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岩上センター長のひとことコラム「散歩道でふと」

岩上前センター長のひとことコラム


07 12

投稿者: host
2011/07/12 11:26

 桜の花びらが心地よい風に舞いながら頭上を飛び交い、ふと、何事も無かったかのように季節は新緑へと移り変わり、四十九日も過ぎようとしております。

 東北地方から関東地方の太平洋沖と広範囲にわたる今回の大震災、大津波は、一瞬のうちに家屋やかけがえのない多くの命までも巻き込んでしまいました。更にこの影響が原発事故をも誘発し、放射能問題、電力不足問題と発展し、多くの方々が長年住み慣れた故郷を後にするなど国民生活に支障をきたす事態を招いてきております。

 
我が国は、自然の織りなす厳しさを味わいながらも、自然がもたらす沢山の恵みに支えられてまいりました。しかしながら今回の大震災は、予想を遥かに超え、自然の力の強大さに比べ、人間のひ弱さ、無力さを痛感させられました。また、人類の知恵がもたらした文明の利器による代償の大きさも実感いたしました。

 行燈や蝋燭の明かりを頼りにしていた時代から、文明開化の象徴として、明治5年に横浜にガス灯が、明治15年には銀座に電気による街頭が灯されました。 

 産業の発展や生活の利便性に伴い電力需要も増し、水力、風力、火力と様々な発電方法が取り入れられ、今日、原子力発電への比重が大きなウエイトを占めるようになりました。


子どもの頃を思い出しますと、冷暖房器具は身近にはありませんでした。夏は、窓を開け団扇の風を頼りに蒸し暑い夜を過ごしていましたし、冬は、厚着をして練炭や炭を使った炬燵の中で、寝るときには母親が足元に湯たんぽを入れてくれました。電気はこまめに消しなさいと注意を受けた覚えがあります。テレビ、洗濯機、冷蔵庫もまだまだ普及していない時代でありました。生活の豊かさを求めてきたこの半世紀、文明の発展スピードとゆったりと流れていく自然とのバランスが大きく崩れてきたのかも知れません。忘れていた当時の情景が蘇ってきます。

 長期戦が予測される中で、多くのボランティアの方々が、様々な分野で復旧、復興に向け尽力されていますし、スポーツ界においても、個人、団体は問わず人的、物的支援の輪が大きく広がりを見せてきております。

「Ask not what your country can do for you、

 Ask what you can do for your country.」


この英文は、J・Fケネディーが1961年の大統領就任式で述べた言葉ですが、「祖国があなたのために何をしてくれるかを求める前に、あなたが祖国のために何が出来るかを考えてほしい」と訳すのでしょうか。

国の責務として、現在の危機的状況を打破し社会基盤を再生し、国民が安心して暮らせるよう抜本的な対策を早急に講じていかねばならないことは申し上げるまでもありませんが、我々一人一人が何か出来る、何かをすべきだとの強い思いが、沢山のボランティアの活動に表れていると思います。


筆舌には尽くしがたい事態に直面し、自信を失い、辛い思いの中から立ち直りに向け気持ちを変えていくには少々時間がかかるかと思いますが、無邪気にボールを蹴って走り回る子供たちの姿は、大人たちにも元気をもたらし笑顔を復活させるきっかけにもなってきているようです。

本年は、ロンドンオリンピック前年に当たり、選手たちはそれぞれの競技でオリンピック出場資格の獲得を目指し厳しいトレーニングに邁進していきます。


大災害による様々な逆境を跳ね返し、来年は、スポーツから日本社会に明るさを灯し、日本の活力を蘇らせていく年になるものと大きな期待を抱
いております。

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