図る目的で「体育の日」に定められたものである。
「体育の日」を10月の第2月曜日と定めるにあたって、政府機関から意見を求められたことがあった。私は「10月10日は東京オリンピックの記念日として絶対に残すべき、祝日を増やす目的なら別の日を」と意見を述べた記憶がある。
残念ながらその意見は取上げられず、10月の第2月曜日と決定してしまった。
スポーツに関係する一人として、記念すべき東京オリンピック開会式の日が国民の祝日でなくなったのは非常に残念な気がしてならない。
2016年には日本が夏季オリンピック招致に名乗りをあげるという。オリンピックを理解する上でも、オリンピック記念日は祝日として残して欲しかったと今でも思っている。
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